ページトップに戻る
統括管理
公開日時 2022.04.01
最終更新日時 2022.04.01

現場代理人としてキャリアアップを目指す方法|他の職種との違いも紹介

現場代理人とは


現場代理人とは工事を請け負った会社が、その会社の経営者の代理として専任した現場責任者のことです。

工事現場の責任は、本来は工事を請け負った会社の経営者が負うべきものですが、一人の経営者が複数の現場責任者を務めることができないため、その業務の代理として専任された責任者が現場代理人です。

現場代理人になるために必要な資格


現場代理人になるために必要な資格はありません。建築業法では、民間の工事では現場代理人の設置義務は定められておらず、あくまでも発注主と締結された契約の中において、その工事現場の責任者としての役割を担うと明示された人のことです。

そのため、経営者の代理人として責任を負った業務を遂行するスキルは求められますが、法的に必要な資格はありません。

現場代理人の業務内容


現場代理人は上記の通り、工事を請け負った会社が経営者の代理として業務を遂行する役割の人です。従って業務内容も経営者として行う内容に類似します。

具体的には、工事現場の責任者として現場を取り締まることや、工事請負代金の請求・変更・受領などのように、経営者として行うこと同様の内容になります。

現場代理人に必要とされる4つのスキル


上記の通り、現場代理人は会社経営者の代理人として、その工事現場においては経営者と同等に近い責任を負います。

それ故に、現場代理人に求められるスキルとしては、必要なレベルは異なるものの、経営者に求められるスキルと同様の内容のものとなります。具体的には、決断力やコミュニケーション能力、知識・経験などです。

1:現場でトラブルがあった時の決断力

現場代理人は、経営者と同様に決断力が求められます。

工事に遅延があった場合にどのような対応をすべきかの判断を下す必要がある場合、その都度経営者に確認していては、より一層遅延が進んでしまいます。このような時には現場代理人が知識と経験を基に、すぐに判断をする必要があります。

また現場で事故が起こった場合は、直ちに正しい対応を取らないと、より一層状況が悪くなってしまうことが想定されます。このような際も現場代理人の速やかな判断が求められる場面です。このように、現場代理人には、経営者と同等レベルの決断力が求められます。

2:上司や職人と円滑にコミュニケーションが取れる能力

現場代理人には、コミュニケーション能力も求められます。工事現場には多くの人が働いていたり、出入りしていたりします。これらの人々と円滑なコミュニケーションを取って、工事をスムーズに進める能力が必要です。

工事現場には作業員や資材などを運んできた業者、現場監督など多くの人が関わっています。時には工事の発注者が現場に訪れることがあるでしょう。

このような人たちと上手くコミュニケーションを取って、工事を事故や遅延なく進めていく役割が、現場代理人に求められる業務です。

3:建築工事現場に関する知識

現場代理人は現場の全てに責任を負っている人なので、建築工事現場に関する知識も求められます。

現場代理人は、その現場でどのような工事が行われるのかの内容を知る必要があり、その工事をどのように進めていくのか、どのような設備や機器が必要なのかなど、建築工事全般に関わることに対する知識が必要となります。

4:これまでの現場での豊富な経験

現場代理人はさらに、それまでの現場で積んできた豊富な経験が必要となります。現場代理人は工事をスムーズに進めるために、作業員に指示を出したり、トラブルの解決策を考えたりする必要があります。

このような際に、作業員が納得のいく信頼されるような指示を出すなど、トラブルを最小限に抑えるための方策を出すためには、豊富な経験が必要となります。

現場代理人と現場監督はどう違うのか?


現場代理人は、上記の通り工事を請け負った会社経営者を代理して、その現場の責任を負う立場の人です。これに対して現場監督は、主任技術者・監理技術者として、工事現場の安全管理や作業員への技術的な指導監督を行う人になります。

現場監督は上記の主任技術者・監理技術者のことで、法律で規定された役割名ではなく、一般でいわれている通称の役割名です。

大きな工事などで、複数の業者が下請けとして工事を分担して行っている場合は、現場監督が複数人いる場合もありますが、現場代理人はその工事現場全体の責任者として一人だけです。このように、責任の重さは現場代理人のほうが権限が多いのが一般的です。

現場代理人と主任技術者・監理技術者はどう違うのか?


