一級建築士の合格率と難易度は?すごさや何回目で合格できるかも解説

キャリアや年収アップのために、一級建築士の資格を取りたいと考えていても、合格率や難易度が分からず、躊躇している方もいるでしょう。
「一級建築士のすごさが、どれくらいなのか分からない」「一級建築士の試験は、何回目で合格できるものなの?」
このような悩みを持つ方のために、本記事では一級建築士試験の合格率を紹介したうえで、試験内容や学科別の難易度について説明していきます。
合格するための対策方法も解説しているので、一級建築士試験について詳しく知ることができ、合格に向けて自分に合った対策を選ぶことができるでしょう。
これから一級建築士試験を目指そうと思っている方は、是非ご一読ください。
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この記事の目次
一級建築士試験の合格率・すごさはどれくらい?
公益財団法人建築技術教育普及センターによると、令和3年の一級建築士試験の総合合格率は9.9%。
直近5年間の総合合格率を見ても10~12%ほどとなっており、非常に難易度が高いと言えます。
参考元:「公益財団法人建築技術教育普及センター」
10人に1人しか合格できないことから、一級建築士試験に受かることのすごさが、いかほどかが分かるでしょう。
一級建築士に合格するためには、学科試験と設計製図試験の両方に合格する必要があります。
それぞれの試験別に合格率を紹介していきます。
学科試験の合格率
一級建築士試験では、まず学科試験を受験します。この試験に合格してはじめて、設計製図試験を受けることができます。
令和3年の学科試験の実受験者数は31,696人で、合格者数は4,832人となっており、合格率は15.2%です。
直近5年間の学科試験合格率を見ても10%後半~20%前半となっているため、非常に難易度が高いと言えます。
設計製図試験の合格率
晴れて学科試験に合格したら、次は設計製図試験です。この試験に合格して、ようやく一級建築士の資格を取得できます。
令和3年の設計製図試験の実受験者数は10,499人で、合格者数は3,765人となっており、合格率は35.9%です。
直近5年間の合格率を見ると30%後半~40%前半となっており、学科試験より合格率は高いですが、難易度は高めと言えるでしょう。
一級建築士試験の難易度を科目別に解説

一級建築士試験の合格率は、学科試験・設計製図試験共に高いことが分かりました。
特に難易度の高い学科試験には、5つの出題科目があります。これら5つの出題科目と設計製図について、令和3年に出題された問題を例に、それぞれの試験内容と難易度を具体的に紹介していきます。
どのような科目が難しいのか分かるため、受験対策の参考にしてください。
出典:令和3年度一級建築士学科試験の総評|一般社団法人全日本建築士会の建築士講座
参照:https://ssl.kenchikukouza.org/sumai20210712.html
学科Ⅰ(計画)
学科Ⅰの出題科目は「計画」です。計画の出題範囲は、世界の有名な建築作品や建築物を建てるための規則、建築積算、環境など多岐に渡ります。
令和3年に出題された問題では、「施設の計画・運営に関する官民連携」、「都市開発やまちづくり」、「自然災害に対応する住宅・住宅地等の計画」などの出題が注目されました。また、建築士法に係わる難易度の高い問題も出題されています。
新規の選択肢を含む難易度の高い問題が多く見られましたが、過去問の範囲からの出題も多かったため、過去問をしっかり解き、新規の事項についても知識を身につけておくことで合格点に至るような内容でした。
学科Ⅱ(環境・設備)
学科Ⅱの出題科目は「環境・設備」です。環境・設備の出題は環境工学から10問、建築設備から10問となっているため、どちらの知識も重要です。
令和3年に出題された問題の難易度は例年並みでしたが、出題内容に対して本質的に理解していることが求められる問題だったため、暗記しただけでは答えられないよう工夫されていました。
新たな傾向としては非常用電源に関する問題や、被災時に避難や救護場所等になり得る企業の設備の在り方など、近年多発している災害に関連した問題が出題されていました。
学科Ⅲ(法規)
学科Ⅲの出題科目は「法規」です。法規は学科試験の中でも得点源とされている科目で、文字通り法令に関する問題が出題されます。
