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給排水設備工事の基本を詳しく解説!

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公開日時 2023.02.10 最終更新日時 2023.02.10

生活にかかせない「水」にかかわる工事には、給水、給湯、排水、排水設備などがあります。

給排水設備工事は、基礎工事の時からはじまり、竣工するまで工事がある工程の多い工種です。また、施工にあたり給水申請や下水道設備の使用開始申請、浄化槽の申請、道路使用許可が必要な場合があります。スムーズな工程管理、工事管理ができるように、給排水設備工事の基本事項を理解しておきましょう。

給水・給湯・排水・排水設備の基本的な知識と注意点、トラブル事例をまとめました。

給水、給湯屋内配管工事の基本事項と注意点


給水、給湯の屋内配管工事の施工方法は、建築物の種類や構造、施主の要望などにより決定されます。
給水の種類、給水の取り込み径、給水方法の種類、給水管・給湯管の立ち上げ方法、給湯方法、それぞれの注意点などを解説します。

給水の種類

建築物で使われる給水の種類には、「上水」、「井戸水(井水)」、「中水」の3種類があります。

「上水」は、市などの上水設備から供給される飲料に適している水で、一般的には「水道水」と呼ばれています。ダムに貯めた河川や雨水などを上水設備で汚れを取り除き、塩素で消毒して供給されています。住宅や商業施設など広く使用されています。

上水は市などによって管理されている公共設備のため、敷地内に新しく取り込み(設置)をするには、申請をしてから供給が開始されるまで時間がかかります。建築工事では、解体、基礎工事の時から「水」が必要になります。上水を新規取り込みする場合には、工事着工前に「給水申請」をしないと工事に間に合わない場合があるので注意が必要です。

「井戸水」は、地下に流れている地下水をポンプで汲み上げて使用します。汲み上げた井戸水は、基本ろ過や消毒は行われません。飲料水として使用する場合もありますが、主に工業用や農作業用として使用されています。

井戸を掘れば必ず井戸水が出るわけではありません。また、出た井戸水が飲料に適した水質とは限りません。飲料に適した井戸水を得るには、地下水が豊富な地域で井戸を深く掘らなければなりません。井戸を掘る場合には、一定の工事期間が必要です。工事前に井戸掘削業者に相談し、掘る深さやポンプの容量、予想掘削期間を確認してから工程を組んでおくようにしましょう。

井戸水は使用中も汲み上げるためにポンプを使用します。ポンプには電源が必要で、使用する時には可動音がします。寝室の近くにポンプを設置すると騒音となるので、設置位置は騒音に対する配慮が必要です。

「中水」は使用した上水を再生処理して、トイレや散水・冷却水・消火用水・雑用水・工業用水などに再利用する水です。中水は飲料に適していませんが、人体に影響がないように処理されています。中水の利用は節水が可能なため、環境保全や水道料金のコスト削減が可能です。大量の水を使用するテーマパークや小中学校のプールでは中水の利用が当たり前になっています。最近では、一般住宅でも取り入れられていて、雨水タンクを設置し、貯めた雨水を花壇への散水や洗車に使用している家庭があります。

上水道と井戸水・中水を同じ建築物や敷地内で使用する場合には、クロスコネクションに注意が必要です。クロスコネクションは配管や設備により、上水の給水・給湯系統に井戸水や中水が混合されることで、上水の水質汚染防止のために水道法で禁止されています。

給水の取り込み径

上水を敷地内に取り込みを行う給水管の径は13mm・16mm・20mm・25mm・30mmなどがあります。管径は、建築物や敷地内の給水口数や建築地の給水圧力により決まります。

給水管径が小さかった場合、水道の蛇口からでる給水圧力が低くなったり、シャワーの水圧が弱い、トイレの流れが悪いなどのトラブルが起こるケースがあります。建築物を建て替える場合や増築、リフォームする場合には、給水管径が足りているか確認が必要です。

給水方法の種類

建物に給水する主な方法は4種類あり、水道直結直圧方式、加圧給水ポンプ方式、高置水槽方式、水道直結増圧給水方式です。どの給水方法で給水するかは、建物の用途や階数、規模によって決まります。

