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公開日時 2022.01.07
最終更新日時 2022.04.01

監理技術者が行う仕事内容や将来性とは|目指すメリットや需要もあわせて紹介

そもそも監理技術者とは?


監理技術者とは、一定規模以上の工事現場で設置が義務づけられている技術者のことをいいます。具体的には、特定建設業者が請け負った工事のうち、政令で定める一定以上の請負代金総額の現場には設置する義務があると定められています。

出典:建設業法|e-Gov 法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100

監理技術者と主任技術者との相違点


全ての工事現場には、主任技術者の設置が義務づけられています。その中で、一定規模以上の工事現場では主任技術者に代わって監理技術者の設置が義務づけられています。

仕事内容は大きくは違いませんが、一般に監理技術者が複数の主任技術者を統括するなど、監理技術者のほうが上位とされています。

建設業としての許可を得る際には、一般建設業と特定建設業の2種があり、政令で定める一定以上の金額の工事を請け負うためには、特定建設業の許可が必要となります。この特定建設業者が、一定規模以上の工事現場に設置するのが監理技術者です。

出典:建設業法|e-Gov 法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100

監理技術者が行う仕事内容5つ


監理技術者がしなければならない業務は数多くあります。

担当している工事現場全体の技術的な管理・指導が主な仕事内容です。監理技術者が担当する現場は大規模なものであるため、下請け工事業者の主任技術者も複数いる場合が多いですが、全ての主任技術者を統括して、指示・指導を出すことも監理技術者の仕事内容となります。

1:工程の管理をする

監理技術者は大規模な現場に設置が義務づけられており、そのような現場では複数の下請け工事業者が入って工事を実施していることが多いでしょう。

個々の下請け業者の工事進捗状況を把握し、全体の工程に遅延等がないように管理をする業務が、監理技術者の主な仕事内容となります。

2:施工計画書の作成を行う

大規模工事現場では、複数の工事が同時並行で進められることが多いでしょう。その現場全体の施工計画書を作成することも、監理技術者の仕事内容となります。

複数の業者による複数の工事が、お互いに悪く干渉しないように調整し、全体がスムーズに進むような計画書を作成する必要があります。

3:品質の管理をする

複数の下請け工事業者が入ると、工事品質にばらつきが生じかねません。担当している現場全体の工事品質を維持管理することも、監理技術者の仕事内容の一つです。

基本的には、下請け業者からの報告書類を確認して品質維持に努めますが、必要に応じて現場状況を立ち会い確認し、下請け工事業者の主任技術者を指導することも求められます。

4:技術的な指導を行う

大規模工事現場では、様々なレベルの下請け工事業者が入る可能性があります。工事全体を把握し、下請け工事業者も含めて、その現場の技術的指導を行うことも監理技術者の仕事内容です。

たとえば、下請け業者が現場作業員に技術的指示・指導ができる主任技術者をきちんと配置しているかなど、法令遵守をした工事を行っているかなどを確認・指導します。

5:その他の雑務等を行う

その他、現場の技術的責任者として、種々の雑務を行う必要もあります。

具体的には、発注者から変更・修正の要請があった場合の協議や調整、下請け業者からの協議要請があった場合の対応、工事全体の技術面からのコスト管理などがあります。さらには、近隣住民からの苦情や状況説明要請があった場合の対応なども、監理技術者が行う必要があります。

監理技術者の今後の将来性


一定規模以上の工事には専任の監理技術者の設置が義務づけられているため、監理技術者の需要は高まることはあっても、減ることは考えにくく、その観点から将来性があるといえます。

オリンピック関連の大規模工事がひと段落しても、東日本大震災の復興工事や、その後に発生している豪雨、台風での災害の復旧工事など、これからも多くの大規模工事が続くでしょう。

このようなことから、監理技術者は引く手あまたの状況が続くことが予想されます。

人材不足で若手の育成に力を入れることになる

そもそも少子化に伴う労働力不足により、建設関係だけでなく全ての業種において、人材不足になることが予想されています。特に、バブル期に監理技術者として働いていた方々が定年退職を迎える時期となっており、監理技術者不足はいっそう深刻になると考えられています。

このようなことから、今後は若手を育成して、監理技術者の資格取得に力を入れるでしょう。若手にとっても、監理技術者の資格を取得できれば転職にも有利に働くため、将来性のある仕事といえます。

出典:人手不足の現状把握について|厚生労働省職業安定局
参照:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/20141111-3_1.pdf

