こちらの記事では、サブコンについてご紹介いたします。

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サブコンとは

そもそも、「サブコン」という言葉の意味は、英語の「subcontractor（サブコントラクター）」という単語が語源で、「下請け業者」という意味合いです。
つまり、建設工事における専門的分野に関して、部分的に請け負う会社と考えればよいでしょう。
ゼネコンが工事一式を元請けする会社であることに対し、サブコンはその中の一部を下請けという形で受託するわけです。
ちなみに、サブコンが請け負う工事は、設備工事がメインです。

建設業界の構造

ここでは、建築業界の構造について詳しくみていきます。
建設業界には、ゼネコンとサブコンの2種類の会社が存在します。
まず、ゼネコンとは、建築工事一式を元請けする会社のことです。
一方、サブコンとは、ゼネコンが受託した工事を部分的に下請けする会社のことです。
具体的には、空調工事・電気工事・衛生工事などの設備工事を請け負う「下請け会社」のことを指します。

重層的ピラミッド構造

建築業界は、施主から工事一式を請け負ったゼネコンが、その工事の一部分（設備工事）をサブコンに対して外注しているという、いわゆるピラミッド型構造で形成されています。この構造を「重層的ピラミッド構造」といいます。

つまり、ゼネコンが施主から工事全体を請け負ったのちに、サブコン各社に対して、一次下請から二次下請、三次下請へと工事の一部分を発注していく、と言う流れです。
この構造において、サブコンがスムーズに工事を施工できるように、ゼネコンは建築現場の安全管理・工程管理・品質管理・原価管理などを行っていくと言う役割を果たします。

重層的ピラミッド構造においては、工事にかかわる会社や作業員が多数存在している状態です。したがって、施工管理が非常に複雑化します。つまり「重層的ピラミッド構造」おいては、工事に関して責任の所在が不明瞭になったり、また安全管理能力が低下してくるなどの弊害が挙げられます。

ゼネコンとは？

ゼネコンは、ビル・マンションの建築・土木工事などの工事一式を請け負う会社のことです。英語の「general conductor（ゼネラルコンダクター）」が語源とされています。

ゼネコンは施主より、建築工事一式を受注しています。ですが、自社で工事の全てを行うわけでありません。工事の一部分（主に設備工事）をサブコンに外注して、その工事の管理を行うのがゼネコンの役割になります。

ゼネコンとサブコンの関係

ゼネコンの役割は、ビルやマンションなどの建築工事において、施主から工事一式を元請けすることです。

一方、サブコンの役割は、ゼネコンが元請けした工事の一部である設備工事、いわゆる「空調工事」、「電気工事」、「衛生工事」などを下請けすることです。

サブコンは各所と調整をかけながら、請け負った設備工事の図面に基づき、工事の施工方法などを検討したうえで、実際に工事を進めていきます。

一式請負

一式請負とは、施主からゼネコンが工事一式を受託して、その一部の設備工事をサブコンに外注する方式のことです。

具体的には、まずゼネコンが施主より工事一式を元請けします。その後、ゼネコンはサブコンに対して、その工事の一部（設備工事）を外注します。設備工事とは空調工事・電気工事・衛生工事などのことです。受注したサブコンは、請け負った設備工事について、図面に基づき、納まりなどを検討して、建築側と調整をかけながら工事を施工していきます。

別途工事

別途工事とは、施主がゼネコンおよびサブコンに対して、それぞれ別々に工事を発注する方式のことです。

具体的には施主が、ゼネコンに対して建築工事のみを発注、サブコン各社に対して設備工事のみを発注するという方式になります。これにより施主は「ゼネコンが設備工事をサブコンに外注する際の手数料」を節約できるメリットがあります。しかし、別途工事では、工事現場において絶対に必要な仮設事務所やトイレなどを、ゼネコン、サブコンの各会社で設置しなければならないというデメリットもあります。