① 水道直結直圧方式
道路下にある水道本管から直接引き込む方法で、3階建てまでの建築物で使われています。
② 加圧給水ポンプ方式
水道本管から引き込んだ水を一度受水槽に貯めて、加圧ポンプを使って給水する方法です。4階建て以上の建築物で使われています。加圧ポンプを使うことで給水圧力が安定した給水ができます。
③ 高置水槽方式
水道本管から引き込んだ水を高層階(主に屋上)にある受水槽に貯めて、高低差の圧力を給水圧に利用して給水する方法です。4階建て以上の建築物で使われています。
④ 水道直結増圧給水方式
水道本管から引き込んだ給水管に直接ポンプを設置して、ポンプの圧力で給水する方法です。10~15階建ての建築物で使われています。

屋内の給水管の立ち上げ方式

トイレや洗面・キッチンの近くに必要な給水・給湯管を立ち上げる方法には、床給水方式と壁給水方式があります。どちらの方式を採用するかは、設備の種類や建築物の構造、使い勝手、デザイン性などを考慮して選びます。

壁給水方式は、給水管が壁から出ている給水方式です。壁給水方式は、給水の周りに収納スペースが確保できる、掃除しやすい、配管が見えないためすっきりしデザイン性が良いなどのメリットがあります。デメリットは、構造によっては施工が難しい、メンテナンスが不便、施工費用がかかる、漏水を見つけにくいなどです。

床給水方式は、給水管が床から出ている給水方式です。床給水方式は、施工しやすい、施工費用(部材・人工)が安い、漏水が見つけやすい、メンテナンスしやすいというメリットがあります。デメリットは、配管回りの収納がしづらい、掃除しにくいなどです。

給湯方式と注意点

給湯方法は、建築物の種類や規模などにより様々です。住宅やアパート・マンション・事務所などの建築物は、個別給湯方式でガス給湯器やエコキュートなどの給湯設備を使って、お湯を供給します。お湯を大量に消費する公衆浴場・ホテル・スポーツクラブなどの建築物では、大きな加熱設備を地下や1階などの機械室に設けて、必要箇所に配管して供給します。高度な設備設計の技術が必要になる工事です。

一般住宅や事務所などで使われるガス給湯器やエコキュートなどの給湯設備の給湯能力は、使用頻度・使用量を考慮して決定します。

ガス給湯器は、使用する時に水が給湯器を通ることでお湯になります。給湯器の号数が大きい程能力が大きくなりますが、能力が大きくなってもさほど給湯器のサイズは変わりません。

ガス給湯器を井戸水で使用する場合、施工に注意が必要です。井戸水を使用すると井戸水に含まれる細かい砂利やゴミなどの不純物による故障が起こりやすくなります。また、追炊き機能付きの給湯器では設備内でのクロスコネクションが起こるため井戸水を使用することはできません。

エコキュートは、貯水槽に貯めた水を深夜に沸かし給湯されます。エコキュートの給湯能力は、貯水槽の大きさで決まります。給湯能力が大きいエコキュートは貯水槽が大きくなるため、貯水槽を設置するスペースの広さが必要になります。エコキュートの設置スペースに注意が必要です。

エコキュートの井戸水使用は、最近になり対応する設備メーカーがでてきました。井戸水の水質検査が必須となっています。井戸水をエコキュートで使用したい場合は、設備メーカーの使用条件を事前に確認するようにしましょう。

※エコキュートについて
自然冷媒ヒートポンプ給湯機の商品名です。
「エコキュート」は関西電力の登録商標ですが、国内の電力会社や給湯機メーカーが愛称として使用しています。そのため、建築現場や設計上でも「エコキュート」という名称が自然冷媒ヒートポンプ給湯器として認知されています。

屋内排水工事の解説と注意点


屋内排水工事の施工方法は、建築物の種類や構造、設備の種類、施主の要望などにより決定されます。
屋内排水管の径、排水管の立ち上げ方法、排水トラップの種類やそれぞれの注意点、パイプスペースの必要性を解説します。

屋内排水管の径の種類と注意点

屋内排水管の径は、設備の種類や使用人数、排水管を流れる流量により大きさが違います。建築物の使用用途や設備の使用状況を考えながら、問題がないか確認しましょう。

※屋内排水管の一般的な管径
・大便器 75mm又は100mm
・小便器 40㎜又は50mm
・洗面 40㎜又は50mm
・キッチン 40mm又は50㎜
・ユニットバス 40㎜又は50mm
・造成浴室 50mm又は65mm
・掃除流し 65mm
・床排水 50mm又は65mm

