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公開日時 2019.10.21
最終更新日時 2021.12.24

住宅瑕疵担保責任保険は施工が重要。仕組みと施工の注意点

住宅瑕疵担保責任保険における重要な施工



住宅瑕疵担保責任保険の対象となる住宅の部位は、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」です。保険の適用を受けるにあたり、各保険会社では各部位に施工基準を設けています。施工基準を満たす施工が行われていなければ、保険金は支払われません。また、施工中に検査があり、合格しないと保険対象とはなりません。
そこで主な施工基準をまとめました。

地盤調査

建物の不同沈下を防ぐために、適切な現地調査を行う又は地盤調査を行う必要があります。

現地調査は、保険会社指定の現地調査チェックシートなどを使って行われ、地盤調査の必要がないと判断された場合のみ有効です。一般的な地盤調査はスウェーデン式サウンディング調査(SWS試験)や標準貫入試験(ボーリング調査)などが必要となります。調査結果により地盤補強が必要な場合は適切な補強工事を行うことも求められます。

地盤調査では調査の種類だけでなく、調査箇所数や調査報告書提出などの細かい規定がある保険会社もあります。

基礎の施工

基礎工事の施工は、構造計算又は基礎配筋表(保険会社が定める)による配筋を行い、その他基礎の各部寸法や人通口の補強など保険会社の定める施工基準以上の仕様で基礎工事を行う必要があります。保険会社では、基礎伏図や基礎断面図の提出を求められます。

躯体工事

躯体の構造方法(木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造など)により、それぞれ構造耐力に係わる部分の施工基準が設けられています。土台や構造上重要な柱、壁、屋根組に施工基準があります。

(木造軸組み工法の基準の例(保険会社:住宅保証機構の場合))
・土台アンカーボルトはZマーク品又は同等品
・アンカーボルトの基礎埋め込み長さは250mm以上
・筋違金物はZマーク品又は同等品
・耐力壁の合板の張り方(合板の種類により釘の種類とピッチが決まっています)
・N値計算又は構造計算による構造金物の使用
・適切な小屋筋交い・雲筋交いの配置と取付
など

屋根の防水施工

屋根工事の施工は、まず屋根の種類により勾配に基準があります。

(屋根の素材と勾配の基準の例(保険会社:住宅保証機構の場合))
・瓦屋根葺き 3.5寸勾配以上
・スレート屋根葺き 3.0寸勾配以上
・ガルバリウム鋼鈑 はぜ葺き 0.5寸勾配以上
・ガルバリウム鋼鈑 平葺き  3.0寸勾配以上

屋根の下葺き材のルーフィングの素材にも品質基準があります。「JISに適合するアスファルトルーフィング940」又はこれと同等以上の防水性能を有するものなどの指定があります。下葺き材の施工は、重ね幅や屋根棟部、谷部などの施工基準(ルーフィングのかかり寸法や下地材、ルーフィングの施工位置など)があります。

その他には、天窓(トップライト)や薪ストーブの煙突の施工も施工基準があり、基準をクリアする施工を求められます。

外壁の防水施工

外壁は、防水紙や雨水の浸透を防止する仕上げ材などを用いて、建物の構造方法に応じた防水施工を行うこととされています。外壁の防水施工は、外壁の仕上げが乾式工法であるか、湿式工法であるかにより違います。

乾式工法の場合は、「外壁通気構法」による施工としなければなりません。外壁通気構法では、防水紙の種類や張り方(防水紙同士の重ね幅や窓などの開口部回り・換気扇フード回り
の施工方法など)に施工基準が設けられています。

湿式工法の場合は、「外壁通気構法」と「外壁通気構法以外」で防水紙の種類や施工位置が違います。それぞれの施工方法の基準を満たす施工が重要です。

(外壁乾式工法の施工基準例(保険会社:住宅保証機構の場合))
・防水紙は、透湿防水シート又はこれと同等以上の透湿性能及び防水性能を持つ物を使用すること。
・防水紙の重ね幅は、縦横共90mm以上とし、横の重ねあわせは窯業系サイディング・金属系サイディングの場合150mm以上とする。
・窓まわりなどの外壁開口部の周囲は、まず下端に両面防水テープを貼りその上に先張り防水シートを施工し、次に再度の両面テープ、そして上部の両面テープを貼り、防水紙を施工する。

バルコニーの防水施工

バルコニーの防水は、防水材の種類や方法により施工基準が違います。主に床の水勾配の寸法やサッシ下端、壁の防水立ち上がり寸法、バルコニー手摺の防水方法などに施工基準が設けられています。

(バルコニーFRP防水の施工基準(保険会社:住宅保証機構の例))
・水勾配は、1/50以上もしくは防水材製造会社の仕様基準
・サッシ下端の立ち上がりは、120mm以上
・外壁面の立ち上がりは、250mm以上
・バルコニー手摺の防水は、防水紙3枚による巻き込みと手摺笠木取付金物の下の防水テープ処理を行う

住宅瑕疵担保責任保険は設計も重要

住宅瑕疵担保責任保険の施工基準をクリアするためには現場の施工対応だけでは難しいものがあります。設計の段階から住宅瑕疵担保責任保険への加入を考慮した図面とし、施工する際に施工基準に適合しないというトラブルがないように図面による確実な指示を行う配慮が必要です。

また、施工基準の適合が難しい案件は、保険会社に施工前に相談し、詳細施工図を出すことで保険適合を受ける方法を取るようにしましょう。

住宅瑕疵担保責任保険には検査がある

住宅瑕疵担保責任保険の保険適用を受けるためには、施工中の現場検査に合格しなければなりません。現場検査の時期は、保険会社や構造方法により違います。

(現場検査の時期(住宅保証機構の場合))
・木造軸組み工法の場合
1回目の検査は、「基礎配筋時」です。基礎配筋の様子が確認できるように、ベース配筋と立ち上がり配筋が終了し、ベースコンクリートを打設する前に行います。

2回目の検査は、「屋根の施工が完了し、構造金物の確認、耐力壁、バルコニー防水下地が確認できる時期」です。工事が進み、確認ができないことがないように各工事の進捗状況に注意が必要です。確認する内容が多岐にわたるので、施工写真を撮影しておくようにすると確実です。

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