そのため、このデメリットを解決するためにできた方式を、コストオン工事といいます。

コストオン工事

コストオン工事とは、上記の別途工事に加えて、工事現場において必要不可欠な仮設事務所やトイレなどの設置を、ゼネコンが取りまとめる方式のことをいいます。

工事現場に必要不可欠な設備（仮設事務所やトイレ）などを、ゼネコンおよびサブコンが自社でそれぞれ設置すると、二重にコストがかかります。これでは施主の経費が大幅に増大してしまいます。この事態を回避するために、ゼネコンが仮設事務所やトイレなどの設備の設置を行い、サブコンがその分の経費を負担して設備を利用する方式になります。これにより、余分なコストが削減できます。

サブコン大手企業7つ

ここまで、ゼネコンとサブコンの違いや、重層的ピラミッド構造と弊害、3つの契約形態について解説してきました。ゼネコンとサブコンの具体的な関係性が見えてきたと思います。
ここからは、サブコン業界の大手7社について詳しく紹介して行きます。ゼネコンの大手企業についてはご存じの方も多いかもしれませんが、下請け企業であるサブコンについては、初めて聞く社名も多々あると思います。ぜひ参考にしてみて下さい。

サブコン大手企業1：サーラコーポレーション

株式会社サーラコーポレーションは、本社が愛知県にある東証一部・名証一部上場企業です。資本金は80億2500万円で、売上高は約2,138億円（2019年11月時点）です。

サブコン企業としての強みは、空調設備・給排水衛生設備・情報通信事業の「設計・施工・保全」を行っているところです。
また、会社創業時からの強みである、ガス本管工事設備・上下水道本管工事、舗装工事の「設計・施工・保全」を行ったり、リニューアル工事事業、施設管理マネジメント事業も展開しています。

サブコン大手企業2：大気社

株式会社大気社は、本社が東京都にある東証一部上場企業です。資本金は64億5517万円で、売上高約2,254億円（2019年3月期実績、連結ベース）のサブコン企業です。

サブコン企業としての強みは、一般空調設備・産業空調設備・塗装プラントなどの「設計・施工管理・研究開発」を行っているところです。
空調システムには、大きく分けて一般空調と産業空調があります。
一般空調システムとは、オフィス・商業施設・学校・ホテル・空港などにおける空調設備のことです。大気社では「人が快適に過ごすための空調設備を設計・施工をする」という理念に基づき、これらの施設内で、省エネができる蓄熱槽システム、およびコジェネレーションシステム（発電の際に出る排熱を利用して、電力と熱を生産し供給するシステム）を開発してきました。
産業空調システムとは、工場・研究施設における空調設備のことです。大気社では、地球環境保護のために、工場内に公害防止装置の設置や、高レベルでの清浄環境が要求される半導体・バイオテクノロジーなどの研究施設に必要不可欠な世界最高水準のクリーンルームの設置を行っています。

サブコン大手企業3：ユアテック

株式会社ユアテックは、本社が宮城県にある東証一部上場企業です。東北電力グループのサブコン企業です。資本金は78億390万円で、売上高は約1,936億円（2019年3月期実績、単独）です。

サブコン企業として強みは、一般空調設備、産業空調設備、塗装プラントなどの「設計・施工・研究開発」を行っているところです。
一般設備（オフィス・ビル・商業施設）では、空調設備・給排水設備・電気設備・情報通信設備の「企画・設計・施工・保守点検」を行っており、産業設備（工場・研究施設など）でも同様に、空調設備・給排水設備・電気設備・情報通信設備の「企画・設計・施工・保守点検」を行っています。
また、東北電力グループならではの特徴として、電力流通設備（発電所・変電所・送配電線など）の「企画・設計・施工・保守点検」も行っています。

サブコン大手企業4：高砂熱学工業

高砂熱学工業は、本社が東京都にある東証一部上場企業です。資本金は131億3,400万円で、売上高は約3,208億9,300万円（2020年3月期実績、連結ベース）です。

サブコン企業として強みは、一般空調設備および産業空調設備に関する「企画・設計・施工・保守」を行っているところです。
一般空調設備分野においては、オフィス・商業施設などの、快適な住環境の創造・人間の健康保持を目的とした「企画・設計・施工・保守」を行っています。
産業空調設備の分野においては、工場内のクリーンルームやドライルームなど製品の生産工程環境を上質にすることを目的とした「企画・設計・施工・保守」を行っています。