屋内排水管の横走り排水管(水平に施工する排水管)の勾配は、排水管の径と流れる物の種類(雑排水か汚水か)により変わります。一般的には、管径が太いものほど緩くし、細いものほど急勾配とします。横走り排水管の水平距離が長い場合、排水管が下がる寸法が大きくなります。構造梁と干渉したり、予定していた天井高さが確保できなくなったりすることがあるので注意が必要です。

※屋内排水管、横走り排水管の最少勾配
・管径 65mm以下    勾配1/50以上
・管径 75mm・100mm  勾配1/100以上
・管径 125mm       勾配1/150以上
・管径 150mm以上   勾配1/200以上

屋内の排水管の立ち上げ方式

キッチンや洗面・浴室・便器などの水回り設備に必要な排水管を立ち上げる方法には、床排水方式と壁排水方式があります。どちらの方式を採用するかは、設備の種類や建物の構造・使い勝手・デザイン性などを考慮して選びます。

便器は床排水方式で、設備を取付ける時に直接便器内部で便器の排水口と排水管をつなぎます。また、ユニットバスも床排水方式で、ユニットバスの床下で排水口と排水管をつなぎます。

システムキッチンや洗面化粧台は、排水方式が決まっている設備もあれば、床排水か壁排水か選ぶことができる設備もあります。床排水方式と壁排水方式はそれぞれメリット・デメリットがあるので、理解した上で選ぶようにしましょう。

床排水方式は、排水管が床から出ている排水方式です。施工しやすい、施工費用(部材・人工)が安い、漏水が見つけやすい、メンテナンスしやすいというメリットがあります。デメリットは、配管回りに収納がしづらい、デットスペースができる、掃除がしにくいなどです。

壁排水方式は、排水管が壁から出ている排水方式です。壁排水方式は、排水管の周りの掃除がしやすい、配管が見えないためすっきりし、デザイン性が良いなどのメリットがあります。デメリットは、建築物の構造によっては施工が難しい、漏水がわかりづらい、メンテナンスが不便などです。

排水管は給水・給湯管と比較すると径が大きいため、構造の検討をする時から配管経路の確認が必要です。特に2階以上の設備や鉄骨造・鉄筋コンクリート造の建物の場合は、構造梁に配管のための貫通穴が必要になるケースがあります。貫通穴をあける場合には、構造補強や構造計算が必要になるので注意が必要です。

排水トラップとは?

排水管又は水回り設備には、必ず排水トラップがあります。排水トラップには水が常時たまっている場所があり(=封水)、排水管や下水から臭いや虫などが室内に侵入するのは防止する機能を持っています。

排水トラップの主な種類は5つで、Pトラップ・Sトラップ・Uトラップ・わん型トラップ・ボトルトラップがあります。

① Pトラップ
最も多く使われているトラップで、他のトラップと比較すると、封水が安定しています。壁排水方式で使われます。

② Sトラップ
床排水方式で使われている排水トラップで、洗面化粧台やトイレ手洗いなどの床排水方式でよくみられます。Sトラップは、自己サイホン現象が起こりやすいため、封水切れ(排水トラップ内の封水がなくなる)が発生しやすいというデメリットがあります。

③ Uトラップ
形状がU型で、トラップの入口も出口も水平になっているトラップです。主に排水管の横管に使われます。沈殿物がたまりやすく、流れが悪くなりやすいため、採用する際には検討が必要です。

④ わん型トラップ(ベルトラップ)
お椀をひっくり返したような構造のトラップで、システムキッチンやユニットバスなどで使われています。手を入れて掃除ができたり、わんトラップの上部を外して掃除ができるというメリットがありますが、封水切れを起こしやすいというデメリットもあります。

⑤ ボトルトラップ
新しいタイプのトラップで、ボトル型の形状をしたトラップです。洗面や手洗器などに使われています。デザイン性が良く、封水切れを起こしにくいため、PトラップやSトラップを使う設備に使われています。価格が高い、トラップサイズが大きいというデメリットがあります。

排水トラップの封水切れは、蒸発、吸い出し、はねだし、自己サイホン現象、毛細管現象などにより起こります。排水トラップの封水深さは50~100mm、設備の排水口から排水トラップウエア(上部)までの垂直距離を600mm以下にすることで、排水トラップが正常に機能し、封水切れが起こりにくくなります。

