公共工事に伴う現場監督の諸業務
現場監督は現場管理だけではなく、様々な業務を行います。
書類作成や整理もあり、現場が終わり事務所に上がってから書類作成など諸業務を行う必要があります。
特に新人現場監督には慣れていないこともあり、現場書類の作成に時間が掛かってしまうことがあります。
現場監督が作成する書類や図面はどのようなものがあるのか、作成や取扱いのポイントも含めて詳しくご紹介していきます。
現場監督の仕事の中でも重要!公共工事の現場書類!
公共事業の工事を請け負うと、大量の書類を発注者の官公庁に提出する必要があります。
提出しないといけない現場書類には様々な種類や量があり、数にすると50~100枚ほどの書類の量となります。
それらの書類を、適切なタイミングで提出していき工事を円滑に進めていきます。
現場書類の中でも、手間がかかり現場監督が作成に困ってしまいがちな、5つの書類についてご紹介いたします。
(国土交通省 工事関係書類一覧表より抜粋)
総合工事工程表
工事全体の、総合的な工事工程表の作成を行います。
工事の開始から完了までを、各工事別に時系列に表示をしたスケジュール表です。
発注者の官公庁の指示により、ネットワーク工程表やバーチャート工程表を採用して作成していきます。
ネットワーク工程表は様々な工事の流れを明確にできる機能を持っており、バーチャート工程表は工種毎の工事期間を明確にできる機能を持ちます。
総合工事工程表は、全体の工程に対して適切に細かく計画をして作成しなければならず、3カ月先や6か月先の工事の流れを見越して判断をして作成します。
そのため、現場管理についての協力業者の具体的な都合が判らないと正確で適切な工程表を作成することはできません。
総合工事工程表により全ての工事の施工時期や工事相互の関係を把握することができ、各種検査や材料の発注なども記載することで、効率的な現場管理を行うことができます。
工事完了後、赤線や赤字で実施状況を記載して実際と現実を比較した工程表を完成書類で提出し、予定と実施を必ず比較し、工程のズレに対する対策を行います。
各種工事施工計画書
施工計画書は、工事着工前に必要となる各工種の施工に関する計画書です。
各種工事着手前に工事の工法などの計画を細かく記載して、作業を効率よく安全に進めるために必要な計画書です。
工種ごとに必要となり、建築工事の場合は20工種程度の施工計画書を作成します。
工種別に施工前に工事監理者に提出して確認を頂いた後に、施工へと移る流れとなります。
そのため、その工種の工事が始まる前に工事監理者に提出して確認を得なければならず、最低でも工事開始の1週間前には提出する必要があります。
工事現場概要や工種ごとの工程、工種ごとの組織図、工事の進め方、工事写真の撮り方、工事を行う際の危険性など、その工種に携わるすべてのことを記載して工事監理者に確認をいただきます。
どのように工事を進めていくのかの細かい部分までを工事監理者に伝えることができるので、工事の行き違いがなくスムーズに工程を進める事ができます。
施工体制台帳
施工体制台帳は、協力業者やその下の3次協力業者などの工事施工を請け負う全ての業者名や施工の範囲、技術者名、所持資格などを記載する台帳です。
施工体制台帳を作成することにより、有資格者の配置や品質、工程、施工上のトラブル、建設業違反の発生を防ぐことができます。
発注者からの請負金額が4,000万円若しくは建築一式6,000万円以上となる場合必要となる書類です。
工事に携わるすべての業者の分を作成しないといけないので、その書類の量は膨大となります。
工事前に作成し、施工体制台帳に基づいた協力業者と工事を進めていきます。
施工体制台帳は、工事完成後5年間保管しないといけない義務があります。
施工体系図
施工体系図は、作成した施工体制台帳に基づき、各協力業者の施工分担体系を一目で明確にした図です。
施工体系図を見て確認することにより、工事に関わる関係者全員が工事による役割分担を把握することができます。
掲示することで、工事の施工に対する責任と工事現場での役割分担が、明確になります。
関係者が見やすい場所に掲示しなくてはいけなく、安全掲示板や工事標識の横に表示することが一般的となっております。
作成義務は請負金額により、4,000万円以上若しくは建築工事一式6,000万円以上となる場合となります。
工事打合せ簿
工事打ち合わせ簿は、工事監理者及び施主との打ち合わせ内容を記載して記録として残す書類です。
誰もが見てもわかるように明確に記載して作成しないといけなく、作成後は工事監理者の確認を得て双方の捺印した上での保管となります。
ここで気にかけるべきポイントは、誰でも理解できるように書くということです。
誰が読んでも明確に伝わる文章の作成というのは、意外と簡単なことではありません。
作成した自分が理解できても相手には理解されずに、場合によっては打ち合わせ簿で明確にしているはずが、かえって内容を混乱させてしまったというケースもあります。
打ち合わせ記録簿の内容によっては、工事監理者に提出し確認を得たくても戻ってきてしまう場合もあります。
打ち合わせ記録簿に記載する内容というのは非常に重要であり、完成検査の際に検査員に細かく聞かれることがあるので明確な内容で作成することが大事となります。
打ち合わせ簿の内容によっては、工事監理者に確認をもらえないと次の施工ステップに進むことができない場合もあり、たった1枚の打ち合わせ記録簿を作成し提出するものも、ひと仕事となってしまいます。
また、忙しいと打ち合わせ内容を忘れてしまい記録を取ることができなくなってしまうこともあるため、打ち合わせや変更事項があったらすぐに作成することが大事です。
打ち合わせや変更事項を適宜打ち合わせ記録簿に記載しておかないと、後々に揉め事となってしまう場合もあるので、注意が必要となります。
難しい書類ばかりだけれど作り慣れると苦にならない
このように、現場書類1つ1つだけをチェックすると簡単に作成出来そうに思えますが、他にも作成しないといけない書類は大変多くあるので、どれも慣れていないと難しく作成しにくい書類ばかりです。
どの書類も、作り慣れてくると作成が全く苦にならなくなります。
スムーズに現場書類を作成できるようになり、工事監理者の確認も素早く得ることができるようになります。
編集部
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