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浚渫工事とは?歴史や技術変化と現代浚渫工事の関連情報について解説

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公開日時 2023.03.15 最終更新日時 2023.03.15

浚渫工事とは

浚渫工事とは、海や河川の底の土砂を取り除いて水深を維持し、安全な航路を確保することです。

河川は上流から運ばれる堆積土砂によって、自然に川底や河口部が浅くなります。そこで浚渫工事によって堆積した土砂を取り除いて水深を維持する必要があります。

船舶は効率的な人や貨物の運搬を目指して、近年大型化しています。船舶は航路を航行し、岸壁では、泊地で船体の向きを変えたり停泊したりします。

航路や泊地は一定の水深を維持しなければ、船底が土砂に接触して座礁事故につながります。物流を担う船舶の安全な航行を支える目的で浚渫工事は行われます。

この他、構造物の基礎部分構築のための土砂の撤去や土砂の採取目的で浚渫することもあります。浚渫された土砂は、土地の造成用に有効活用されます。

浚渫工事についてのポイント3つ

浚渫工事のポイントとして、歴史と技術の変化、現在利用されている工法について解説します。

日本は海に囲まれ、川を併用した船舶による輸送を活用してきました。船舶の航行をスムーズに行うために、江戸時代から浚渫工事を導入して航路を維持してきた歴史があります。そして、浚渫工法は時代のニーズに基づいて変化し、現在の工法が確立されました。

具体的には、ポンプ浚渫工法とグラブ浚渫工法があります。以下で詳しく説明していきます。

1:浚渫工事の歴史

港湾工事に浚渫工事は欠かせません。港湾工事の先駆けといわれているのが江戸時代に行われた大阪・安治川の川ざらえです。当時、安治川は大阪の海の玄関の役割を担っていました。ところが、川底に堆積していた土砂で船の航行に差し障りがあったため、航路浚渫が必要になったのです。浚渫して集めた土砂は天保山に運び埋め立てをしたと伝えられています。この工事に動員された人員はのべ10万人。2年がかりの工事でした。

江戸時代の終わりには、動力源として蒸気機関を備えた浚渫船が登場します。エンジンは石炭が燃料の蒸気機関、船体は木造のものが中心です。自航できないバケット浚渫船でしたが、戦後まで浚渫工事の主役を担いました。

2:浚渫工事の技術変化

その後、固定点を中心に船体をスイングさせながら、海底の土砂の掘削と水の吸引を同時に行うポンプ浚渫船に移行していきます。臨海地域の埋め立て造成地が増えた高度成長期には、100隻以上のポンプ浚渫船が建造されました。

船だけでなく、技術にも過去と現代とでは様変わりしています。1つは船の自分の位置を知る方法、もう1つは水深を測る方法です。

昔は2つの基準点と角度から位置を測定する六分儀という道具が使われていました。1993年以降からは、GPS技術が導入され、屋外の見晴らしのよい場所であれば昼夜や天候に関係なく、どこでも船の位置を正確に知ることができるようになっています。

港湾工事の際に水深を測る量水標が日本ではじめて使われたのは、明治8(1875)年に行われた利根川の堤防工事です。それ以前は、レッドとよばれる測鉛をつけたロープを測量船から下ろす方法で水深を図っていました。

戦後は、音波を発信して海底から跳ね返ってくるまでの時間で水深を測る「音響測深機」を使うようになります。1950年代以降は複数の音響測深機、1990年代の中頃からは扇状の超音波を送受信する測深器を使うことで、より正確な水深を測れるようになりました。

3:浚渫工事の工法

浚渫工事の工法は、ポンプ浚渫工法とグラブ浚渫工法が多く利用されます。

ポンプやグラブによる浚渫は、浚渫船の上に設置された装置を利用して行います。浚渫船が作業できない湖沼や河川、ダム湖、軟弱地盤では泥上掘削機を使用します。

泥上掘削機は大型クローラのバックホウにバケットを装着した水陸両用タイプです。主に河川改修や地盤改良工事に利用し、浚渫と土砂の運搬作業を行います。

浚渫工事の進め方は、まず事前調査で堆積状況と底質の粒度を確認します。その後機材の搬入経路を確保し、必要に応じて乗入桟橋や係船設備など作業に必要な船舶を水上に移動するための施設を設置します。機材を搬入して実際に浚渫し、土砂運搬船に積み込みます。