排水トラップの施工では「二重トラップ」に注意が必要です。キッチンなどの器具トラップ(キッチンの排水口にはわん型トラップがついている)がついている排水管にSトラップを取り付けたり、トラップがついている排水管の外にトラップ桝を接続するなどの二重トラップになる事例があります。二重トラップになっていると、水の流れが悪くなったり、排水するときに異音がするようになります(トラップ間の空気により音などの現象があらわれます)。このような現象がある場合は、二重トラップになっていないか確認しましょう。

パイプスペースとは?

2階以上の階に水回り設備がある場合、階下にパイプスペースを設ける場合があります。パイプスペースは、階上の水回り設備の給水管・給湯管、排水管を使用する階まで立ち上げるためのスペースです。パイプスペースがない場合は壁体内で立ち上げることになりますが、構造梁や柱に配管用の貫通穴をあけることになります。

パイプスペースを施工する場合は構造に負担がかからない、メンテナンスがしやすい、漏水などのトラブルを発見しやすいというメリットがあります。

屋外排水工事の解説と注意点


屋外排水工事の施工方法は、建築物の種類や構造、法律、施主の要望などにより決定されます。
屋外排水管の種類、配管方式、排水桝の種類と設置基準や注意点などを解説します。

屋外排水管の種類

屋外の排水管は、汚水排水管・雑排水管・雨水排水管の3種類があります。

汚水排水管は洋便器や小便器からの排水を流す排水管、雑排水管は浴室や洗面、キッチン、手洗いからの排水を流す排水管、雨水排水管は雨樋からの雨水を流す排水管です。屋外排水管の配管方法は、排水の処理方法(公共下水か浄化槽か)と行政(市町村など)による区域指定により決定します。

屋外排水の配管方式

屋外排水管の配管方式には、分流方式と合流方式があります。排水処理には公共下水道を使用する場合と浄化槽を使用する場合があり、それぞれで分流方式と合流方式の内容が違います。

① 公共下水道を使用する場合の配管方式
・分流方式・・・「汚水+雑排水」と「雨水」を別系統で配管して処理する方式です。
汚水と雑排水は公共下水道に排水し、市などの下水終末処理場に流します。別系統とした雨水は、側溝や河川に流します。
・合流方式・・・「汚水+雑排水」と「雨水」を合流して一緒に処理する方式です。
敷地内の最終下水桝で、汚水・雑排水と雨水を合流させて、公共下水道に排水し、市などの下水終末処理場に流します。

② 浄化槽を使用する場合の配管方式
・分流方式・・・「汚水」と「雑排水」を別系統とする方式です。
汚水のみを浄化槽で処理する方式です。雑排水と雨水はそれぞれ別系統で配管し、浄化槽には流さず、別系統でそのまま河川などに排水します。
・合流方式・・・「汚水」と「雑排水」を合流して、一緒に処理する方式です。
汚水と雑排水を浄化槽で処理し、河川などに排水します。雨水は、汚水・雑排水どちらとも別系統とし、浄化槽に流さず、そのまま河川などに排水します。

屋外排水管の配管方式は、各市町村において地域ごと配管方式が定められています。公共下水道が普及されているかどうか、雨水を処理できる能力などにより配管方式が違います。雨水は、公共下水や河川・側溝に排水する以外に「浸透桝」を使用する市町村があります。(※浸透桝=雨水を貯める桝から地面に雨水が浸透していく桝)屋外排水管の配管系統は、建築する地域の排水、配管方式を確認の上、施工を行うようにしましょう。

排水桝の種類と設置基準

屋外排水管には、点検や掃除をするために排水桝が設置されています。排水桝の種類と設置場所を解説します。

① 排水桝の種類
使用する排水桝の種類は、配管の種類や設置する場所により違います。排水桝の形状は四角いものと丸いものがあり、材質は塩ビ製やコンクリート製のものが一般的です。