法令が改正された年は改正法規についての出題が見られますが、例年過去問の範囲からの出題が多い傾向で、令和3年に出題された問題も例年並みでした。
しかしこちらも、単純な暗記だけではなく知識の積み重ねが必要な出題内容が多く見られました。
また、新たな傾向として「建築物省エネ法」や「建設リサイクル法」に関わる問題が出題されており、近年の社会状況を反映しています。
学科Ⅳ(構造)
学科Ⅳの出題科目は「構造」です。構造は、構造力学の計算問題と文章問題が出題され、出題数が30問と、法規と同様に得点源とされている科目です。
令和3年に出題された問題の難易度は例年並みで、新たな傾向の問題も少なめでした。近年の構造の問題は、難易度が比較的高くない傾向が続いています。
ただし前述の学科同様、暗記ではなく本質的に理解していなければ解けない問題となっています。
改修・耐震診断に関する問題や、非構造部材の耐震性に係わる問題も出題されており、近年の環境や自然災害に対する意識が問題にも表れていると言えるでしょう。
学科Ⅴ(施工)
学科Ⅴの出題科目は「施工」です。施工は計画と同様に出題範囲が多岐に渡るため、幅広い知識をいかに正確に記憶しているかが重要です。
施工は近年、新規の知識を問う問題が多く出題される傾向にありましたが、令和3年も同様に新傾向の問題が出題され、難易度が高い科目となっていました。
新たな問題の中でも、近年改正された建設業法に関する「監理技術者補佐」の問題が注目されました。工事監理者の職責に関連する問題は、今後も留意しておきたいものです。
設計製図
平成21年に一級建築士試験の設計製図試験内容の見直しが行われ、より難易度の高いものとなってきましたが、令和3年はさらにその傾向が強くなっています。
令和3年の設計製図試験の課題条件は「集合住宅」で、敷地の周辺環境に配慮することや、各要求室を適切にゾーニングし明快な動線計画をすること、省エネルギーやセキュリティ等に配慮することなどが留意事項として出題されました。
この課題では、敷地におけるアプローチの考え方が難しく、このアプローチのとり方次第で建築計画全体を左右するような内容で、非常に高度な建築計画力を問われました。
出典:一級建築士試験設計製図試験内容の見直しの具体的対応について |国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/000043812.pdf
出典:令和3年度ー集合住宅ー一級建築士設計製図試験の総評|一般社団法人全日本建築士会
参照:https://ssl.kenchikukouza.org/sumai20211011.html
一級建築士試験に合格するための対策方法
一級建築士の試験内容は多岐に渡り、さまざまな分野を勉強する必要があります。
また、暗記だけではなく、深く理解し本質を知ることが求められる分野が多いです。
そのため、一級建築士試験に合格するためにはポイントをおさえて効率的に勉強することが必要です。
ここからは、一級建築士試験に合格するための対策方法を紹介していきます。
はじめに学科を集中的に勉強する
前述の通り、まずは学科試験に合格しなければ、設計製図試験を受験することができません。
令和2年より、学科試験に合格すればその後行われる5回の建築士試験のうち、3回までは学科試験が免除され、設計製図試験のみを受験することが可能です。
そのため、まずは学科を集中的に勉強して学科試験突破を目指しましょう。
過去問を繰り返し解く
学科試験は、過去問と似た問題が出題される傾向にあります。
一級建築士試験の内容と難易度でも紹介したように、令和3年の学科試験も過去問の範囲からの出題が比較的多いことが分かります。
そのため、過去問を繰り返し解いて深く理解していきましょう。
過去問は最低でも、5年分程度は解いておくことがおすすめです。
1度解くだけではなく、同じ問題を何度も解き、解説を読み込んで問題の本質を理解しましょう。
法令集と参考書を併用する
学科試験の中でも、学科Ⅲ(法規)は得点源とされている科目です。
そのため、法規を勉強する際は法律の内容をしっかり理解するためにも、参考書だけではなく法令集も合わせて確認しましょう。
学科Ⅲ(法規)の試験では法令集の携行が認められています。勉強の際に何度も法令集を引いておくと、手が覚えてすぐに項目を探し出せるようになってくるため、法令集と参考書の併用は大変重要だと言えます。
最新の書籍を選ぶ
建築基準法などは頻繁に改正されるため、勉強に使う参考書や法令集は最新のものを選ぶようにしましょう。
