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職長教育
公開日時 2022.04.01
最終更新日時 2022.04.01

現場代理人が担う主な業務とは?転職状況と求められる能力もあわせて紹介

現場代理人とは?


現場代理人とは、請負者に代わって請負工事に関する軽微かつ重大ではない契約内容の変更の権限を授与されたものをいいます。

つまり工事の進捗具合を速やかにするために、現場で発生する様々な契約内容の変更や承諾を請負人の代わりに行う人のことを指しています。

出典:現場代理人の常駐義務緩和に関する適切な運用について|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001027239.pdf

現場代理人の役割

現場代理人は、安全管理、労務管理、工程管理、請負代金額の変更・請求・受領、各種交渉(クレーム対応など)といった施工に関わる全ての役割を果たします。

法律的には特に定義づけがないため現場代理人を配置しなくても法律違反にはなりません。但し、全ての工事で現場代理人を配置しなくてもいいわけではないため注意が必要になります。

出典:技術者の役割に応じた配置・専任要件の基本的枠組みの再検討に向けて|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001190048.pdf

現場代理人の資格

現場代理人という資格は法律上定められていません。よって、現場代理人は資格の必要がなく雇用関係的にも資格の有無は問われません。そのため法律上では誰でもその職務に就けるといえるでしょう。

但し、現状はその施工現場の契約内容によって配置するかどうかが決まります。現場代理人に資格がないとはいえ、全く配置しなくていいというわけにもいかない職務といえます。

出典:技術者の役割に応じた配置・専任要件の基本的枠組みの再検討に向けて|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001190048.pdf

現場代理人と施工管理・現場監督との相違点


現場代理人と施工管理者・現場監督は同じような職種にもみえますが資格や法律上の配置義務・常駐義務に違いがあります。

施工管理者には施工管理技士という資格の取得や法律上の規制がありますが、現場監督・現場代理人にはその定めはありません。しかし施工現場の契約上、施工管理者を現場監督として指名するケースもあり現場代理人が現場監督を兼任する場合もあります。

出典:技術者の役割に応じた配置・専任要件の基本的枠組みの再検討に向けて|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001190048.pdf

現場代理人が担う主な業務5選


現場代理人が担う主な業務を5つ紹介していきます。雇用関係の制約もなく資格の必要もない現場代理人ですが、配置された場合は現場の施工責任をもつ立場になります。現場代理人は業務や連携がスムーズに回って、施工現場が円滑に作業を進められるように動いています。

1:経営者の代わりに発注者と打ち合わせをする

現場代理人は経営者の代わりに発注者と打ち合わせをするという重要な任務があります。

現場代理人は請負業者の代理人であり管理責任者という役割を担います。そのため経営者や請負業者に代わって発注者と様々な打ち合わせを行い、付与された権限内で可能な限りの打ち合わせ業務をこなします。

また発注者だけでなく対外的な折衝やクレーム事項にまで交渉に赴く役割を担うでしょう。

2:現場の安全管理を行う

現場代理人は施工現場での安全管理を担います。安全管理とは施工現場における安全な作業環境を整える管理業務です。

現場代理人は季節・天候による作業の危険性などをはじめ、あらゆる事故の可能性を想定して作業員が安全に業務を行えるように対策を施していく立場になります。常に状況が変化していく作業現場では安全対策が最優先で求められるでしょう。

3:現場を円滑に進める工程管理を行う

現場代理人は工程管理も担い、現場の作業を円滑に効率よく管理します。

工程管理は工期までに施工物を完成させるためのスケジュール管理です。作業ごとの日程の調整や進捗具合による全体のスケジュールの見直しなど、細部から全体までを俯瞰し作業員に効率よく動いてもらえる指示を出します。

工程管理に狂いが出ると施工物の工期は遅れてしまうでしょう。現場を任される現場代理人は工事の完成という責任を担っているといえます。

4:作業員の労働管理を行う

現場代理人は作業員の労働管理も責任をもって担います。労働管理は労務管理ともいわれます。作業員の労働時間・労働期間・労働の対価・業務内容を細かくチェックする役割です。

施工現場は危険と隣り合わせのため、長時間労働や極度の残業、適切な休日の取得などがきちんと果たされているかをチェックしなければなりません。それが成されていないと過労などにより想像できない事故を引き起こす可能性があり得るからです。

5:現場の取り締まりを行う

現場代理人は、現場全体の取り締まりも行います。現場は様々な作業員との共同スペースになるでしょう。全作業員に作業の指示や注意事項、守らなければならないルールの徹底や風紀・モラルの乱れなどの取り締まりを行い、作業が円滑に進むようにします。

