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公開日時 2018.12.04
最終更新日時 2022.04.06

ありえない新素材①自然治癒するコンクリート

まず混同しやすい用語を整理しましょう。
セメントは水と反応して硬化します。
セメントと水を混ぜ合わせたものをセメントペーストといいます。
これに細骨材(砂)を混ぜたものをモルタルといいます。
モルタルに粗骨材(砂利)を混ぜたものが「コンクリート」といいます。

【コンクリートの歴史】


セメントを水と混ぜ合わせたセメントペーストは現在のコンクリート構造物のように構造材として利用される以前から、組積造等の接着剤として利用されており、紀元前数千年のエジプトでは既にモルタルが、紀元前数世紀にローマ人が海中工事に使用したと言われています。
現在のコンクリート製造の元となる石灰を焼いてセメントを作る方法は18世紀終わりに行われるようになりました(天然セメント)。
19世紀に、石灰に粘土を混ぜて焼くことにより人工的セメントを作ることに成功しました。これが現在使用されているポルトランドセメントです。
その後、鋼材大量生産にされる時代になって、引っ張りに弱いセメント硬化物に鉄筋で補強する方法が発明され、鉄筋コンクリート構造物が普及しました。

【バクテリアによる自然治癒を行うコンクリート】


RC工法やALC工法などいろいろなものがありますがいくら強度にすぐれているコンクリートとは言え、時間とともにクラック(ひび割れ)が生じていきます。

通常のコンクリートは、30年もすると劣化が始まります。

日本では高度成長期から作られてきた、高速道路、橋、トンネル、建物の老朽化が社会問題となっており、インフラ再構築が急務の課題となっています。
従来は定期的にこのクラック等の補修や「スクラップアンドビルド」をその都度、いたちごっこのように行ってきましたがこの問題への解決策として新技術が開発されました。
オランダ発の微生物を使ったコンクリート技術が日本に上陸しました。コンクリートと微生物を融合させてひび割れの自己修復を可能にした革新的な材料です。これはバクテリアと、エサとなる乳酸カルシウムが入った茶色い粒を予めコンクリートに混ぜ込んでおき、劣化したコンクリートに染み込んだ雨と空気でバクテリアが目覚め、乳酸カルシウムを食べて炭酸カルシウムを排出するよう設計されたものとなっています。
その炭酸カルシウムがヒビ割れを埋めることにより、コンクリートを補修します。しかもヒビが埋まって中が乾燥状態になると、バクテリアは自らを殻に包んで再び休眠します。そこからまた200年間ほど生き続け、コンクリートに亀裂が入ると同じことを繰り返すというから驚きです。
たとえば0.3mm幅の亀裂にこのバクテリアを流し込むと、およそ2ヶ月で治癒が完了します。人間の皮膚が傷口にかさぶたを作るようなイメージで、コンクリートのヒビが塞がれるのです。

人間より遥かに長寿なコンクリートの登場です。

筆者:藤田 宏輝

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