運搬した土砂は桟橋から陸揚げし所定の場所へ運搬して完了です。

ポンプ浚渫工法

ポンプ浚渫工法は、専用のポンプ浚渫船を利用して行います。

杭を水底に刺して船を固定し、吸水管で水と土砂を吸い上げます。吸水管には回転するカッターヘッドを取り付けて、海底の土砂を切り崩しながら作業を進めます。

船上に設置されたポンプによって吸い上げられた土砂は、船の後方に設置した排砂管(はいしゃかん)を通じて、埋め立て地に直接運び出します。

ポンプ浚渫工法は比較的軟らかい土質の現場に向く工法です。カッターヘッドの他に、ジェット水流による攪拌や粘土質に対応可能な特殊ポンプを利用すると、さまざまな土質に対応可能です。

浚渫する速度が早く、広範囲の施工に適しますが、使用する設備が大型のため狭い場所では施工できません。

グラブ浚渫工法

グラブ浚渫工法は、専用のグラブ浚渫船を利用して作業を行います。

スパッドを刺して船を固定し、グラブバケットを先端に装着したクレーンを使用して、水底の土砂をつかみ取ります。引き上げられた土砂は、土砂運搬船によって埋め立て地へと輸送します。

グラブ浚渫工法は、港湾部など構造物が隣接する場所や狭い範囲の施工に適します。比較的固い土質にも対応可能です。先端に取り付けるグラブバケットの大きさを変えると、一度につかみ取る土砂の量も変更でき、土質や施工環境に合わせて柔軟に作業することが可能です。

ポンプ浚渫工法のようにカッターや撹拌機を使用しないため、巻き上げる土砂が原因の水質汚濁が少ない点が特徴です。汚濁防止膜の利用によって更に汚濁低減の可能で、環境に優しい工法として注目されています。

浚渫工事は建設業の許可業種のひとつ

浚渫工事は、国土交通省の定める建設業の許可業種29のひとつに含まれます。

建設業の許可とは、500万円(建築一式工事は1,500万円)以上の請負代金の工事を施工する建設業者が必要な許可です。公共工事、民間工事の区別に関係なく、業種別許可制の必要な業種ごとに申請します。

浚渫工事は、業種別許可制の「しゅんせつ工事業」許可が必要です。ダム湖や湖沼、軟弱地盤などの陸上で掘削機を使用した作業は、「とび・土工・コンクリート工事」に該当する場合もあります。

また、建設業許可は、特定建設業と一般建設業に区分されます。特定建設業とは、直接請負う工事金額が4000万円(建築一式工事業は6000万円)以上の下請契約を締結する場合です。それ以下は一般建設業で営業でき、下請受注代金の制限はありません。

その他、ひとつの都道府県に営業所を設置する場合は都道府県知事許可、複数の都道府県に営業所を設置する場合は、国土交通大臣許可が必要です。

出典:建設業の許可とは|国土交通省

建設業許可取得の必要要件3つ

建設業許可取得の必要要件3つ

建設業許可を取得するためには、営業所ごとの専任技術者の配置、経営業務の管理責任者の配置、財産的な基礎要件の3つが必要です。

それぞれ建設業法で詳しく規定されています。例えば、浚渫工事における専任技術者については、土木施工管理技士および技術士とされています。以下で具体的な内容を解説しますので、建設業許可の取得を行う前に、これらの要件をしっかりと把握しておきましょう。

1:営業所ごとに専任技術者が必要

建設業許可の要件で営業所ごとに専任技術者の配置が求められる理由は、請負契約の適正な締結と履行を確保するために専門知識が必要になるからです。見積や入札、請負契約の締結などの業務が営業所単位で行われるため、営業所ごとの配置が求められます。

専任技術者は一定の経験や資格を有する人物に限定されます。また、一般建設業と特定建設業では、求められる経験や資格が異なります。一般建設業よりも特定建設業のほうがより高いレベルを求められます。