また周辺環境への配慮や近隣住民とのトラブル処理も現場代理人の役割でしょう。現場代理人は責任感をもって工期の完了まで職務を全うする立場といえます。

現場代理人の配置義務があるシーン4選


現場代理人を配置しなければならない現場について紹介していきます。現場代理人は施工現場によっては配置不要という立場ですが、シーンによっては配置不可欠という立場でもあります。現場代理人の配置が必要なシーン4つを、それぞれ詳しくみていきましょう。

1:工事の請負金額が3,500万円以上の現場の場合

現場代理人は、工事の請負金額が3,500万円以上の場合、現場配置が義務付けられます。

ただ、この条件は2020年より条件緩和の一環として適用されました。請負金額が3,500万円以下ならば常駐させる義務はないことになります。これは近年の人手不足による対応措置となります。

出典:現場代理人の設置について|愛媛県公式ホームページ
参照:https://www.pref.ehime.jp/h10950/5737/kitei/documents/02gennbadairininn.pdf

2:発注者と受注者との契約で行われる場合

現場代理人は発注者と受注者との契約で行われた場合、現場配置が必要になります。

これは両者の間で取り交わされる契約上の約款の効力が尊重されるからです。本来は建設業法において現場代理人を配置しなくても法律違反にはなりませんが、契約書に関わる約款が優先されることになります。

約款に現場代理人の配置が明記されていたならば、その条項が優先されることになります。

出典:公共工事の受発注者の皆さんへ|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/000125257.pdf

3:社会資本の整備を目的とした公共工事の場合

現場代理人は、社会資本の整備を目的とした施工工事、つまり公共工事には配置されることになります。

これは公共工事標準請負契約約款において定められています。現場代理人は建設業法よりも契約先の約款に強制力がはたらくための措置です。公共工事には国や自治体が発注者となるものと電力・ガス・JR・NTTなどの民間企業もその扱いとなります。

出典:建設工事標準請負契約約款について|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000092.html

4:大手ゼネコンが請け負う建設現場の場合

現場代理人の配置は、大手ゼネコンが請け負う建設現場の場合にも適用されます。

大手ゼネコンが取り扱う案件は、床面積が何十万㎡も超えるような超大型の再開発事業や一定階数を超えるような超高層ビルなどの案件を手掛けます。これらは請負金額3,500万円を超える案件ばかりでしょう。

大手ゼネコンが扱う案件に関しては、その約款の効力が優先され現場代理人の配置が決められるでしょう。

出典:適正な施工確保のための技術者制度検討会とりまとめ|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001191188.pdf

現場代理人が現場配置の際の4つの注意点


現場代理人が施工現場に配置される際の注意点についてみていきます。現場代理人を施工現場や工事現場に配置させるためにはどのような注意点があるのか、またどのような義務が発生するのかを把握しておきましょう。

現場代理人の仕事を転職候補に考えているならば、その仕事の条件や制限を知っておくことは重要といえます。

1:工事途中に現場代理人変更は原則として行わない

現場代理人は、原則工事期間途中において変更されることはありません。つまりその工事が完了するまで同一の現場代理人が常駐して任務を果たします。

但し、約款等の決まりにより発注者と事前に協議して認められれば例外として認められる場合もあり、後任の現場代理人は現場に常駐して役割を全うする義務が課されるでしょう。

2:選任の際は発注者に通知義務がある

現場代理人を選任して配置する場合、請負者は発注者に対して誰が現場代理人に選任されたのかを通知する義務が発生します。これは建設業法において唯一、現場代理人について規定されている決まりになっています。

現場代理人は大きな権限をもって現場を指揮・監督します。発注者にとって契約内容に逸脱するような越権行為を防ぐ意味でも、誰が現場代理人に選任されたかを通知するのは重要といえます。

出典:発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/000164510.pdf

3:工事期間中は常駐する必要がある

原則として現場代理人は、工事期間中は常駐する義務があります。

これは現場代理人が請負業者から非常に大きな権限を付与された立場の上で選任されており、工事現場の運営や取り締まり、工事の施工や契約関係の事務に関わる裁量をもっているからです。

このような理由から、現場代理人は発注者との常時の連絡等に支障をきたしてはならないので常駐が原則的に義務付けられています。しかし、現場代理人の常駐に関してはその契約先の約款が強制力をもちます。そのため常駐義務の緩和もあります。

出典:現場代理人の常駐義務の緩和措置について(平成29年4月改定)|西宮市ホームページ
参照:https://www.nishi.or.jp/jigyoshajoho/keiyaku/nyuusatukeiyakuseido/koji/genbadairinin_kanwa.files/genbadairinin_jyochukanwa_h29.4.1.pdf