サブコン大手企業5：三機工業

三機工業株式会社は、本社が東京都にある東証一部上場企業です。資本金は81億518万円、売上高は約2,076億円（2020年3月実績、連結ベース）です。

サブコン企業としての強みは、電気工事・空調工事・給排水工事などの設備工事を行っているところです。
具体的には、オフィスや商業施設などにおいて、人間が快適に生活するための空調衛生システム設備の「設計・施工管理」を行っています。
また、工場や研究室のクリーンルーム、および研究施設の環境試験室などの「設計・施工管理」も行っています。

サブコン大手企業6：ダイダン

ダイダン株式会社は、本社が大阪にある東証一部上場企業です。資本金は約44億7900万円で、売上高は約1,555億6,500万円（2019年3月実績・連結ベース）です。

サブコン企業としての強みは、空調工事・電気工事・衛生工事などの設備工事を行っているところです。
具体的には、人々に「快適さ」を提供するために、オフィスビル・商業施設・研究所などの大型建築施設において、省エネかつ快適な空調設備・高度情報社会に対応できる電気および通信設備・安全で快適な給排水衛生設備の「設計・施工」を行っています。

サブコン大手企業7：乃村工藝社

株式会社乃村工藝社は、本社は東京都にある東証一部上場企業です。資本金は64億9700万円で、売上高は約1258億5,900万円（2019年2月期実績、連結ベース）です。

サブコン企業としての強みは、従来の設備工事（電気工事業 ・ 管工事業など）に、他の専門技能（一級建築士事務所・ 大工工事業 ・ 内装仕上工事業など）を付加して、各種施設・空間の活性化をしているところです。

商業施設や店舗でビジネスをしていくには、集客率の上昇が不可欠になります。
株式会社乃村工藝社は、サブコン企業としての技術力を生かして、集客のための環境づくりや、内装・展示などの「企画・デザイン・設計・施工・運営管理」を行っています。

今後のサブコン業界

バブル崩壊後に30年以上続いた不景気によって、マンション建設などの民間需要の減少、行政改革による公共事業の削減、リーマンショックなどの金融危機による金融引き締めなど、ゼネコンにもサブコンにも、経済的に厳しい時代が続いていました。しかし、近年では地震などの復興事業や、都市開発事業の増加を受けて、建築業界は将来性のある業界へとシフトチェンジしてきました。ゼネコンおよびサブコンにおいても、今後ますますビジネスチャンスが期待できるといえるでしょう。

加えて、サブコン企業は自社の成長を促進するための2つの策を編み出してきました。
1つ目は分離受注方式（別途工事）です。これはゼネコンを介さずに、サブコンが直に施主から一部工事（設備工事）を受注する方式です。これにより、長年続いている「重層的ピラミッド構造」が崩れて、サブコンはゼネコンの下請けという構図が、今後変わってくる可能性が出てきました。
2つ目は、サブコン企業の中には、特定のゼネコン1社だけの下請けをするのをやめた企業も出てきました。サブコン企業は、複数のゼネコンから仕事を下請けすることにより、仕事が途切れることがなく会社の業績を安定させることができます。

サブコン企業は、建設業界の将来的な発展、2つの策（分離受注方式・複数のゼネコンの下請け会社になる）により、ますます成長が期待できる業種の1つと分析できます。

サブコンの役割

これまで、サブコン企業は、空調工事・電気工事・衛生工事などの設備工事をしていると述べてきました。これらの設備工事は「人間が室内で快適に暮らす」ためには、絶対不可欠なものです。そして、これらの設備は研究開発を進めることで、より一層の技術革新が期待できる分野です。
また、分離発注方式（施主がゼネコンには建築工事を、サブコンには設備工事を発注する方式）が増えてきたことにより、サブコンは、ゼネコンの下請けではなく、設備工事の専門企業として位置づけられ、建築業界の構造にも変化が出てくる可能性があります。それにより、サブコンは設備工事の専門企業としての役割を果たしていくことになるでしょう。

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