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嵩上げのメリット・デメリット|必要になる場合や手順例も紹介

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公開日時 2023.02.10 最終更新日時 2024.01.29

こちらの記事では、嵩上げのメリット・デメリットについてご紹介いたします。

 


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嵩上げとは高さを上げること


嵩上げとは、設置するところの高さを高くすることです。身近なものでは、洗濯機で嵩上げが行われます。洗濯機を置く洗濯パンとの間に隙間を作ることで、排水溝や洗濯パンを掃除しやすくするために行います。

様々な洗濯機の嵩上げ台が販売されていますが、手軽に100均グッズの洗濯機用防音マットで嵩上げすることもできます。

建築における嵩上げは、建築物の大規模修繕工事の際に、従来よりも高く設置することを指します。東日本大震災後に、津波対策として行われた護岸の嵩上げ工事や、ビルやマンションなどの建築物で、構造の改造や基礎の強化を目的として行われるものがあります。

建設工事における嵩上げの対象例4個


河川の堤防の嵩上げは、河川の改修工事によって行われ、川の流水量の計画が改定されると、堤防の断面を変更します。

同様に既設のダムを有効活用しながら、公共事業費の削減などに伴い、貯水容量を増やすためにダムを嵩上げする場合があります。このような嵩上げは既設の建設物を改良して、より能力を高くするために行います。

1:ダム高

ダム高の嵩上げの例として、岩手県の山王海ダムがあります。既設のダムを嵩上げしたものですが、元々のダムがアーズダムだったものをロックフィルダムとして生まれ変わらせました。

ダムの嵩上げにより貯水容量は効率的に増大しました。しかし、既設ダムを運用しながらの施工や、既設ダムの評価の問題など、課題もあります。

一方で、ダムを新設するよりも環境面に対する影響が小さかったり、ダム設置に伴う地権者への補償といった問題がなかったりするため、嵩上げ工事で既設のダムを増大化する利点がありました。

2:防潮堤高

既存の防潮堤の高さを高くすることで、災害対策を強化します。防潮堤に嵩上げコンクリートを足して、中壁および後壁を作り、高潮・高波による越波流量を抑えます。

2018年に台風21号の被害を受けた兵庫県芦屋市では、防潮堤を嵩上げしました。住民説明会での意見を取り入れて、第二室戸台風級の台風が来ても対応できるよう設計されています。

また、将来の地盤沈下に備えて、経年変化に対して約30cmの余裕高を見込むとともに、さらに高波の不確実性での余裕高を約30cm見込んでいます。

福島第一原発の防潮堤は、2020年9月に東京電力ホールディングス株式会社により、約13~15mに嵩上げすることが決められました。現在の高さは約11mで、2023年までに嵩上げの完成を目指しています。

3:地盤

地盤の嵩上げの例として、東日本大震災の被害を受けた東北、陸前高田市の例が挙げられます。津波の被害を受けた市街地に、山の中腹と結ぶ全長約3kmのベルトコンベアで土砂を積み上げることで、土地を約10m以上嵩上げしました。

震災後、高台に仮設住宅を建てて人が住むようになりましたが、商店街など広い土地が確保できないため、津波の浸水地を嵩上げすることで安全を確保しています。

4:建築物

建築物の嵩上げは、建物の基礎を補強するときや、移動するときに行われます。嵩上げ工事により、新たに1階部分を作り、部屋を増設したり駐車場を造ったりすることができます。

嵩上げにより、古くなった建物の基礎を補強できます。また、浸水などによる水害の防止もできます。さらに地震などで沈下した家も修復できるばかりでなく、古くなった基礎を新設したり、補強したりすることで、耐震対策を強化できるでしょう。

嵩上げのメリット・デメリット

嵩上げのメリット・デメリット


ダムの嵩上げは、新規にダムを建築しなくとも貯水能力を増やし、放流能力もアップするため貯水池容量が有効活用できるなどのメリットがあります。堤防の嵩上げの場合も、コストメリットや必要な用地が少なくて済むといったメリットがあります。

