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公開日時 2019.06.07
最終更新日時 2022.04.06

労働災害を防止しよう!関連法律や防止方法などをまとめました。

労働災害が発生したときの責任の所在と安全配慮義務違反


工事現場で事故が発生したときは事故の責任の所在は企業にあります。なぜなら企業には労働者が安全な環境で働くよう安全配慮義務が課せられているからです。では労働災害が起こった場合の企業が負うべき責任にはどのようなものがあるのでしょうか。また安全配慮義務に関する現状についても説明していきましょう。

労働災害と企業の責任

労働者が業務中などに労働災害に遭うと事業主や雇用側の企業にはさまざまなペナルティーが課せられることになります。
まず刑事罰に問われるケースがあります。
企業には「職場における労働者の安全と健康を確保し快適な職場環境を形成する」ことが労働安全衛生法により義務付けられています。労働安全衛生法に違反するとたとえ労働災害が起こらなくても企業には刑事罰が科せられ、労働者が死傷した場合は業務上過失致死罪に問われる場合があります。

次に民事上の賠償義務を負うこともあります。
企業は労働契約法5条により「労働者がその生命、身体の安全を確保しつつ労働ができるよう必要な配慮」が義務付けられています。企業が安全配慮義務違反を犯し労働者が負傷した場合は損害賠償義務を負うことになるのです。

また被害を受けた労働者やその家族への補償 の義務も生じます。
労働基準法や労働者災害補償保険法では業務に内在する理由で事故などに遭った場合は労働者の治療と生活保障が企業に義務付けられているのです。
被災労働者が死亡した場合は遺族に対して平均賃金の1,000日分の遺族補償や、葬祭料の給付を行う必要があります。労働災害によって障害が残った場合は、その程度に応じ障害補償をしなくてはなりません。

さらに作業停止や機械の使用停止などの行政処分のほか、企業の信頼低下や社会的な責任を負う結果になるなど、労働災害を引き起こした企業は多くのペナルティーを支払うことになるのです。

こうしたペナルティーは一つの企業だけが負うものではありません。建設工事の場合は発注者、元請け、下請けとさまざまな企業が関わっていますが、それぞれが労働者の安全に配慮することを求められており、もし事故が起こった場合はすべての企業が責任を問われることになります。

出典:
労働安全衛生法

労働契約法

安全配慮義務違反のケース

安全配慮義務は平成20年3月に施行された労働契約法で明文化されたもので比較的新しい法案です。業務中の事故による死傷事故のほか、過重労働やパワハラ、セクハラによる精神疾患なども安全配慮義務違反に該当します。例えば時間外労働が月100時間超や2か月間から6か月間で平均80時間超の場合は過労死または健康リスクが高まり、企業がこれを放置したときは安全配慮義務違反に問われることになります。また管理監督者には労働基準法第41条で労働時間の規定が適用されませんが、もし管理監督者が過労死した場合も企業は安全配慮義務違反に問われることになるので、管理監督者の労働環境にも配慮しなくてはいけません。

労働法の違反率の推移

ここまで述べたとおり現在は建設現場をはじめすべての職場で安全配慮義務が義務付けられていますが、では実際の状況はいかがなのでしょうか。
厚生労働省が平成28年4月から平成29年3月に23,915事業所に調査をしたところ、全体の66%、うち建設業では52%で労働基準関係の法令違反が認められました。この調査結果を見る限り多くの業界でまだまだ安全配慮義務に対する意識は薄いといわざるを得ません。企業が安全配慮義務への意識を高め、できるだけ労働災害が起きない職場環境づくりが求められているのです。

●重点監督実施状況

出典:厚生労働省

安全書類とは


建設工事では安全に工事を終了するためにさまざまな対策がとられていますが、安全書類の作成もその一つです。では建設工事ではどのような安全書類が作成されるのでしょうか。

安全書類について

工事現場における安全書類は正式には労務安全書類といい、グリーンファイルとも呼ばれます。下請け業者が建設現場で作業する際には元受け業者に提出し5年間の保存が義務付けられています。

●主な安全書類
・施工体制台帳の作成及び通知書
・施工体制台帳
・再下請け通知書(変更届)
・下請け業者編成表
・作業員名簿
・車両届(工事用、通勤用)
・持込機械等(移動式クレーン/車両建設機械等)使用届
・持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届
・危険物(有機溶剤・特定化学物質等)持込使用届
・火気使用願
・労務安全衛生管理 及び再下請け契約等に関する誓約書
・新規入場時等教育実施報告書
・安全ミーティング報告書
・年少者就労報告書
・高齢者就労報告書
・外国人労働者建設現場入場届書 等

グリーンサイトの活用

安全書類の作成は工事終了後、夜遅くまでかかることもあり現場監督の大きな負担となっています。しかし最近ではネットで安全書類作成ができるグリーンサイトの利用により、作成の手間が大きく削減できるようになりました。

グリーンサイトのメリットとしては
・書類作成の負担軽減
・書類の記入漏れ、提出書類の不備などチェック
・作業員の資格・健康診断など作業員情報の管理
・車両の車検や保険等の管理
・協力会社の社会保険加入状況のチェック
等があげられ、安全書類の作成から管理が効率的にできるようになっています。
なお2015年時点でのグリーンサイトの利用企業数は
・元受け70社
・協力会社約29000社

グリーンサイトの活用で建設現場の安全管理体制はますます強化されているといってよいしょう。

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