特に法令集は重要で、11~12月頃に発売される最新の法令集をいち早く購入し、年内に線引きやセットアップを終わらせておくことがおすすめです。
法令集を選ぶ際は、インデックスシールが付いていたりアンダーラインの引き方教材が付いていたりする、建築士受験向けに作成されている以下の法令集から選ぶのがおすすめです。
- 建築関係法令集法令編 令和4年版
- 建築基準関係法令集 2022年度版
- 建築基準法関係法令集 2022年版
空き時間にアプリで勉強する
現在、一級建築士試験対策ができるアプリが多く提供されています。
通勤時間や仕事の休憩時間中、ちょっとした空き時間などにアプリを使って勉強すれば、効率的にコツコツ勉強することができます。
おすすめのアプリは以下の3つです。問題量が多く解説資料があるものや、シンプルで使いやすいもの、動画の講義がメインのものなどさまざまな種類があるため、自身にあったアプリを選ぶと良いでしょう。
- 「1級建築士」受験対策
- スタディング一級建築士講座
- 一級建築士暗記カード+過去問 解説付
アプリだけで合格することは難しいですが、参考書や過去問で勉強した内容をアプリで復習することで、知識を身につけていくことができるでしょう。
モチベーション維持のために資格学校で勉強する
独学で一級建築士の勉強をすることも可能ですが、試験科目の多さや難易度の高さ故に独学で合格することはかなり難しいと言えるでしょう。
仕事しながらだとなおさら、勉強時間の確保やモチベーション維持が難しくなります。そのため、資格学校に通って勉強するのがおすすめです。
費用は掛かりますが、短期間で集中して勉強できたり、分からないところはサポートしてもらえたりするため、効率よく合格を目指せます。
小さい目標を決めて計画的に勉強する
一級建築士に合格するためには、スケジュールを組んで計画的に勉強することが大切です。
まずはゴールから逆算した長期のスケジュールを組んで、そこに小さな目標を期間ごとに設定しましょう。
漠然とした大きな目標だけではモチベーションの維持が難しく、いつまでにどれだけできていれば良いのか分からなくなってしまいます。
小さな目標を少しずつクリアしていくことで、自分の今のレベルがどのくらいか見極めることができます。
一級建築士と二級建築士の違い
同じ建築士でも、一級建築士と二級建築士では、あらゆる面で大きな違いがあります。
ここからは、一級建築士と二級建築士の主な違いについて、3つ紹介していきます。
一級建築士でなければできない仕事もあるため、違いをしっかり確認しておきましょう。
二級建築士との難易度・合格率の違い
一級建築士と二級建築士、令和3年におけるそれぞれの試験の合格率は以下のとおりです。
- 一級建築士…9.9%
- 二級建築士…23.6%
参考元:「公益財団法人建築技術教育普及センター」
このように、一級建築士と二級建築士では、合格率に10%以上もの差があります。
一級建築士と二級建築士では、業務可能な範囲に違いがあり、試験内容の難易度にも差があるため、一級建築士の方が合格率は下がります。
以下の記事で、二級建築士の難易度・合格率について、より詳しく説明しているので、まずは二級建築士を目指したいという方はぜひ参考にしてください。
※関連記事:二級建築士試験の難易度は高い?他資格の合格率との比較や勉強のポイントを紹介
二級建築士との年収の違い
ゼネコンや設計事務所など、業種によっても差がありますが、一般的に一級建築士と二級建築士の平均年収は、以下のとおりだとされています。
- 一級建築士…600~700万円程度
- 二級建築士…440~520万円程度
一級建築士と二級建築士では、業務可能な範囲や資格手当などが違うため、年収の差も大きくなります。
二級建築士との建物の規模の違い
一級建築士であれば、建築物の設計・工事管理の業務可能な範囲に制限がなく、どのような建築物にも携われます。
一方で、二級建築士は建築物の高さや延べ面積、構造や種類によって業務範囲に制限があるため、すべての建築物に携われるわけではありません。
大規模建築や特定建築物の設計・工事管理には一級建築士の資格が必要なため、注意しましょう。
一級建築士試験の合格率・難易度に関するよくある質問
最後に、一級建築士試験の合格率・難易度についてのよくある質問をまとめました。よくある質問は、以下の4つです。
- 一級建築士試験の難易度は偏差値や大学でいうとどれくらい?
