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公開日時 2019.09.20
最終更新日時 2022.04.06

徹底した安全衛生管理で作業環境の向上と労働災害の未然防止を!

安全衛生管理体制について

建設現場において労働災害が多発する原因の一つとして、重層下請構造の問題があると先に説明しました。

そうした問題を解決するため、元請の建設業者には現場全体を統括して安全衛生管理を行うという使命が与えられます。その職務について見ていきましょう。

総括安全衛生責任者

まず、事業場の規模に応じて「総括安全衛生責任者」を選任することが労働安全衛生法第10条第1項で義務付けられており、建設業では常時使用する労働者数が100人以上となる場合に選任が求められます。

総括安全衛生責任者には、実際にその現場を統括している者を充てなければならないため、現場所長や現場代理人が兼務するのが一般的です。

職務内容としては、以下のとおりです。

1.労働者の危険又は健康障害を防止するための措置

2.労働者の安全又は衛生のための教育の実施

3.健康診断の実施その他健康管理

4.労働災害の原因の調査及び再発防止対策

5.安全衛生に関する方針の表明に関すること

6.建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置

7.安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること

これらの業務を適切かつ円滑に実施するための措置及び実施状況の確認や、とりまとめを行います。

統括安全衛生責任者

複数の事業者が混在する現場において、関係請負人(下請)を含め常時50人以上となる場合、特定元方事業者では「統括安全衛生責任者」を選任することが労働安全衛生法の15条において定められています。

ただし、ずい道等の建設の仕事、圧気工法による作業を行う仕事、橋梁の建設の仕事の現場に関しては常時30人以上が選任の要件となりますので注意が必要です。

特定元方事業者とは元方事業者(元請)のうち建設業・造船業を営む事業者のことで、つまり統括安全衛生責任者の選任を義務づけられているのは、この2業種だけということになります。

統括安全衛生管理者は統括安全衛生管理に関する教育を受けた者の中から選任することとされており、以下の職務を担当します。

1.協議組織の設置及び運営

2.作業間の連絡及び調整

3.作業場所の巡視

4.関係請負人が行う労働者の安全衛生教育に対する指導及び援助

5.工程計画及び作業場所の機械や設備の配置計画の作成等

6.その他、労働災害防止において必要な事項

元方安全衛生管理者

統括安全衛生管理者を選任した現場において、その補佐としての職務を行うため労働安全衛生法第15条の2に基づいて選任されるのが「元方安全衛生管理者」です。

統括安全衛生管理者の職務のうち技術的事項の管理を行うため、選任に際しては一定の学歴と建設工事の施工における安全衛生の実務経験が求められます。

必要な学歴、経験は以下のとおりです。

・大学又は高専の理科系統の課程を卒業し、3年以上の実務経験

・上記理科系統以外の課程を卒業し、5年以上の実務経験

・高校の理科系統の課程を卒業し、5年以上の実務経験

・上記理科系統以外の課程を卒業し、8年以上の実務経験

・その他、厚生労働大臣が定める者

店社安全衛生管理者

「店社安全衛生管理者」は労働安全衛生法の15条の3において、複数の事業者が混在する常時20人以上の統括安全衛生責任者を置かない現場において選任することが定められています。

選任の要件として、以下のような一定の学歴と建設工事の施工における安全衛生の実務経験を有している必要があります。

・大学又は高専卒業後、3年以上の実務経験

・高校卒業後、5年以上の実務経験

・その他、厚生労働大臣が定める者

職務内容としては、統括安全衛生管理を担当する現場代理人や現場所長に対する指導を行う他、以下のものが挙げられます。

1.毎月1回の作業場所の巡視

2.作業の種類や実施状況の把握

3.協議組織の会議に随時参加する

4.工程計画、作業場所の機械・設備等の配置計画等

50人以上の事業場における管理体制

労働者数が常時50人以上の事業場においては、

「安全管理者」(労働安全衛生法11条)

「衛生管理者」(労働安全衛生法12条)

「産業医」(労働安全衛生法13条)

を選任すると共に、

「安全衛生委員会」(労働安全衛生法17条)

を設置します。

総括安全衛生管理者を選任が必要な100人以上の事業場においては、総括安全衛生管理者が安全・衛生管理者を指揮すると共に事業場全体を統括し、安全衛生管理を行います。

安全管理者は安全に関わる技術的な事項、衛生管理者は衛生に関わる技術的な事項の管理を、産業医は健康診断の実施や健康保持・維持管理のための措置等に関する職務を行います。

また、選任するにあたってはそれぞれ一定の要件が必要です。

「安全管理者」

・大学又は高専の理科系統の課程を卒業し、2年以上の実務経験

・高校の理科系統の課程を卒業し、4年以上の実務経験

もしくは、労働安全コンサルタントか厚生労働大臣が定める者となります。

「衛生管理者」

・第一種衛生管理者、衛生工学衛生管理者、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等

「産業医」

・大学で産業医の養成課程を卒業し、その大学が行う実習を履修した者

・大学での労働衛生に関する科目の教授、助教授、常勤講師の経験

もしくは、保健衛生区分の労働衛生コンサルタントか、所定の研修を修了している、その他厚生労働大臣が定める者となります。

小規模事業所における管理体制

常時10人以上50人未満の事業場においては「安全衛生推進者」を選任することが、労働安全衛生法12条の2において定められています。

選任の要件として、

・大学、高専卒業後1年以上の安全衛生の実務経験

・高校卒業後、3年以上の安全衛生の実務経験

・5年以上の安全衛生の実務経験

もしくは、労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント等の資格を保有しているか、所定の指定講習を修了している必要があります。

職務としては、事業主等の指揮を受け、危険や健康障害防止のための措置や安全衛生に関する教育の実施、健康診断の実施、労災の原因調査や再発防止対策等を行います。

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