一方でデメリットとして、河川を横断するような橋や道路などの建築物は、改築が必要であったり、景観が損なわれたりします。

ここでは一般的な建築物の場合、嵩上げによるメリットやデメリットに、どのようなものがあるのか、確認していきましょう。

メリット

建築物の嵩上げは、河川の近くや低い土地に建っている建物、浸水被害にあったことがある建物などで行われます。

メリットとしては、梅雨の時期や台風の時期などの浸水リスクが高い時でも、冠水に対する対策を考えなくてはならない、という心配から解放されるということが挙げられます。

他にも、いくつかメリットがありますので、見ていきましょう。

新設・増改築に比べて低コスト

建築物の嵩上げは、居住しながら施工できるものもあり、新築や増改築に比べ低コストで施工できることもあります。工事中に転居する必要がないため、生活環境を変える必要がありません。

アパートのような集合住宅でも、一般住宅でも施工されているもので、愛着がある建築物を改築することなく施工でき、浸水被害の対策ができます。

土地活用の可能性の増大

がけの安全性が確認できない場合、建物の基礎をがけから離すとともに、嵩上げにより地盤を改良することで、がけに基礎の応力が影響を与えないように施工します。

このように嵩上げすることで、台地や丘陵地でも宅地としての土地活用の可能性を増大させられます。

防災対策の強化

嵩上げを行うことで、建物の地盤を高くできます。そのため、台風などの増水時にも、床上浸水や床下浸水のリスクを避けられるでしょう。

また、地面が冠水した場合でも、修繕コストを抑えられます。さらに、地盤強化がされるため、防災対策の強化につながります。

デメリット

嵩上げは、嵩上げ工事で盛土することによるコストがかかること自体がデメリットといえます。地盤をあげるための土そのものだけでなく、嵩上げブロックも盛土を加工用に用意する必要があります。

それ以外のデメリットについて、どのようなものがあるかを見ていきましょう。

使い勝手が悪くなることがある

嵩上げを行うことは、建物の基礎が高くなるということです。建物の基礎が高くなることのデメリットとして、バリアフリーの反対、つまり車イスでの行き来がしにくいような高低差ができるようになることが挙げられます。

また、子供やお年寄りなどが建物を利用しにくくなることで、リノベーションやリフォームなどを追加で検討する必要があるでしょう。

景観が悪くなる恐れ

嵩上げにより、建物の背の高さが高くなる場合、周囲の景観が悪くなる恐れがあります。景観法では、建物の高さの制限を決めていますが、高さ制限を都市計画だけでなく、山林地域や農山村地域でも、行うように変化してきています。

嵩上げは、その建物の高さ自体の変化につながるため、周囲への影響も考慮する必要があります。

出典:景観法の概要|国土交通省都市・地域整備局都市計画

建築物の嵩上げが必要になる場合5例


建築物の部屋を増やしたい、カーポートを新設したいといった理由で、建築物を嵩上げするといった事例があります。

また、マンションの屋上緑化のために、発泡スチロールの袋などで嵩上げし、土を盛って緑化というものもあります。

これらの事例以外に、必要に迫られて嵩上げする事例について、見ていきましょう。

1:道路より家が低い

道路よりも家の敷地が低い場合、雨水が家に浸水する可能性があります。また、家の生活排水の排水桝が、道路の中に埋められている下水道よりも低くなるため、ポンプでくみ上げる必要性が出てきます。

これらの問題を避けるために家の敷地を嵩上げし、道路よりも敷地全体を高くする必要性があるでしょう。

2:浸水

河川の氾濫など、浸水の経験がある建物を一段高く嵩上げすることにより、浸水被害を防いだ事例もあります。2020年7月に熊本県内で発生した豪雨では、球磨川とその支流で床上浸水が発生しました。

しかし、旧建設省による宅地等防水対策事業により約4~5m嵩上げした地域では、床上浸水を免れた住宅がありました。このように、嵩上げをすることにより浸水被害を防ぐことがあります。