- 一級建築士試験の大学別合格者数は?
- 一級建築士試験に合格するのに必要な勉強時間は?
- 一級建築士試験には何回目で合格できる?
各質問について、回答していきます。
一級建築士試験の難易度は偏差値や大学でいうとどれくらい?
一級建築士試験の難易度を偏差値で表すと、66に相当すると言われています。
同程度の偏差値の資格には「中小企業診断士(偏差値67)」や「獣医師(同67)」などがあります。
大学でいえば、国立大学の医学部や、医学部を除いた旧帝大の偏差値です。
そう考えても、一級建築士は非常に難易度の高い資格であることが分かります。
一級建築士試験の大学別合格者数は?
令和3年の一級建築士試験の大学別合格者数は、以下のとおりです(合格者数が多い大学順に10校のみ抜粋)。
大学名 | 合格者数 |
日本大学 | 153名 |
東京理科大学 | 128名 |
芝浦工業大学 | 96名 |
近畿大学 | 87名 |
早稲田大学 | 79名 |
明治大学 | 70名 |
千葉大学 | 68名 |
工学院大学 | 63名 |
京都工芸繊維大学 | 57名 |
京都大学 | 56名 |
※受験資格を「学歴」とした受験者のみカウント(受験資格が「二級建築士」の受験者は含まれない)
参考元:「公益財団法人建築技術教育普及センター」
旧帝大並の偏差値を誇る一級建築士試験ですが、上記の表を見てみると、旧帝大以外の大学も多くの合格者を輩出しています。
難易度が高いといっても、努力次第で合格できることがわかります。
一級建築士試験に合格するのに必要な勉強時間は?
一級建築士試験に合格するために必要な勉強時間は、1,000~1,500時間と言われています。
1日の平均勉強時間を2~3時間に設定すると、かかる日数は以下のとおりです。
- 2時間/日…500~750日
- 2.5時間/日…400~600日
- 3時間/日…333日~500日
一級建築士試験に合格するには、1日平均2~3時間勉強しても、1~2年くらいはかかる計算になります。
合格までの道のりは長いので、焦らず一歩一歩進んでいきましょう。
一級建築士試験には何回目で合格できる?
一級建築士試験に何回目で合格できるかは、主に以下4点で決まります。
- 合格までに必要な勉強時間
- 1日の平均勉強時間
- 受験を志してから実際に受験するまでの日数
- 毎年受験するかどうか
例えば、Aさんの合格までに必要な勉強時間が1,000時間だったとして、1日平均2時間勉強すれば、合格に必要な日数は500日です。
一級建築士試験は年に1度なので、早くて2回目に合格できる計算になります。
ただし、これはAさんが勉強を始めた1年目と2年目、どちらの試験も受けた場合の話です。
勉強を始めて1年目の試験は、まだ合格できるレベルにないからという理由で受験をパスすれば、勉強を始めて2年目の試験が初受験になり、1回目で合格することになるのです。
このように、一級建築士試験に何回目で合格できるかは、上記4点で決まります。
上記4点を考慮して、自分が何回目に合格できる見込みか、事前にシミュレーションしておくといいでしょう。
一級建築士試験は簡単じゃない!合格率を参考にしながら対策を取ろう
一級建築士の資格取得は難易度が高いですが、取得できれば年収アップに繋がったり業務の範囲が広がったりするでしょう。
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編集部
建設業界の人材採用・転職サービスを提供する株式会社夢真の編集部です。
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