建設業法では、全ての工事現場にその工事の規模に応じて、主任技術者・監理技術者を設置することを義務付けています。

主任技術者・監理技術者は工事施工管理技士の資格保持者でなければならず、その資格の種類と等級に応じて管理できる業務内容が異なります。このため大きな現場では、複数の主任技術者・監理技術者が存在することもあります。

これに対して、現場代理人はその工事現場全体の責任者で、工事を受注した会社経営者の代理業務を行う人のため、その現場には一人だけです。

兼務しても工事に支障がないことを発注者が認めた場合や、発注者との連絡体制を確保できる、施工管理技士の有資格者であるなどの一定の要件を満たせば、現場代理人が主任技術者・監理技術者を兼務することができます。

出典:建設業法|e-Gov 法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100

現場代理人の配置の義務4つについて


上記の通り、現場代理人は工事を受注した会社経営者の代理として、その工事現場の全ての責任を負う人として明示された人です。

しかしながら、その配置に関しては発注者との契約の中で明示されてはいますが、一部例外を除いて配置する法的義務はありません。以下、現場代理人の配置の義務について説明します。

1:現場設置は契約内容次第で決まる

上記の通り、現場代理人を選任すべきという法的義務はなく、発注者との契約の中で定められるもののため、たとえば小規模な工事の場合は、契約内容次第では現場代理人を置かないという選択肢もあります。

この場合は、代理人でなく受注会社の実際の経営者が、全ての責任を負うということになります。

2:工事の規模で常駐が義務付けられる

国土交通省の公共工事標準請負契約約款では、公共工事では現場代理人を設置して、原則常駐することが義務付けられています。

また民間の工事であっても、一定規模以上の現場には主任技術者・監理技術者の常駐が義務付けられているため、その技術者に対しての指示と責任を負う現場責任者も常駐は求められるでしょう。

大規模な工事の場合は、契約の中で常駐は、ほぼ義務付けられると言われています。

出典:公共工事標準請負契約約款|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001331100.pdf

3:法律上の義務はない

上記の通り、公共工事では現場代理人の選任と原則常駐が義務付けられていますが、民間の工事では法律上は選任の義務は定められていません。

法的には義務とはなっていないため、設置しなくても法律違反にはなりません。設置することが望ましいと推奨はされているため、契約の中で設置を求められることは多いでしょう。

4:配置する場合の通知義務

工事を受注した会社は、現場代理人を選定して常駐させればよいというわけではありません。現場代理人を配置した場合は、発注者にその旨を書面にて通知する義務があると、法では定められています。

出典:建設業法(現場代理人の選任等に関する通知)第十九条の二|e-Gov 法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100#2

現場代理人としてキャリアアップを目指す4つの方法


上記の通り、法的には現場代理人の設置義務はないため、必要な資格もありません。

しかし、現場代理人の責任と権限は大きいため、それだけの職務を果たせるだけのキャリアを習得する方法や、現場代理人としてさらにキャリアアップを目指すために有効な方法はあります。

1:施工管理技士の資格を取得する

現場代理人は、上記の通り請負代金の請求や受領、変更などの、主に契約に関わる業務を行いますが、それと同時に現場管理の指示・責任の業務も行います。

この現場管理業務は、内容的に主任技術者・監理技術者の業務と類似する部分が多いため、現場の規模と契約によっては、兼任することも可能です。

このため、施工管理技士の資格を取得し、現場代理人と主任技術者・監理技術者を兼任できるようにすることは、キャリアアップに繋がります。

2:大卒で建築業界へ入る

上記の通り現場代理人は、請負代金の受領などの業務を行うため、責任と権限が大きい役割です。

一般にそのような大きな責任がある業務に就く人は、会社の正規の社員が多く、正社員として雇用されるには大学を出ていることが有利に働きます。

大学を出ていなくても現場代理人になることはできますが、より大規模な工事の現場代理人を目指すためには、大学を卒業することも一つの方法でしょう。

3:大手の企業に転職する

上記の通り、現場代理人には知識と経験が求められます。特に経験を積むためには、数多くかつ色々な種類の現場に携わることが有利に働きます。数多くの、いろいろな種類の現場に携わるためには、大手の企業に転職することが有効な方法として挙げられます。