3:基礎の劣化

基礎が劣化した建築物では、基礎を入れ替えるために嵩上げの手法をとることがあります。基礎がひび割れしている場合、柱や土台がシロアリの被害を受けていたり、湿気で腐っている状態であれば、補修が有効となるでしょう。

建物全体の土台を礎石やコンクリート基礎から切り離し、立ち上がり基礎の施工、ベースコンクリートの補強をします。腐った柱や土台は交換することで、建物をそのままに基礎部分だけを変えることができます。

4:地盤沈下

軟弱な地盤の影響、または地震や土地の液状化現象などにより建物が沈下した場合、嵩上げで修正することができます。

建物を油圧ジャッキで持ち上げ、沈下した部分に対し、薬液注入工事や盛土をします。これにより建物を活かしたまま地盤沈下の対策ができます。

5:耐震補強

耐震補強のための施工も、嵩上げによってできます。例えば、木造建築の古民家では、床部分に基礎の鉄筋を使わず、コンクリートが薄い布基礎でできている場合があります。

これを嵩上げすることにより、土台を交換するとともに、耐震性が高めやすいベタ基礎を作り替えたりします。

建築物の嵩上げ工事の5つの手順例


建築物の嵩上げには、重要文化財などの建物を移動させる技術の一つである「曳家」の技術の応用があります。曳家とは、建物を解体せずに、そのままの姿で移動させるものです。この中の建物を持ち上げる技術を使うことが、嵩上げの手順の一つです。

さらに、持ち上げた建物に対し、地盤を改良したり、土台を修正したりします。この嵩上げについて、具体的な手順を見ていきましょう。

1:既設基礎と土台の切り離し

建築物の嵩上げには、既設と土台から、建築物を切り離す必要があります。手順の最初に、基礎の天端を斫りにより撤去し、ジャッキをセットします。

土台と基礎はアンカーボルトにより緊結されています。この緊結状態から切り離すために、アンカーボルトを斫り出す方法、または、アンカーボルトをガス溶断等により切断する方法がとられます。これにより、土台と基礎を切り離し、干渉していない状態にします。

2:建物を嵩上げ

既設の基礎と土台が切り離されたところでジャッキアップし、基礎部分を高くします。ジャッキアップの際は、床や壁を残したまま施工する可能性もあり、そういった場合は壁や梁の損傷を目視できません。

そのため、建物に起きる変形角が大きくならないように注意する必要があります。ジャッキアップは満遍なく、少しずつ行うことで、損傷を避けるようにします。

3:基礎コンクリート補強

建築物の基礎コンクリート補強のために工事をします。建築物を嵩上げし、基礎のみを布基礎から後打ちでベタ基礎にし、補強します。

また、嵩上げにより既設の基礎を解体し、新設する手法もあります。新設した基礎では、建築基準法にのっとったアンカーボルトを配置でき、より耐震性の高い建物にできます。

出典:建築基準法施行令 | e-Gov法令検索

4:床組の復旧

嵩上げの後に、床組を復旧します。床組は床板が耐えられる間隔で根太を張り、梁を設け、梁を床束で支えます。

土台や柱の腐りはこの時点で交換や修正をします。プラスチック製の床束を使うことで、優れた荷重性能とシロアリの害や腐りを避けられるでしょう。

5:土台の修復

嵩上げのためジャッキアップした建築物と、切り離した土台の間にライナーを設置します。その後ジャッキを外し、ナットを継ぎ足してアンカーボルトを締めこみ、土台と基礎の間をモルタルで埋めます。

軽量嵩上げの手法として、デュポン・スタイロ社のスタイロライナーとスタイロフォームを使う手法があります。

嵩上げを上手に活用しよう


嵩上げは、建築物を壊すことなくそのまま活かすことができ、新築や増改築に比べて低コストで対策ができます。また、土地活用の可能性を増大させることができるでしょう。

今回ご紹介した嵩上げの手法を上手に使い、建物の修復や耐震強化に力を入れましょう。

 


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