排水桝の主なものは、会所桝・汚水桝・雨水桝・公共桝・泥溜桝・ドロップ桝などがあります。

・会所桝
雑排水に使用される桝で、泥や混合物を沈殿させて上澄みだけを流す役割もあります。
・汚水桝(インバード桝)
汚水に使用される桝で、桝の底面に排水を誘導する溝があり泥や異物などが沈殿しやすいようになっています。雑排水にも使用されることがあります。
・雨水桝(ため桝)
雨水を貯めるために設ける桝で、浸透式と非浸透式があります。浸透式は桝に貯まった雨水が地面に染み込むように設置し、非浸透式は雨水が全て配管を流れるよう設置します。雨水桝は泥やゴミ、水垢などの異物を沈殿する役割もあります。
・公共桝
排水処理が公共下水の場合に設けられる桝で、敷地内の排水全てが合流する地点に設置します。最終桝とも呼ばれます。
・泥溜桝
泥や砂を沈殿させるために設ける桝で、雨水や雑排水の配管経路の途中に設置されます。
・ドロップ桝
敷地の高低差が大きい場合に使用される桝です。

② 桝の設置基準
排水桝は排水管の流れをスムーズにし、点検や清掃をしやすくするために設置します。以下の場所に設置するように基準が定められています。

・排水管の起点
・排水管の45度以上の屈曲点と合流点
・排水管の勾配が大きく変化する箇所
・排水管の内径の120倍以内かつ清掃上適切な場所
・建物内部排水横主管と屋外排水管の接続箇所

公共下水設備と浄化槽設備

公共下水設備と浄化槽設備


公共下水設備と浄化槽設備について、それぞれの設備の違いや施工方法、費用、注意点などを解説します。

公共下水と浄化槽の違い

汚水・雑排水・雨水の最終排水処理方法には、公共下水設備と浄化槽があります。どちらの方法で排水を処理するかは、建築地が下水道設備のある地域かどうかで決まります。それぞれの特徴と費用の違いなどをまとめました。

① 公共下水設備
公共下水は敷地前の道路下に下水道管が敷設されていれば使用できるため、敷地内の排水を下水道に流して処理することができます。下水道工事は、敷地内に下水桝(最終桝)を設置し、下水桝と道路下の下水道本管を接続する工事を行います。

新築住宅の場合の下水道接続工事費用は、道路下の下水道管が敷地の前まで敷設されていれば30~50万円です。下水道管が道路反対側や敷地前まで敷設されていない場合は、50~80万円かかります。

公共下水道のランニングコストは、下水道使用料を上水道使用料と一緒に支払います。上水道の使用量と同量が下水道使用量として計算されます。

② 浄化槽
下水道が使用できない地域では、河川や側溝に排水を流すために水をきれいにする「浄化槽」を敷地内に設置します。

浄化槽工事は、敷地内に土中に浄化槽を埋め、汚水と雑排水(合流方式の場合のみ)の排水管を浄化槽に接続します。浄化槽できれいにした排水を排水管で側溝や河川に流します。浄化槽を設置するには、浄化槽を埋めるための空地が敷地内に必要です。

浄化槽工事の費用は、浄化槽の大きさにより変わります。浄化槽の大きさは、建築物の種類と延べ床面積により変わり、5人槽合併処理浄化槽の工事費用は50~80万円かかります。

浄化槽は微生物の働きによって排水を浄化するため、浄化槽に酸素を送るブロアーが必要です。ブロアーを24時間動かすために電気代がかかります。また、浄化槽は点検(年4回)と清掃(年1回)・法定検査が必要です。住宅の場合、維持費とランニングコストで年4~6万円の費用がかかります。

下水道の接続方法と注意点

建築物を建て替える際、下水道を使っていた場合は使用していた下水桝に排水をつなげば、下水道に排水を流すことができます。新しく下水道を使用する場合は、まず市町村などへの使用許可申請が必要になります。申請をしてから工事が可能になるまで時間がかかります。また、道路を掘って敷地内の下水桝と下水道本管を接続する工事では道路使用許可が必要になります。下水道の接続工事は工期に余裕をもって、申請や工事準備を行うようにしましょう。

浄化槽の必要人槽と種類・注意点

浄化槽の必要人槽とサイズ、種類、注意点をまとめました。

① 浄化槽の必要人槽とサイズ
浄化槽の必要人槽(処理対象人数n)は、建築基準法の定めにより建築物の種類と延床面積をもとに決定します。床面積によって浄化槽の必要人槽が変わるため、増築や敷地内に新たな建物を建てる場合は浄化槽の必要人槽の確認が必要です。