専任技術者は常勤者が必要です。許可要件であるため、許可申請後の不在や5年ごとの更新時に専任技術者の常勤者がいない場合は、建設業許可の取り消しや更新不可能になります。専任技術者が交代した時は、適宜変更手続きを行います。

浚渫工事の専任技術者は、土木施工管理技士と技術士が適格とされています。

出典:許可の要件|国土交通省

土木施工管理技士

土木施工管理技士とは、建設業法第27条に基づき実施される国家試験による技術検定制度です。

1級と2級があり、1級土木施工管理技士を取得すると、特定建設業の営業所ごとに配置する専任技術者、2級は一般建設業の専任技術者に認定されます。

浚渫工事の公共工事で請負金額が4000万円以上の場合に専任が義務付けられる「監理技術者」は、1級取得者だけが認められる資格です。公共工事で4000万円未満の工事では、「主任技術者」が工事現場に配置される技術者となります。1級及び2級の土木施工管理技士の取得者が認定されます。

一般建設業者は4000万円以上の契約ができないため、主任技術者が担当します。

土木施工管理技士は、工事現場での技術責任者及び施工管理者として必要な資格といえます。

出典:技術検定試験|国土交通省

技術士

技術士とは、技術士法に基づく科学技術に関する高い専門知識と応用能力、豊富な実務経験を認定する資格です。

浚渫工事では、建設部門と総合技術監理の建設部門、水産部門の水産土木、総合技術管理の水産部門が専任技術者として該当します。建設部門は鋼構造及びコンクリートを含む場合も含まない場合もどちらも認められ、総合技術管理も同様です。

技術者は、公共工事の監理技術者にも認められます。専任技術者と同じ部門の技術士だけが認められ、その他の部門の技術士は浚渫工事の専任技術者には認められません。

出典:営業所専任技術者となり得る国家資格等一覧|国土交通省

指定学科の卒業と実務経験

土木施工管理技士や技術士の資格を保有していない場合、指定学科の卒業と対応する実務経験があれば専任技術者として認定されます。しゅんせつ工事業は、土木工学または機械工学に関する学科が指定学科です。

一般建設業の場合は、指定学科の高校を卒業後5年以上または大学を卒業後3年以上の実務経験者は、専任技術者として認定されます。

もしくは、指定学科卒業後、更に専門学校卒業後5年以上実務経験、または専門学校卒業後3年以上の実務経験を有する専門士、高度専門士も認定の対象です。

専門士とは、文部科学省が認定した修業年限2年以上の専門学校の修了者への称号で、高度専門士とは同じように修業年限が4年以上の専門学校の修了者への称号です。

指定学科を卒業していない場合は、浚渫工事業に10年以上の実務経験があれば、専任技術者として認められます。

特定建設業の場合は、一般建設業の専任技術者の要件に加え、請負金額が4500万円以上の業務で浚渫工事に施工管理者として2年以上の実務経験が必要です。

出典:指定学科一覧|国土交通省

2:経営業務の管理責任者がいること

経営業務の管理責任者の配置は、法人の場合は常勤役員に1人、個人経営の場合は本人または支配人のどちらかが規定された経営経験があることが条件です。

具体的な条件は、5年以上建設業の経営管理責任者またはそれに準じる地位の経験者、6年以上建設業の経営管理責任者の補佐業務経験者です。

また、5年以上役員等としての経験があり、かつ、建設業で2年以上役員経験があり、加えて5年以上労務管理、業務運営、財務管理の役員またはそれに準ずる経験者も管理責任者として認められます。

この条件には、常勤役員を直接補佐する立場に、建設業で労務、運営、財務の5年以上の業務経験者をそれぞれ配置することも求められます。

建設業と規定されているため、浚渫工事以外の建設業でも経験とみなされます。

出典:許可の要件|国土交通省

3:財産的基礎要件に該当している

財産的要件は、一般建設業と特定建設業で条件が異なります。

一般建設業は、許可申請直前の過去5年間に許可を受けて継続した営業実績、自己資本が500万円以上、500万円以上の資金調達能力がある、許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績がある、のいずれかに該当することが条件です。

