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公開日時 2019.08.02
最終更新日時 2022.04.06

施工管理者は知っておきたい諸申請について!

設計時に提出する諸申請の種類


ここからは、具体的な諸申請について紹介をしていきます。施工管理者としては、諸申請それぞれがどのような意味を持っているかを知ることで現場での対応も変わってくると思いますので、是非抑えておきたいところです。
・開発行為(都市計画法29条)
都市計画法では、開発行為における許可を29条によって定めています。
<都市計画法29条>
都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
(出典:電子政府の総合窓口
では、開発行為とは何でしょうか。
都市計画法4条12項によって定められています。
<都市計画法4条12項>
主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更
(出典:電子政府の総合窓口
開発行為とは、いわゆる建築物等を建てる目的で土地の区画形質の変更を行うということです。
開発行為がある一定の規模以上になると、都市計画法29条に基づき許可を得る必要があります。その場合、道路等の幅員要件やインフラ等の整備など、付帯的な整備が必要となります。
大規模な建築物がもたらす影響は大きい為、規制をせずに建築を認めてしまうと、都市機能を損なう町になって行く可能性があります。開発行為の許可を必要とする理由としては、ある程度の規制をすることで、都市機能を維持したままとすることができると考えているからです。

具体的な指導内容としては、規模に応じた接道道路の幅員規定、開発区域内の道路幅員規定などを定め、条件が整わない開発区域に対しては許可をしない内容となっています。(地区により様々な指導を行っており、景観や緑化も含まれます。)

景観条例

景観条例の基になる法律は、景観法という法律です。この法律は2004年に公布されたもので比較的近年にできたものです。この法律は、高度経済成長以降から始まった、経済優先という考えに基づきつくられた建物が調和、美観、伝統を軽視したものになってしまった事により諸外国と比べると、無秩序で美しくない建築物となっているという点に問題を感じ制定されたものです。。
景観法及び景観条例では、地域毎に景観形成に対する方針を定め、その方針に従うと共に届出を規定しています。
具体的な指導内容としては、建築物の形態規制・建物外壁等の色彩規制などを条例等に従い計画することとしています。景観に特に力を入れている地域などの場合は、景観デザイン会議などに取り上げる必要性等がある場合もあります。

緑化計画

緑化計画制度では、都市化により衰退が進んでしまった自然を取り戻す動きとして、各都市で条例等を制定し、ある一定規模以上の建築計画に対して緑被率等の基準を定めています。具体的には、敷地全体の緑被率、接道緑化、屋上緑化、壁画緑化等の整備を基準としています。緑被率等の考え方は、地方自治体等により大分考え方に違いがあります。
例えば、東京都には「東京における自然の保護と回復に関する条例」という緑化計画制度があり、最低でも敷地面積から建築面積を引いた約20%を緑化する事としています。一方、緑の基準に力を入れている東京都練馬区では「練馬区みどりを愛し守りはぐくむ条例」として概ね敷地面積から建築面積を引いた30%を緑化する事としています。
また、公共的な建物の場合は、緑化計画基準を適用する敷地面積等を引き下げ、公共事業等は積極的に緑化を進めるようにとの考えもあります。
緑化がヒートアイランド現象の抑制や景観形成等に有益であるということは、様々な事例等からも証明されており、今後の建築計画においても切り離すことができないものとなるでしょう。

雨水抑制

近年、ゲリラ豪雨と呼ばれる局所的な集中豪雨の発生が多く、水害に対する関心は高まっています。
基本的に雨水は敷地内で処理を行いますが、建築物はコンクリートや鉄骨など雨を吸収することができない素材でできていることが多く、元々が雨を吸収する敷地であった場合に比べると吸収されない雨は敷地外に多く排出されるようになります。結果として下水道管の雨水量の負担は増えてしまい水害のリスクが高くなります。そのような状況を起こさない為にも都市の水害を守る一つの方法として下水道管の許容量をある程度確保しておき、大量の雨水が流れこんできても、溢れかえらないようにすることが求められます。
その為、建築計画をする際に、敷地外構に対して浸透性のある舗装や配管の整備、また降った雨を一時貯水し、少量ずつ下水道管に排出することで、下水道管の負担を軽減する指導をしています。
具体的には、敷地面積等に対しての雨水抑制量を行政等が規定しているパターンがほとんどです。事業主は、その抑制量に対して、雨水浸透マスや浸透トレンチ、浸透側溝、浸透舗装等の整備、又は貯留槽などを整備する必要があります。
緑化計画と同様に、公共事業においては雨水抑制量を算出する為の基礎となる係数値が高く、敷地内での積極的な雨水抑制を公共事業には課しています。

まちづくり条例

区市町村によっては名称が違う所もあるが、「まちづくり条例」「開発条例」等という名称で制定されています。この条例は、上記で説明した開発行為には該当しないが、ある程度大きな規模の建築工事になる場合などにおいて、整備基準を設ける条例です。
この根本的な考え方は、大きな建築物ができる事により人の流出入の数が増え、交通問題や衛生問題等に不備が生じる可能性が出てくる為、ある程度の整備基準を設けて良好な環境を維持する事を目的としています。
具体的には、敷地の規模や建築物の計画面積等に応じて、駐車場・駐輪場・ゴミ置場等の整備が付加施設として要求される場合があります。