小規模な会社の場合、同じような業務の繰り返しになることが多いでしょう。これに対して大手企業の場合は、色々な現場が存在するため、数多くの色々な現場に携われます。現場代理人としてのキャリアアップを考える上では、大手企業への転職も視野に入れたほうが良いでしょう。

4:個人事業主として独立する

現場代理人としてキャリアアップを考える上でもう一つの方法としては、個人事業主として独立することも挙げられます。

現場代理人とは、受注会社の経営者の代理として、現場の全ての責任を負う人ですが、独立して個人事業主となって、代理人ではなく正に経営者としてその現場の全責任を負う立場になることもできます。現場代理人のキャリアアップの到達点ということもできるでしょう。

知っておきたい建設キャリアアップシステム


建設キャリアアップシステムとは、一般財団法人建設業振興基金が運用しているシステムで、技能者が保有している資格やそれぞれの現場で働いた履歴を蓄積していく仕組みです。このシステムは技能者にも雇い主側にも、双方にメリットがあるように組み立てられています。

技能者のメリット

技能者は現場に設置された読み取り機にカードをかざすだけで、いつどこでどのような業務に就いたかの記録が取られ、業務経歴などが自動的に蓄積されていきます。

このため、その業務に就いた経験が必要な資格取得などの際に、証明の取得が容易になるという大きなメリットがあります。また、社会保険の加入状況なども自動で記録されるため、万が一の労働災害発生時にも、種々の証明取得が容易になります。

業界で統一されたシステムであるため、雇い主が異なる現場での就労であっても、継続性を持って記録が蓄積されていきます。故に、これまでのように個々の会社に問い合わせて証明を出してもらうなどの手間が不要となります。

雇い主のメリット

雇い主側にもメリットがあります。いつどの現場に、どの作業者が働いていたのか、その作業者の社会保険の加入状況など、労務管理に必要な情報の取得・管理が容易になります。

元請けから下請け、孫請けまで全てこのシステムに加入していると、孫請けまで含めた全ての作業者の労務情報を一元管理でき、万が一の労働災害の発生時などに、対応がスムーズになります。

また作業者側のメリットにも繋がり、作業者が就業経験を必要とする資格受験の際に、経歴証明などを個々の会社で発行する必要がなくなり、会社としての事務作業軽減になります。

このシステムが一般化されると、システムに加入していることが求人の際のアピールポイントになっていくでしょう。

現場代理人としてさらにキャリアアップを目指そう


これまで、主任技術者・監理技術者として働いてきた人は、現場代理人を兼務することでより責任や権限が大きくなり、給与などの待遇が良くなったり、会社の中での昇進に繋がったりするでしょう。

また他社への転職の際にも、現場代理人を経験していると、前職で経験と知識を持っていて、現場でも信頼されていたと受け取られる可能性があるため、業務経歴として重みを増します。

現場代理人を既に経験している場合は、施工管理技士などの資格を取得して、主任技術者・監理技術者を兼務することを考え、さらにキャリアアップを目指しましょう。

また転職や独立など、より責任と権限が大きくなる手段もあります。色々としらべて、よりキャリアアップを目指していきましょう。

俺の夢は「施工管理技士の派遣転職」に特化し、業界最大級の求人数、30年以上の転職サポート実績を誇る求人サイトです。
このサイトでは、施工管理技士の方に役立つ情報を「トレンド」「キャリア」「知識」の3つに分けてお届けしています。
運営企業:株式会社 夢真

Twitter LINE
NEW

新着求人

2024年4月20日更新
新着情報0
現在、新着求人はありません。