特定建設業は、資本金は2000万円以上かつ自己資本が4000万円以上、欠損額が資本金の20%未満、流動比率が75%以上のすべての条件を満たさなければなりません。

この他に建設業法では、誠実であることや欠格要件に当てはまらないことも求めています。

欠格要件とは、申請書や添付書類での虚偽の記載、重要な事実に関する記載の欠如などです。同時に、破産者で復権していない、一般建設業・特定建設業の許可を取り消されてから5年以上経過していない人などが申請者や役員に含まれていないことも規定しています。

出典:許可の要件|国土交通省

浚渫工事に必要な資格

浚渫工事の施工管理者が専任技術者を務める場合、必要になる資格は、土木施工管理技士と技術士です。

先ほど説明したように、土木施工管理技士や技術士の資格がなくても施工できますが、大規模工事を手掛ける場合は、資格が必要になります。一般建設業は2級土木施工管理技士、特定建設業は、1級土木施工管理技士、技術士の建設部門、総合技術監理部門、水産土木部門が求められます。

専任技術者は、常勤が建設業許可を取得・更新するための条件です。施工管理者が資格を持っていると、施工責任の明確化と会社の健全経営に貢献できます。資格手当や給与の増額などで厚遇する企業もあり、施工管理者は業務と並行して資格取得を目指します。

出典:営業所専任技術者となり得る国家資格等一覧|国土交通省

土木施工管理技術検定試験

土木施工管理技士は、土木施工管理技術検定試験を受検し、1次試験と2次試験に合格すると取得できます。

受験資格は、2級土木施工管理技士の1次試験の場合、前年度末に17歳以上であれば特に規定はありません。

1級の受験資格は、学歴に対応する土木施工の実務経験が必要です。大学または高度専門士の専門学校卒業者は、指定学科が実務経験3年以上、指定学科以外は4年6カ月以上が求められます。

短期大学または高等専門学校(高専)専門士の専門学校卒業者は、指定学科であれば卒業後5年以上、指定学科以外は7年6カ月以上の実務経験が必要です。

高等学校の指定学科卒業生は10年、指定学科以外の卒業生は11年6カ月以上の実務経験が求められます。

専任主任技術者の実務経験者や2級土木施工管理技士も受験対象者です。土木施工管理技士は、土木施工管理技術検定試験を受検し、1次試験と2次試験に合格すると取得できます。

出典:1級土木施工管理技術検定|一般社団法人 全国建設研修センター

技術士試験

技術士試験は、1次試験に合格後修習技術者と認定され、一定の実務経験を積むと2次試験の受験資格を取得し、合格後登録すると技術士として認定されます。

1次試験の受験資格は、国籍や年齢、学歴や職務経験など一切制限はありません。また、大学などの教育機関の科学技術に関する学科で文部科学大臣が指定した教育課程の修了者は、1次試験が免除されます。

修習技術者は、登録すると技術士補になり、指導技術士の下で4年以上の実務経験で受験資格を得られます。

修習技術者は、職務上の監督者の下で4年以上の実務経験によって受験資格を取得し、指導者がいない場合は、修習技術者になる前からの経験も合算して7年以上の実務経験があれば2次試験の受験資格を取得できます。

出典:技術士になるには|公益社団法人 日本技術士会

浚渫工事についての知識を身につけよう

浚渫工事は、海や河川に安全な航路確保や港湾工事の際、浚渫船などによって水底の土砂を取り除く工事です。

浚渫工事は江戸時代から行われた土木工事で、明治時代に海外から導入された技術によって発展しました。現在はポンプ浚渫工法とグラブ浚渫工法によって施工します。

浚渫工事の施工は、軽微な工事を除いて建設業許可が必要です。建設業許可を取得するためには、専任技術者の配置、経営業務の管理責任者、財産的要件などの規程があります。

専任技術者には資格が求められ、浚渫工事には1級及び2級土木施工管理技士、建設部門、総合技術監理部門、水産部門の技術士が該当します。

施工管理者として浚渫工事についての知識を身につけ、資格取得を目指しましょう。


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