現場代理人と主任技術者の仕事内容の違いとは
現場代理人と主任技術者は、いずれも「建設現場のリーダー的な存在」という共通点があります。それで「違いがわからない」と感じている人は意外に多いようです。
ただ主任技術者のほうは、建設業法に明記されているので、わからないながらも知っていることがあります。
混乱の原因は、法律に明記されていない現場代理人のようです。
現場代理人と主任技術者の違いを、この機会にはっきりさせておきましょう。
この記事でわかること »
現場代理人の仕事を考えてみる
法律には現場代理人に関することが書かれていないのですが、国土交通省の中央建設業審議会が定める「公共工事標準請負契約約款」に、現場代理人の仕事内容が書かれてあります。
建設業界にいてもこの「公共工事標準請負契約約款」はあまり目にしないと思うので、関係する条文を転記してみます。
(現場代理人及び主任技術者等)
第10条
第1項 請負者(建設業者)は、次の各号に掲げる者を定めて工事現場に設置し、設計図書に定めるところにより、その氏名その他必要な事項を発注者に通知しなければならない。これらの者を変更したときも同様とする。
一号 現場代理人
二号 A主任技術者 B監理技術者
三号 専門技術者
第2項 現場代理人は、この契約の履行に関し、工事現場に常駐し、その運営、取締りを行うほか、請負代金額の変更、請負代金の請求及び受領、この契約に基づく請負者(建設業者)の一切の権限を行使することができる。
第3項 請負者(建設業者)は、前項の規定にかかわらず、自己の有する権限のうち現場代理人に委任せず自ら行使しようとするものがあるときは、あらかじめ、当該権限の内容を発注者に通知しなければならない。
第4項 現場代理人、主任技術者(監理技術者)及び専門技術者は、これを兼ねることが
できる。
(読みやすいように、一部加筆したり削除したりしています)
この条文には、主任技術者も出てきます。この条文を要約すると、このようになります。
- 建設業者は現場代理人、主任技術者、専門技術者が決まったら発注者に通知せよ
- 現場代理人は「工事現場に常駐し」「工事現場の運営と取締りを行い」「請負代金の変更、請求、受領をして」「建設業者の一切の権限を持つ」
- 建設業者が現場代理人に任せない場合は、そのことを発注者に伝えなければならない
- 現場代理人は主任技術者を兼務することができる
特に注意したいのは、「建設業者の一切の権限を持つ」という一文です。現場代理人は、現場で強力な権限を持つ人なのです。
主任技術者の仕事と比較してみる
主任技術者の仕事は、建設業法に次のように書かれています。
- 施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理、工事の施工に従事者の技術上の指導監督
こちらも相当強い権限を有していることがわかります。
主任技術者の仕事と現場代理人の仕事を比べると、次のような特徴がみえてきます。
- 現場代理人は主に「お金のこと」に携(たずさ)わっている
- 主任技術者は主に「現場の流れ」に携わっている
ただ、先ほどみた「公共工事標準請負契約約款」に、現場代理人は主任技術者を兼務することができる、とあるように、両者の仕事はかなりクロスしている部分が多いのです。
まとめ
現場代理人も主任技術者も、建設工事現場の様子を決定づけるキーパーソンであることには間違いありません。若い作業員の方は、どちらかを目指すのではなく、どちらのスキルも身につけられるとよいのではないでしょうか。
関連記事:
主任技術者になるための実務経験とは?資格取得の要件と必要年数について
現場代理人と主任技術者についての注意事項一覧
主任技術者の専任と非専任の特徴や違いを知ろう!
編集部
俺の夢は「施工管理技士の派遣転職」に特化し、業界最大級の求人数、30年以上の転職サポート実績を誇る求人サイトです。
このサイトでは、施工管理技士の方に役立つ情報を「トレンド」「キャリア」「知識」の3つに分けてお届けしています。
運営企業:株式会社 夢真