浄化槽は処理対象人数が増えると、浄化槽のサイズが大きくなり、浄化槽を埋めるための空地が必要になります。浄化槽の必要人槽とサイズを給排水設備の配管工事前に確認しておきましょう。

※浄化槽の必要人槽 算定例(抜粋)
・住宅の場合
延べ床面積が130㎡以下の場合   5人槽
延べ床面積が130㎡を超える場合  7人槽
・共同住宅の場合(アパートやマンションなどの場合)
n(人員)=0.05A(延べ床面積)なので、200㎡の場合  10人槽
・事務所(業務用厨房設備がない場合)
n(人員)=0.06A(延べ床面積)なので、200㎡の場合 12人槽
引用:建築基準法 告示3184号より

② 浄化槽の種類
浄化槽の種類は、大きく分けて2つの種類があります。1つは「単独処理浄化槽(=みなし浄化槽)」、もう1つは「合併処理浄化槽」です。

単独処理浄化槽(=みなし浄化槽)は、水洗トイレの排水(汚水)だけを処理する浄化槽で、一般家庭で使われていました。平成13年の浄化槽法の改正により、新設することが禁止され、現在は生産されていません。平成13年前に設置された単独処理浄化槽は使用できますが、「合併処理浄化槽」への切り替えが求められています。

合併処理浄化槽は、水洗トイレの排水(汚水)とともにキッチン、お風呂、洗濯排水、洗面などの生活排水(雑排水)も一緒に処理する浄化槽です。

単独処理浄化槽と合併処理浄化槽のどちらを使っているか見分けるには、蓋の枚数で見分けられます。一般的に蓋の数は、単独処理浄化槽が2枚、合併処理浄化槽は3枚です。最近では浄化槽がコンパクトになっているため、合併処理浄化槽でも蓋が2枚の場合があります。浄化槽の種類に不安がある場合は、雑排水が浄化槽につながっているか確認しましょう。雑排水が浄化槽につながっていれば、合併処理浄化槽と判断できます。

③ 浄化槽の注意点
浄化槽は、槽内に酸素が送られないと微生物が死滅し、排水が浄化されなくなってしまいます。そのため、ブロアーの設置位置に注意が必要です。常に人が通る場所などは避け、電源コンセントがはずれることがない場所に設置します。

駐車場下に浄化槽を設置した場合は、浄化槽の蓋を耐圧タイプのものにし、かつマンホールの周囲だけでなく浄化槽全体が車の荷重に耐えられるように、全体を配筋入りのコンクリートで覆うように施工しましょう。

浄化槽は。微生物のはたらきで水を浄化する設備です。浄化槽内に紙おむつやたばこの吸い殻・天ぷら油などが入ることで微生物が死滅してしまうことがあります。また、浄化槽の蓋が浮いて異物が入ることがないように蓋の上に植木などの物を置かないように注意しましょう。

給排水設備工事のトラブル事例と対処方法


給排水設備工事でトラブルになった事例と対処方法をまとめました。事例を知ることで、体験を共有し、トラブルのない工事管理を目指しましょう。

タンクレストイレが使えないトラブル

タンクレストイレを設置した新築住宅で起きたトラブルです。1階のトイレはしっかり流れるのに、2階のトイレの流れが悪く使えないというトラブルでした。原因は、建築地の給水圧力が低い地域だったため、2階のタンクレストイレの給水圧力が足りず起こったトラブルでした。

タンクレストイレには、タンク内臓タイプの便器があります。タンクレストイレの種類を取り替えてトラブルを解消しました。

洋式便器には、水を流すために水を貯めるタンクがあるタンク付便器とタンクがない便器(タンクレストイレ)があります。タンクレストイレの場合、トイレ使用後に流す水は水道の圧力を使い流します。水圧は、便器の種類や設置階数、給水方式(壁給水・床給水)により変わります。戸建て住宅の2階以上の階や高層マンションの高層階の場合、給水圧力が足りない場合があります。

タンクレストイレを設置する時(特にリフォームや給水圧力が低い地域の場合)には、タンクレストイレを発注する前に給水圧力を確認しておくとトラブルを防ぐことができます。

