建築物環境衛生管理技術者は、ビルの維持・衛生管理を監督することが業務であり、ビルメンテナンスに必要な国家資格です。

現在、建築物環境衛生管理技術者として勤めている方の中には、年収が低くて困っている方もいるでしょう。

本記事では、建築物環境衛生管理技術者の平均年収・給料について紹介した上で、年収を上げる方法を解説します。

この記事の内容を把握すれば、年収が低くて困っている方でも、給料を上げられるようになります。

建築物環境衛生管理技術者として年収を上げたい方や、これから資格を取得しようとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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建築物環境衛生管理技術者とは

建築物環境衛生管理技術者は、建築物の維持・衛生管理を監督できる国家資格です。

具体的には、建築物の清掃や害虫駆除、水質の検査などのメンテナンスを下請け業者に依頼したり、テナントと打ち合わせ・交渉したりします。

建築物環境衛生管理技術者は、ビルのメンテナンスができる資格であるため「ビル管理士」と呼ばれています。

床面積が3,000平方メートル以上の建築物には、建築物環境衛生管理技術者の選任が必要です。

建築物環境衛生管理技術者は、建築物の維持・衛生管理のスペシャリストと言えます。

建築物環境衛生管理技術者の選任

建築物環境衛生管理技術者の選任は、所有者などの間に法律上の関係があれば足りるとされています。

そのため、常駐する必要はありません。

職務遂行に支障がない場合、以下のような兼任を認めるとされています。

• 学校教育法第1条に規定されている学校以外の特定建築物の場合、統一的管理性が確保されていれば3棟まで兼任可能
• 学校教育法第1条に規定されている学校の場合、同一敷地内や近接する敷地内の建築物で統一的管理性が確保されている場合は兼任可能

出典：厚生労働省「建築物環境衛生管理技術者について」

建築物環境衛生管理技術者に向いている人

建築物環境衛生管理技術者に向いている人には、以下のような特徴があります。

• 監督業務が好き
• 細かなところまで気遣いができる
• 他社とのコミュニケーションが得意である

建築物環境衛生管理技術者の仕事内容はビルの維持・衛生管理の監督業務なので、管理業務が得意な方に向いている資格です。

また、建築物の細かな部分まで点検するので、慎重に作業できる方に向いています。

下請け業者や建物のテナントとの打ち合わせ・交渉があるため、コミュニケーションが得意な人にも向いている資格と言えます。

建築物環境衛生管理技術者の平均年収・給料

建築物環境衛生管理技術者と日本全体の平均年収を、以下の表にまとめました。

建築物環境衛生管理技術者の平均年収は「350万〜450万円」ほどです。

勤めている会社の規模やスキル・実績によって、建築物環境衛生管理技術者の年収は変動します。

ビルが多くて、ビルメンテナンスの需要が大きい都心であれば、年収が450万円を超える場合もあります。

日本の給与所得者の平均年収は約443万円（2021年）なので、一部の建築物環境衛生管理技術者の方は、それよりも高年収です。

参考：令和3年分　民間給与実態統計調査

建築物環境衛生管理技術者の平均年収・給料を上げる方法

建築物環境衛生管理技術者として年収・給料を上げる方法は、以下の5つです。

• 大手企業に就職・転職する
• 実務経験を積んでスキルを高める
• 関連資格（ビルメン三種の神器）を取得する
• ビルマネジメントを行う
• 宿直がある現場で働く