建設業界の市場規模は拡大しているのでスキルも幅広くなる

新規に建てる建築物も多いですが、バブル期に建てられたような建築物は老朽化のため大規模修繕や解体・建て直しの時期にさしかかっています。

今後も建築業界の市場規模は拡大していくと予想されていますが、大規模修繕や解体・建て直しには、新築のものを建てる技術とは異なった技術が求められます。

その現場を管理する責務を負った監理技術者は、幅広い知見とスキルが必要です。そのような人材の需要は今後高まってくると予想されるため、将来性があるといえるでしょう。

監理技術者を目指すメリット4つ


施工管理の業務に携わる上で、監理技術者を目指すことには、大きなメリットがあります。

前述の通り、大規模工事現場には監理技術者の設置が義務づけられているため、人材の需要は多いといえます。また、有資格者でないと監理技術者になれないため、人材の供給はそれほど多いとはいえません。

このように監理技術者の需要に対して供給は不足気味であり、監理技術者になることは求められる人材になることでもあり、種々のメリットが生まれます。

1:転職が有利になる可能性がある

監理技術者の資格を有していれば、転職が有利になる可能性があります。

国家試験合格者であること、あるいは必要な実務経験があることなど、監理技術者として必要な資格を保持しているということは、転職先ですぐに監理技術者として業務ができることを示しており、転職時に強点としてアピールできます。

また、資格を有していることでそれだけのスキルや経験があるという証明となるため、監理技術者に限らず、他の業務を行う上でもプラスの要素として考慮されます。

2:職位や待遇が向上する

大規模工事現場では監理技術者の設置義務があります。このような現場では、現場の全ての責任者である現場代理人も設置する場合が一般的で、その多くの場合は監理技術者が現場代理人を兼任して、所長といわれる立場となります。

このように、監理技術者であることは会社内での職位が向上して、それに伴い待遇も上がります。

3:審査で加点の対象となる

公共工事の元請けとして工事を受注するためには、その技術力を評価するために経営事項審査というもので一定以上の水準であることを示さなければなりません。

この審査において、その会社に監理技術者資格者証を保有している人がいるということは、加点の対象となります。このように、監理技術者であることは、所属している会社にとっても大きなメリットとなるでしょう。

出典:建設業法|e-Gov 法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=324AC0000000100_20201001_501AC0000000030

4:需要があるため安定性がある

今後も大規模な建設工事は数多くありますが、建設業界は高齢化による退職などで人手不足に悩まされています。

大規模な工事には監理技術者を配置する義務があるため、監理技術者自体の需要は減りません。

このようなことから、今後も監理技術者は将来性・安定性があるといったメリットが見込まれています。

監理技術者として働くやりがい


監理技術者として働く上で、職位や待遇が上がったり、仕事の将来性・安定性が増したりすることはメリットであり、やりがいにも繋がりますが、それとは別の切り口でのやりがいを見いだすこともできます。

業務上の大きな目標設定ができたり、建築に携わったという記録が後世に残ったりすることは、大きなやりがいとなるでしょう。この内容について、以下で解説します。

ゼロ災記録の目標を立てられる

監理技術者の主要業務の中で、重要なものが安全管理です。建設工事現場での作業には危険が伴うものもあり、死亡災害や休業災害などが発生した場合には現場が止まってしまうため、安全管理は真っ先に考えなければならない業務です。

死亡災害、休業災害などがないことを厚生労働省では無災害と定めていますが、これに加えて休業を伴わない不休災害もあわせて、労働災害をゼロにしようと中央労働災害防止協会が取り組んでいる運動を、ゼロ災運動といいます。

ゼロ災は全ての災害がゼロであることが定義で、その目標を立てられるということは、すなわち現場の細かいところの作業まで熟知していて、かつ安全に作業ができる環境を整えているということを示します。

ゼロ災記録の目標を立てることは、安全をどれだけ重視して現場管理をしているかということの意思表示であり、監理技術者としての誇りに繋がる大きなやりがいの一つといえます。

出典:無災害記録証授与内規|厚生労働省
参照:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/image/musaigainaiki.pdf

自分が携わった建物の定礎箱に名前が残される

建物が完成した際に設置される定礎と書かれたプレートの中には定礎箱が入っています。

この定礎箱はタイムカプセル的な役割があり、その建物を建設していた頃の新聞など世の中の情報がわかるものが主に入っていますが、それ以外にも建物の図面や建設に関わった人の名前が記されたものも入っています。