水道検査の時にクロスコネクションの指摘を受けた

建物が完成し水道の竣工検査を受けた時に「クロスコネクション」の指摘を受けたトラブルがありました。
クロスコネクションは、上水道の配管の中に上水以外の井戸水・中水などが入り、飲料水が汚染されることをいいます。逆流現象による給水設備の汚染もクロスコネクションのひとつです。

今回、クロスコネクションの指摘を受けた場所は、屋外散水栓の構造でした。屋外散水栓を地中の中に設けていたため、散水栓を収納している金属製の箱内に水が溜まります。しかし、逆流を防止するためのバキュームブレーカーが設置されていませんでした。散水栓をバキュームブレーカー付の水栓に取り替えて、トラブルを解消しました。

クロスコネクションの禁止は、飲料水の衛生を保つためにとても重要です。上水道と井戸水・中水が混合ししてしまう施工には、設備内での混合や排水処理を間接処理しないことで起こるケースが見られます。設備の施工では、各種排水管(給水ポンプや空気調和設備・冷蔵庫・食器洗い機など)の間接排水、給湯器の追炊きに注意するようにしましょう。

ガス給湯器が頻繁に故障するトラブル

ガス給湯器が頻繁に故障するというトラブルがありました。ガス給湯器の耐用年数は8~10年で、10年以上使用しているケースもあります。故障したガス給湯器を調査したら、上水道ではなく井戸水を使用していることが原因で起こったトラブルとわかりました。井戸水の不純物が給湯器に入ったため、基盤が正常に作動しない故障が起こっていました。標準のガス給湯器を井戸水で使用していたため、保証がなく実費でのメンテナンス(基盤交換)となりました。

ガス給湯器には井戸水専用の給湯器があり、通常の給湯器は井戸水に対応していません。そのため、井戸水に含まれる砂利などの不純物が給湯器内部に付着し、給湯器が故障します。また、井戸水の水圧が弱い場合もガス給湯器に負担がかかり、これもガス給湯器の故障につながります。

まず、井戸水でガス給湯器を使用する場合は井戸水専用の給湯器を使用するようにしましょう。井戸水専用のガス給湯器は割高なので価格を安くおさえたい、故障なく使用したい、上水道がある場合は上水で標準のガス給湯器を使用すると良いでしょう。

また、ガス給湯器に井戸水を使用する場合には、井戸ポンプに適正な「砂こし器」がついていることも確認しておきましょう。砂こし器をつけることで不純物を取り除くことができます。井戸ポンプの砂こし器は定期的に掃除、メンテナンスを行い砂利などの不純物を取り除くようにすると、ガス給湯器のトラブルを防ぐことができます。

キッチンの排水から異音がする

キッチンで洗い物をしていると排水管から音がするというトラブルがありました。確認すると、異音がするだけでなく、排水の流れがよくありませんでした。システムキッチン内部を調べても水漏れや排水管の異常はありません。

キッチン外の排水桝を調査したら、トラップ桝が使用されていました。キッチンの排水口は、わん型トラップが組み込まれているため、二重トラップの構造となっていました。わん型トラップとトラップ桝の間の空気が異音と排水の流れが悪い原因となっていました。外のトラップ桝を通常の排水桝(会所桝)に交換して、トラブルを改善しました。

水回りの設備の排水トラップは1設備につき1つとなるように、室内の排水トラップだけでなく、外のトラップ桝の確認が必要です。

浄化槽から異臭がする

アパートの隣地の方から浄化槽の臭いがするというクレームがありました。ブロアーの故障や蓋の破損などを確認しましたが、問題ありませんでした。しかし、浄化槽の臭いがひどいため、浄化槽の清掃業者に点検をお願いしました。臭いの原因は、キッチンの排水に油を流したために浄化槽内の微生物が死滅してしまい、浄化槽内の水が浄化されていないことでした。

浄化槽清掃業者に浄化槽内の汲取りと清掃をしてもらい、臭いはなくなりました。浄化槽があれば何を流しても良いわけではありません。使用方法を徹底することも、トラブルのない工事管理に重要なことです。

まとめ
給排水設備工事は、建築物の種類や規模、法律などにより施工方法が違います。また、工事には公衆衛生の観点から、トラブルとなる施工とならないように細心の注意と配慮が必要です。給排水設備工事の基本的な概要を理解した上で施工管理、工期管理を行い、スムーズに工事を進行できるようにしましょう。

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