今の年収・給料に不満があって上げたい方は、取り組めるものからぜひ実践してみてください。

大手企業に就職・転職する

建築物環境衛生管理技術者として年収・給料を上げる方法の1つ目は、大手企業に就職・転職することです。

大手企業であれば、請け負う仕事の単価が大きくなるので、手元に入る報酬も高くなります。

また、大手企業は残業手当や資格手当が出るところが多いため、手当がない企業で勤めている人は大手に転職すると年収が上がります。

中小企業で働いていて、年収に不満がある建築物環境衛生管理技術者の方は、大手企業への就職・転職を検討してみてください。

実務経験を積んでスキルを高める

建築物環境衛生管理技術者として実務経験を積んで、スキルを高めることも、年収・給料を上げる方法です。

実務経験を積めば、会社での評価が上がって責任者にキャリアアップでき、年収が高くなる可能性があります。

建築物環境衛生管理技術者としてさまざまな現場で仕事をして、スキルを高めることをおすすめします。

現在勤めている会社でスキルを伸ばせないと感じたら、転職を検討してみてください。

関連資格(ビルメン三種の神器)を取得する

建築物環境衛生管理技術者の関連資格を取得すると、難しい仕事にも対応できるようになるので年収が上がります。

以下3つの資格は合わせて「ビルメン三種の神器」と呼ばれており、年収を上げたい方は取得をおすすめします。

• 建築物環境衛生管理技術者
• 第三種電気主任技術者（電験三種）
• エネルギー管理士

「第三種電気主任技術者」は建築物の電気工事ができる資格、「エネルギー管理士」は建築物のエネルギー施設を管理する資格です。

ビルメン三種の神器を保有している方は、会社から高く評価されて年収が上がります。

また、以下の「ビルメン4点セット」も年収アップにつながる資格であり、取得をおすすめします。

• 第二種電気工事士
• 2級ボイラー技士
• 危険物取扱者乙種4類
• 第三種冷凍機械責任者

これらの関連資格を取得していれば、難しい現場に対応できる上に、資格手当をもらえます。

年収を上げたい建築物環境衛生管理技術者の方は、関連資格の取得を検討してみてください。

ビルマネジメントを行う

建築物環境衛生管理技術者としてビルマネジメントを行うと、年収・給料を上げられます。

ビルマネジメントとは、ビルのオーナーの代わりに建築物の管理・運営をする業務です。

例えば、テナント入居者の誘致や入居対応、賃貸借業の代行などを行うことが、ビルマネジメントです。

ビルマネジメント業務では、建築物環境衛生管理技術者を管理することも業務に該当します。

建築物環境衛生管理技術者よりも責任のある仕事であるため、ビルマネジメントを行うと年収アップにつながります。

ビルマネジメントをしたい方は、「宅地建物取引士（宅建）」や「ビル経営管理士」などの資格を取得しましょう。

宿直がある現場で働く

建築物環境衛生管理技術者として宿直がある現場で働くと、手当によって年収が上がります。

建築物環境衛生管理技術者の業務では、宿直や夜勤もあるので、年収を上げたい方は就業時間帯も確認することをおすすめします。

また、就業前に宿直や夜勤の手当があるか確認してから、就職・転職する企業を決めましょう。

建築物環境衛生管理技術者の年収に関するよくある質問

建築物環境衛生管理技術者の年収に関して、よくある以下の5つの質問に回答します。

• 建築物環境衛生管理技術者になるにはどうすればいい？
• 建築物環境衛生管理技術者の試験の受験資格は？
• 建築物環境衛生管理技術者の合格率・難易度は？
• 建築物環境衛生管理技術者に合格するのに必要な勉強時間の目安は？
• 建築物環境衛生管理技術者の需要は？

建築物環境衛生管理技術者の受験資格や難易度など、資格取得に関する内容について説明します。

ここまででわからない点や、気になる点がある方は参考にしてみてください。

建築物環境衛生管理技術者になるにはどうすればいい？

建築物環境衛生管理技術者になるには、以下のいずれかを完了して、厚生労働省に免状を申請しましょう。

• 試験に合格する
• 講習会を修了する

建築物環境衛生管理技術者になる方法の1つ目は、試験を受けて合格することです。

2022年度の建築物環境衛生管理技術者試験の申し込みは終了しているので、2023年度の試験のアナウンスを待ちましょう。

また、厚生労働大臣の登録を受けた団体の講習会を受講することも、建築物環境衛生管理技術者になる方法です。

講習会の科目と修了するまでにかかる時間は、以下の表のとおりです。

建築物環境衛生管理技術者の講習会を受講するときは、受講料の108,800円がかかります。

また、建築物環境衛生管理技術者の講習会を受講するには、実務経験が必要になるので公式サイトから確認してみてください。

建築物環境衛生管理技術者の試験の受験資格は？

建築物環境衛生管理技術者の試験の受験資格は、以下の用途で利用されている建築物に対して、衛生・維持管理の業務を2年以上していることです。

また、建築物における環境衛生上の維持管理に関する業務に該当するものは、以下のとおりです。

建築物環境衛生管理技術者の試験を受験したい方は、受験資格があるか確認することをおすすめします。

実務経験をまだ積んでいない方は、上記の表に該当する仕事をして、建築物環境衛生管理技術者を受験しましょう。

建築物環境衛生管理技術者の合格率・難易度は？

建築物環境衛生管理技術者の合格率・難易度の推移を、以下の表にまとめました。

建築物環境衛生管理技術者の過去5年の合格率は、平均すると16〜17%ほどです。

参考までに、施工管理の中で最も難しいと言われる資格である一級建築士の合格率は10%ほどです。

一級建築士と比べて、建築物環境衛生管理技術者は少し合格率が高いものの、合格率が10%代なので、しっかりと対策する必要があります。

建築物環境衛生管理技術者の合格率・難易度を以下の記事にまとめているので、詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

※関連記事：建築物環境衛生管理技術者（ビル管）の合格率・難易度を解説！受験資格や試験内容も紹介 

建築物環境衛生管理技術者に合格するのに必要な勉強時間の目安は？

建築物環境衛生管理技術者に合格するために必要な勉強時間の目安は「1,000時間ほど」と言われています。

毎日2〜3時間勉強しても1年ほどかかるので、1年は勉強すると見積もっておくとよいでしょう。

ただし、建築物の維持・衛生管理の実務経験や知識の有無によって、必要な勉強時間は変わります。

自分の経験量や知識量に合わせて、必要な勉強時間を見積もって、学習スケジュールを立てましょう。

建築物環境衛生管理技術者の需要は？

今後もビルがある限り、建築物環境衛生管理技術者の需要は無くならないと言えます。

ビルの衛生・維持管理するためには、建築物環境衛生管理技術者によるメンテンナスが必要です。

特に、大きな建築物である場合、オーナーだけでメンテナンスすることは不可能です。

これからビルが大量に減ることは考えにくいため、建築物環境衛生管理技術者の需要は今後もあると言えます。

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建築物環境衛生管理技術者とは、建築物の衛生・維持管理を監督できる国家資格であり、ビル管理士とも呼ばれています。

建築物環境衛生管理技術者の年収・給料は「350〜450万円ほど」であり、日本の給与所得者の平均年収より低めです。

だからといって、年収・給料が低いのは仕方ないと諦めてしまうのは早計です。

現在の年収・給料が低くて困っている建築物環境衛生管理技術者の方は、年収アップが期待できる求人サイトを利用して転職することをおすすめします。

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