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公開日時 2020.11.19
最終更新日時 2022.04.05

太陽光発電のO&Mについて解説|O&M導入の目的とは?

太陽光発電の現状

2012年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度とも呼ばれるFIT法が制定され、それ以来太陽光発電の普及が急速に進みました。

その一方で、太陽光発電設備において、設備認定はされたものの未稼働案件の多さや発電状況・運用に対するトラブルの増加が大きな問題となりました。

このような状況から、経済産業省が従来のFIT法を見直し、2017年4月にFIT法が改正することとなりました。

改正FIT法とは

「改正FIT法」とは、2017年に改正されたFIT法のことで、この改正によりこれまでの「設備認定」ではなく、事業計画段階での「事業認定」に変わるなどの改正がありました。

また、事業者の自主性にゆだねられていた運用面も、売電期間の事業計画や保守点検記録が経済産業省への報告義務となりました。

そして、基準を満たさない場合は、経済産業省が指導や改善命令、さらに認定取消などを行うようになりました。

太陽光発電のO&Mとは

前述したFIT法の改正により、安全性や運用が経済産業省の定める事業計画ガイドラインを満たしていない太陽光発電所は、認定が取り消される可能性も出てきました。

そこで必要になってきたのが、太陽光発電の「O&M」です。O&Mとは、Operation(オペレーション:運用)のOと、Maintenance(メンテナンス:保守)のMで構成されています。

O&Mの目的とは

太陽光発電のO&Mの目的は、改正されたFIT法のためだけでなく、設備の安心安全で長期的な安定稼働のために、また故障や不具合を未然に防ぐためのものです。

太陽光発電設備は経年劣化や天災などによる故障の可能性があり、永久的な安定稼働が約束されているわけではありません。設備全体の定期点検や管理が必要です。また、トラブル時には復旧対応が求められ、それらのためにもO&Mは重要です。

太陽光発電のO&Mの種類

前述したとおり、 太陽光発電設備を安定して安全かつ長期的に稼働するには、適切な運用と定期的な保守が必要です。

O&Mはオペレーション(運用管理)とメンテナンス(保守点検)に分けられ、記録を残すことが義務付けられています。前者は発電量の監視、後者は故障の未然防止を目的としています。

それでは、O&Mを構成する具体的な内容を見ていきましょう。

運転管理業務【Operation】

「オペレーション・運用」とは、「監視」とトラブル時の「復旧対応」の2つで構成されており、最大の売電量を目指して行われます。

監視とは、遠隔監視システムによって発電状況を監視して発電量を記録したり、故障や損傷などのトラブル検知アラートの発生業務です。

復旧対応とは、アラート発生時に現場に駆けつけて、修理や部品交換、機器の調整などの復旧作業を行う業務です。

それぞれの内容を簡単に見ていきましょう。

障害対応

太陽光発電設備に障害が起きた際、障害アラートの検知と緊急性の検討、および現場に駆け付け、運転状況や障害履歴、障害対応をまとめたレポートを提出します。

障害には、パネルの破損や落下、落雷や積雪など気象による障害、パワーコンディショナーなどの付属機器の故障などが考えられます。

障害に対して早急な対応が求められるため、近くの業者に依頼するのが安心でしょう。

発電監視

発電量の監視方法は、専用の監視システムを利用するのが一般的ですが、有人監視体制を備えた業者もあります。

発電量のデータは蓄積され、日単位・月単位・年単位などでまとめられて、レポートで報告されるサービスもあります。また、監視によって発電量低下時や異常時のアラートも検知します。

保守点検管理【Maintenance】

「メンテナンス・保守」とは、「点検」と「サイト管理」の2つで構成されており、故障や不具合を未然に防ぐために行われます。

点検とは機器の損傷や劣化がないかを確認する業務で、サイト管理とは発電量減少の原因となる太陽光パネルの汚れや雑草対策などを行う業務です。

それぞれの内容を簡単に見ていきましょう。

サイト管理

サイト管理は、安定した発電量を目指すために、発電設備を設置している敷地全体を整備・管理する業務です。

例えば、太陽光パネルの汚れや雑草などによって発電効率が阻害されるため、除草剤や除草シートなどによる除草作業や太陽光パネルの清掃を行ってそれらを取り除くのも業務の一つです。

定期点検

定期点検は、年に一回の年次点検、数カ月に一回の巡回点検、必要に応じて行うスポット点検などがあり、これらの結果をまとめてレポートを提出します。

屋外で常時稼働している太陽光発電設備は、損傷や腐食、摩耗などの劣化が起こりやすくなります。それらの劣化を早期発見するためには、定期点検が不可欠です。

点検では、架台、基礎、モジュール、配線などの目視点検や遠隔監視システムの点検などを行います。

O&Mを取り入れる利点

前述したとおり、改正FIT法により、家庭用の太陽光発電設備でもメンテナンスの義務が発生しました。業者とO&M契約を結べば、定められたメンテナンス義務を簡単に果たすことができ、かつ売電収入の安定化にもつながります。

O&Mの費用相場

O&M契約の費用は、依頼する業者によって異なります。

家庭用の太陽光発電設備では1kWあたり年間約4,000円、産業用は1kWあたり約5,000円が一般的な相場です。

一方で、改正FIT法ではO&M契約のガイドラインが定められていないため、サービス内容や費用は業者によって大きく異なります。太陽光設備のメンテナンスは複雑で多岐にわたるため、費用だけで決めることなく、依頼する業者は慎重に選びましょう。

O&Mを検討してみよう

太陽光発電設備が家庭に普及し始めたころは、一度設置すれば長期的に使用でき、メンテナンスもほとんど不要であると言われていました。しかし、改正FIT法により、家庭用の太陽光発電設備にもO&Mが必要となりました。

長期的に安定した発電を目指すためにも、O&Mは欠かせません。今後、太陽光発電設備を購入予定の人も、すでに設置済みの人も、O&Mサービスを理解し、慎重に業者を検討しましょう。

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