4:契約内容により兼務ができるか否かは異なる

現場代理人は発注者との契約内容によって兼務することは可能です。

例えば同じ施工現場にいるのなら、現場監督と現場代理人の兼務は可能になります。発注者がその兼務に対して支障がないと認め、発注者との連絡体制も不備なく行えるのであれば兼務は可能です。

兼務が可能になるかどうかは発注者との約款の取り決めによるところが大きな要因となります。

現場代理人の転職状況


現場代理人という仕事に転職する状況について考えていきましょう。現場代理人には独自の資格の存在はなく、請負先企業の社員であれば誰でも選任してもらえる可能性があります。

しかし、現場代理人は請負企業の代理として多大な権限を発揮する職務といえます。転職する際には現場代理人として相応しいスキルを準備しておく必要があるでしょう。

仕事経験が採用優先度が高い

現場代理人として転職を成功させるためには、その業界の仕事経験が高いことが重要です。

自分が進みたい業界の工事内容や進め方、道具や機械は何を使い、使用している設備の特徴などについても熟知しておく必要があります。さらに現場にいる職人やスタッフに指示を出しながらコミュニケーションを円滑にとって互いの理解を深めていく必要もあります。

転職での採用優先度を高めるためにも、自分の仕事経験がどれくらいあるのかをアピールできるかが重要といえるでしょう。

資格取得が採用優先度が高い

転職で現場代理人になるには、その業界に特化した資格を取得しておくと採用優先度が高くなります。

前職の業界でどのような資格を取得してその仕事に役立ててきたのか、そういった仕事の経験値を資格の取得で推し量れるからです。現場代理人自体としては資格の存在がありませんので、前職の経験に活かせた資格を取得していることは転職において有効になるでしょう。

現場代理人に求められる能力4選


現場代理人に求められる能力について考えてみましょう。

現場代理人はその現場を取り仕切る権限者となりますので、求められる能力も当然ながらレベルの高さが求められるでしょう。また転職を考えている人にとっても自分の能力がそれに相応しいかどうか、チェックしておく必要があるといえます。

1:工事現場全般が円滑に進むための経験と知識

現場代理人は工事現場全体が円滑に進んでいくようにするために、経験と知識が問われるでしょう。

現場では専門用語が飛び交い、仕様書をみてもわからない場合もあります。つまり自分の経験不足と知識不足が露呈してしまっては現場代理人として工程を円滑に進められなくなる可能性もあります。

ただ、何事も経験ですのでわからないことは技術者や作業員に質問するなど積極性を発揮して現場の数を経験していくことで現場代理人としての能力は磨かれるでしょう。

2:現場での問題解決の決断能力

現場代理人には、現場での問題解決のための決断能力が求められます。

問題解決のための決断能力はその組織を束ねるリーダーの役割といえます。よって軽はずみな決断や意思表示は行えず、リーダーとしての資質も問われる要素となるでしょう。これには現場に対する深い理解が欠かせません。

日頃からコミュニケーションをしっかりとって現場との一体感を育むことで問題解決のための決断力は身についていくでしょう。

3:工事関係者とのコミュニケーション能力

現場代理人は工事関係者とのコミュニケーション能力を求められます。

コミュニケーション不足が起こってしまうと現場代理人の意思表示が徹底されず、仕様書と作業方法が異なってしまったりして収拾がつかない状況に陥る場合もあるでしょう。現場代理人は日頃から作業員に声をかけ、会話ができるような雰囲気作りがおすすめです。

コミュニケーション能力は人間関係を構築する基本といえます。現場の雰囲気に適した言葉を使って作業が円滑に進むように配慮しましょう。

4:業務遂行をするために率先した行動力

現場代理人は、業務遂行をするために率先した行動力を求められるでしょう。

現場代理人は現場で作業は行いませんが、それ以外の多くの業務を行う立場です。作業員たちが円滑に作業できる環境作りを率先して行いましょう。

現場代理人の転職状況について知ろう


現場代理人は請負業者の代表として多くの権限を行使して現場を取り締まる仕事です。現場代理人になるには資格取得は必要がないため、その業界で経験を積んでいき転職という手段で年収を上げていくことも可能な仕事といえます。

そのため現場代理人の転職状況を日頃から調べておくと良いでしょう。人手不足が続く建設業界において、優秀な現場代理人の需要は日増しに高まる可能性が期待できます。

出典:現場代理人,技術者等に関する留意事項 |高知市公式ホームページ
参照:https://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/life/17978_18987_misc.pdf

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