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ネガティブフリクションとはなに?摩擦杭と支持杭の違いについても解説

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公開日時 2023.02.15 最終更新日時 2023.02.15

ネガティブフリクションとは


地盤の変状によって構造物には様々な影響が及ぼされますが、ネガティブフリクションという杭の摩擦力に関する現象をご存知でしょうか。言葉は聞いたことがある、という方も多いでしょう。

軟弱地盤等に杭を打ち込んだ場合、杭の周辺地盤が沈下することがあります。その際、沈下しようとする地盤と杭周面の間で摩擦力が生じますが、この摩擦力がネガティブフリクションです。

負の摩擦力

荷重が杭に作用するとき、杭先端の支持地盤がしっかりと固ければ杭を支えることができます。また、杭周面の地盤も、普通は杭を支える方向に摩擦力が働きます。このときの摩擦力は正の摩擦力です。

しかし、杭周辺に地盤沈下が起こると、杭周面の地盤が杭を沈めようとする方向に作用します。この時の摩擦力は杭に対して荷重として作用するので、正の摩擦力とは逆である、負の摩擦力になってしまいます。

地盤と摩擦を切り離す

ネガティブフリクションとは杭に地盤がぶら下がっているような状況のため、杭から地盤を切り離せば、摩擦力が働かない状況が出来上がります。

周面に摩擦力が働かないSL杭の使用や、鋼管の中に杭を設けるなど、地盤と摩擦を切り離すことがネガティブフリクション(負の摩擦力)対策の考え方です。

ネガティブフリクションで使用される摩擦杭


杭を打ち込むことで構造物を支持する基礎形式を杭基礎と言い、杭基礎を支持形式で分類すると、支持杭と摩擦杭に分けられます。この二つは同じ杭基礎ですが、それぞれ違う力を支持力としているので注意が必要です。

地盤沈下によるネガティブフリクションが発生した際、摩擦杭は地盤とともに沈下していくため、支持杭に見られるネガティブフリクションの問題が起こらないという利点があります。

支持杭との違い

支持杭とは、杭先端を固い地盤(支持層)に根入れして、先端支持力によって構造物を支持する杭です。摩擦杭とは、杭の周面と地盤の摩擦力によって構造物を支持する杭であり、支持層がかなり深い場合に採用されることが多いです。

また、摩擦杭を使うと杭長を短くすることができるので、費用が安くなります。

液状化が起きたとき

液状化とは、地下水位の高い砂地盤が地震によって液体状になる現象のことです。

この液状化が摩擦杭の周辺で発生すると、摩擦力を考慮することができなくなります。水の中に杭が刺さっているような状況になるので、杭は当然沈んでいきます。そのため、地震時に液状化発生の可能性がある場所には摩擦杭を使わないことが望ましいです。

摩擦杭は経済的に有利ですが、十分な安全性が確保できないと使用は難しいと言えるでしょう。そのため、ネガティブフリクション対策に摩擦杭を使用するのは、様々な面でリスクが生じてしまうので、次項に示す対策をとるのがいいでしょう。

ネガティブフリクションの対策

ネガティブフリクションの対策

摩擦杭はネガティブフリクションが生じにくいものの、液状化に弱く、挙動予測が難しいという弱点があります。そのため支持杭形式を採用しつつ、ネガティブフリクション対策を施すのが安全であると言えるでしょう。

ネガティブフリクションを大幅に低減する対策としては、NFパイルとSLパイルという鋼管杭の使用が効果的です。工場で特殊なアスファルトを鋼管表面に塗布しているため、地盤沈下によって生じる負の摩擦力を低減することができます。

ネガティブフリクションの対策:NFパイル

NFパイルは、杭表面を特殊なアスファルト(すべり層)とポリエチレン(保護層)で被覆した鋼管杭です。すべり特性の高い材料を用いることでネガティブフリクションを低減します。

また、温度変化によるすべり層の変化や、施工中の損傷から守るため、ポリエチレンの保護層で覆われています。

ネガティブフリクションの対策:SLパイル

SLパイルは、杭に作用するネガティブフリクションを低減するために、杭表面を特殊なアスファルト(すべり層)で厚く被覆した鋼管杭です。

圧密沈下を起こす恐れのある軟弱地盤には、この2つの鋼管杭(NFパイル、SLパイル)を用いて、ネガティブフリクションを低減するのがよいでしょう。

地盤沈下の原因

地表面が徐々に沈んでいく現象を地盤沈下といいます。地下水の過剰なくみ上げや掘削、地震などにより起こります。

近年では大きな地盤沈下は見られなくなりましたが、地下水採取が増加した高度経済成長期は地盤沈下が大きな社会問題として扱われました。

自然災害

地盤沈下を引き起こす自然現象は、乾燥に伴う収縮、地震による液状化、地下空洞の陥没などがあります。

2011年の東北地方太平洋沖地震では、東京湾岸北部の広い範囲で液状化が発生し、大規模な地盤沈下が起こりました。千葉県浦安市では、50cm程度にも及ぶ大きな段差や杭の抜け上がりなどが見受けられました。

近隣などの工事の影響

近隣での工事で、地下水の汲み上げや掘削が行われると、周辺地盤が沈下することがあります。特に、地下水の過剰揚水は地盤沈下の主要な原因として扱われています。そのため、地下水の採取制限などの措置が国や自治体によって設けられ、地盤沈下を防止しています。

また、石炭や鉱物を採取した際には、掘削した空洞が地盤沈下の原因になることも少なくありません。

圧密沈下

圧密沈下とは、盛土や建物などの荷重によって、軟弱な粘土層から間隙水が排出され、土の体積が減少する現象です。土の体積の減少に伴って地盤沈下が発生します。粘土層にセメント等を混ぜたり、地盤に載せる重量を制限したりすることで防ぐことができます。

圧密という現象は地盤工学にとっては極めて重要な項目であるため、単語だけでも覚えておくとよいでしょう。

ネガティブフリクションについて理解を深めよう

今回は地盤沈下によって杭に働く負の摩擦力、ネガティブフリクションの原因や対策について紹介しました。地下水の揚水や液状化などの身近にも起こりうる現象によって問題となってくるネガティブフリクションですが、その仕組みは理解できたでしょうか。

構造物の土台となる地盤に変位や変化が生じると、様々な影響が構造物に及びます。正しい知識を身に付け、問題の発生機構や原因をしっかりと理解していきましょう。


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