マンション等に関するワンルーム条例

都市部においては、戸建住宅よりも集合住宅の方が、敷地の有効利用によって居住環境を整備できるものとして市場は活発化しています。
そのような中で、行政機関はいわゆる居住専用面積が小さいワンルームといわれるマンション等の計画に対して、一定の環境整備基準等を設けている所が多数あります。
まちづくり条例等と考え方は一緒で、駐輪場やゴミ置場等の附帯設備を整備する事で環境維持に努めるものです。
特に、ワンルームに住む人は単身者が多く、生活スタイルが多種多様なので、町の居住環境を維持していく為にも行政側が目を光らせている所もあります。事業者任せにし劣悪な居住環境が整備されてしまうと犯罪の温床になる可能性もあるので最低居住面積を定めるなどをして環境維持に努めています。

福祉のまちづくり条例

いわゆるバリアフリーに関係する条例です。バリアフリー法が大元となる条例ですが、バリアフリー新法が建築主事の審査であるのに対して、福祉のまちづくり条例は都道府県、区市町村で独自の届出先となっているパターンがほとんどです。バリアフリー新法は最低限の基準を設けるものですが、地域の実情にあっているかと言えばそこまで手が届くものになっていないのが実情です。区市町村では、末端の利用者までにバリアフリーの考え方が行き届くように、独自の条例を制定しています。
整備基準については、バリアフリー法との考え方はほとんど変わらず、移動円滑化経路といわれる段差なしで目的場所までたどりつける経路の設定、車椅子等が通りやすい廊下やスロープ・エレベータ・案内板・誘導ブロック・駐車場・多目的便所の整備など、建物の用途や規模に併せて様々なものを整備する必要があります。

建築物省エネルギー法

地球温暖化、限りある資源という地球規模の問題を背景に、建築物に対する省エネルギーの取り組みも活発化を増している。建築物省エネルギー法は、正式には「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」という名称で平成27年に施行されたものです。元々は建築物だけに特化した法律ではない「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)によって運用されていたものですが、平成27年に建築物に特化した法律として新たに施行されました。建築物も電気やガスを運営の為に利用し、そこから排出される温室効果ガス等が地球温暖化等に問題を与えている事は間違いありません。建築物省エネルギー法では、ある一定規模以上の建物に対しては、基準適合や届出を義務付けている事で規制を図っています。基準適合を求められる建築物では、建築確認申請と連動した申請と位置付けられ、基準に適合しなければ建築確認を受ける事ができないと規定されています。
具体的には、外壁面や屋根面に対して断熱措置を施すと共に、空調・換気・電気設備等に対しては省エネルギー性能が高いものを採用するようになっています。

中高層建築物紛争予防条例

ある程度大きめな建築物が計画されると、近隣住民等は住環境が悪くなったと感じる人も出てくる可能性があります。建築物が事業主の強引な計画とならないように、近隣住民に対しての説明義務を課しています。条例で決められた範囲内の住民に対して、個別説明や説明会等の開催を義務付け、その説明会の結果を報告するように規定されています。建築をすることは個人の自由ですが、近隣に対して配慮することを求めるものとなっています。行政機関は、近隣から反対意見があがった場合においても、事業主に対して計画の中止や縮小を要求することはできませんので、あくまで事業主に対して紛争解決に尽力するようにと指導をする程度に留まります。

地区計画

都市計画の中では、ある一定の地域で町の特性の創出や維持を目的に、地区計画というものを定めている場合があります。これは都市を大きなスケールで捉えた時に、個人の事業に任せておくと無秩序な乱開発となり、目指すべき都市像という物が実現できなくなる可能性があります。そのような方向性を、地区計画という法律の枠を作ることで実現して行こうとするものです。事業主側は、地区計画に規定された内容を満足した建築計画としないと、最終的には、確認申請がおりません。建築計画をコントロールする意味では大きな影響力を持っている事は間違いありません。

建築物の解体等に関する条例

バブル経済の中で建てられた建築物は、近年老朽化が進み、改修や解体のタイミングを迎えつつあります。建築物を建築することも、騒音の発生や粉塵の発生などで周辺に対して多大なる影響をもたらすことは大きな課題です。改修や解体工事等においても同様なことがいえます。その中でも問題になっているのが、アスベスト建材による飛散被害問題です。昔の建物に使われていた建材には、アスベストを含有するものがあり、その建材を解体した時にアスベストが飛散し、浮遊したものを人が吸い込み肺気腫等を発症する事がわかっています。社会的な問題となったこの事象を政府は法律化し、アスベストを含有する建材の使用禁止、解体時にはアスベスト建材の含有調査を行っています。アスベストが含有する建材である事が確認された場合には、撤去する行為に対して飛散等の安全性を確認する為に、行政機関等への届け出を義務付けています。また、近隣への影響も大きなものになることが予測される事から、説明会等を義務付けている行政団体もあります。

土壌汚染対策法

歴史を振り返ると、今は有害物資と認識されているものも、かつてはそのように認識をしていなかったという事は良くある話です。土壌汚染対策法は、工場等があった跡地においては、地中に有害物資が含有されていないかなどを調査することを義務付け、有害物資等が確認された場合には対応を講じるように指導するものです。具体的には、土地の履歴を調査して工場的な用地であったかを確認し、場合によっては資料を採取して、有害物資の有無を判断します。

諸申請は行政毎に異なる

諸申請の法律を作っているのは国だとしても、届け出等の事務行為は地方自治体に移管されている事がほとんどです。また、法律に基づき、地方自治体は条例を制定している事があるのも周知の通りです。さらには、地方独自の考え方で、条例や指導要綱を制定している事もあります。このような事からわかるように、諸申請によって指導する内容は、行政毎に異なるので注意が必要です。
しかし、大体の行政が似たような都市計画理念を持っている事からも、詳細な指導内容は異なれども、届け出をする種類は大体が似たものとなっている事が主流でしょう。

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