監理技術者はその建物の施工管理技術の責任者であり、定礎箱の中に自分の名前が記されたものが入ることは大きなやりがいに繋がるでしょう。

監理技術者になるまでのステップ5つ


監理技術者は、工事規模に応じて現場に設置することが義務づけられていますが、誰でもなれるわけではなく、資格保持などの必要なステップがあります。

施工管理技術に関する責任ある立場ですので、その工事を受注した会社と正規の雇用契約を締結していることがまず必要ですが、それ以外にも以下のステップを踏んでいかないと監理技術者にはなれないでしょう。

1:資格要件を満たしているか確認する

指定建設業では監理技術者には1級施工管理技士、一級建築士、技術士の国家資格保有者であることが定められています。その他の一般建設業では、実務経験で監理技術者になることができます。

いずれにおいても、監理技術者となることができる資格要件を満たしているかどうかをまずは確認する必要があるでしょう。

出典:監理技術者の資格要件|一般財団法人 建設業技術者センター
参照:https://www.cezaidan.or.jp/managing/about/condition/index.html

2:資格者証交付の申請を行う

資格要件を満たしていれば、次に監理技術者資格者証交付申請を行う必要があります。監理技術者資格者証とは、一般財団法人建設業技術者センターが発行している、監理技術者の資格を保有していることを証明する証書です。

申請には手数料がかかるため、注意しましょう。

3:監理技術者資格者証をもらう

監理技術者資格者証を申請すると交付まで待つ必要がありますが、期間の短い国家資格保有者の電子申請でも約10日、実務経験での申請では約30日かかるため、交付までの必要日数には注意しましょう。

資格者証は5年間有効ですので、更新時期にも注意を払う必要があります。資格者証が交付されれば次のステップに移ります。

出典:監理技術者資格者証の有効期限および更新について|一般財団法人 建設業技術者センター
参照:https://www.cezaidan.or.jp/managing/about/index.html

4:監理技術者講習を受ける

資格要件を満たしていて、資格者証の交付を受けただけでは、監理技術者としての業務を行うことはできません。国土交通大臣の登録を受けた監理技術者講習を受講して修了する必要があります。講習を受講して修了すると、履歴が記載されたラベルが発行されます。

出典:監理技術者講習の実施機関一覧|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000094.html

5:監理技術者としての実務を行う

上記の監理技術者資格者証の交付と、監理技術者講習を受講・修了して履歴ラベルの発行の両方が揃って初めて監理技術者としての実務を行うことができます。監理技術者資格者証は工事現場では携帯が義務づけられているため、実務中は忘れず持っておきましょう。

監理技術者になるための条件


監理技術者になるための条件としては、7つの指定建設業の場合と、その他の22の一般建設業の場合とで異なります。建設業法においては、土木工事業・建築工事業・管工事業・電気工事業・舗装工事業・鋼構造物工事業・造園工事業が指定建設業として定められています。

出典:特定建設業の許可を受ける場合③|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/onestop/137/images/137-001.pdf

実務経験の条件や必要年数を満たす

指定建設業以外の22の建設業では、実務経験年数が必要要件を満たせば、監理技術者資格者証交付申請を行うことができます。

実務経験年数は、指定学科を履修していれば、最終学歴によって3〜5年、国家資格を有していれば1〜5年、それらのいずれでもなければ10年以上と、学歴や資格によって異なるので注意が必要です。

出典:実務経験による監理技術者の資格要件|一般財団法人 建設業技術者センター
参照:https://www.cezaidan.or.jp/managing/about/condition/experience/index.html

1級の国家資格を取得・保有する

建築業法で定められた7つの指定建設業では、管理技術者となることができるのは、1級施工管理技士、1級建築士、技術士の国家資格保有者とされています。上記の指定建設業以外の22の一般建設業であっても、国家資格保有者であれば監理技術者になることができる業種もあります。

出典:監理技術者資格者証交付申請書「作成の手引き」|一般財団法人 建設業技術者センター
参照:https://www.cezaidan.or.jp/managing/procedure/download/guide_01_01.pdf

監理技術者の仕事内容や将来性を理解しよう


監理技術者は、工事の規模に応じて法で設置が義務づけられている重要な業務を担っている仕事です。

監理技術者になるためには、資格要件として実務経験年数あるいは国家資格が必要のため、簡単になることができません。しかし、その分職位や待遇は向上するため、その仕事内容や将来性をよく理解して、監理技術者を目指してみてはいかがでしょうか。

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