過去にどんなことがあっても、自分でその気になれば、人生を変えることができます。
そんなWさんをご紹介します。現場監督に向いている人として、あるいは転職の参考にもしてみてください。

暴走行為で逮捕、留置所からの逆転劇

福岡県にあるS建設は、34歳の元ヤンキーの社長が経営する会社です。
非行を繰り返し、高校を中退したこの社長が現在では、3社を経営し、公共事業も受注するようになりました。
ここでは、元ヤンキーから社長になったWさんを紹介します。

行き着く先は暴走行為による逮捕

Wさんは中学校を卒業した後、福岡県内の高校に入学、それと同時に一戸建て住宅の大工の見習いをアルバイトとしてはじめました。
当初からほとんど学校に行かず、現場での仕事をしており、ついには夏休みを期に本格的に大工を目指すことになり、高校をわずか4ヶ月でやめました。
日中は建設現場で仕事をしていたのですが、夜になると、暴走族を束ねるリーダーとして活動。暴力団とも関わるようになっていました。
20歳になるころには、100人以上の暴走族のメンバーをまとめており、警察からもマークされていました。
「いつか逮捕されるかも」と思いながらも、暴走行為をやめることはありませんでした。
しかし、警察の包囲網は着々と準備されており、9月の最後の土曜日に暴走行為をしていたところを現行犯逮捕されました。

留置所で自分自身に誓った決意

留置場で過ごしたときにWさんはこう思います。
「もうこんなところに入るのは嫌だ。学歴も人脈も、金もない俺が今できることは、今までやってきた建設現場での経験、この仕事に目一杯集中して、今まで迷惑をかけてきた人に恩返しをしよう。」と決意したのです。

それから、2年間で250万円を貯め、自身で会社を作りました。
今までの知り合った建築関係の人たちに「何でもやりますから仕事をください。」と頭を下げ続け、徐々に仕事を増やし、従業員もどんどんと雇うことができるようになりました。
その結果、今では3社を経営することになり、公共事業も受注することができるようになりました。

会社経営で一番大切なことは人材育成

また暴走族だった若者がやってきた

多くの元暴走族、ヤンキーを従業員として受け入れてきたWさんの会社に19歳の新入社員が入ってきた時のことです。
彼もまた元暴走族でした。当初から先輩とあまり話をせず、遅刻も多かったのです。
その理由が「目覚まし時計が壊れていました。」「携帯電話のアラームが鳴りませんでした。」などでした。
そして、ある現場では、工具で新しく取り付けた壁面を誤って傷つけてしまいました。

家庭にある問題を理解し将来を見据える

「これは家庭に問題があるに違いない」とWさんは思い、その新入社員の家庭を訪問することにしました。
すると彼の自宅には母親がおり、話をすることができました。
仕事のこと、家庭のことを話すうちに、父親が借金を抱えて家出し、母親は賃金の安いパートをやりくりしながら、この息子と二人暮らしをしていることがわかりました。
Wさんはこの新入社員へ「今は何もわからなくて、大変な仕事だと思う。だけど、ここで誰にも負けない技術を身に着ければ、大卒の普通の会社員よりも多くの給料が手に入る。なぜなら、俺自身、そうしてきたからだ。」と話をしました。
そう話すとその新入社員は「わかりました。これから精一杯がんばります。」と決意したのです。
その後、この新入社員はぐんぐんと成長し、今ではいつでも現場監督になれるほどに活躍するようになりました。

昔、ヤンキーだった。でも今は32名の社員を率いる経営者

Wさんはこう言います。
「確かに過去はヤンキーでどうしようもない存在でした。でも今は32名の社員を養い、社会に貢献できる存在になりつつあります。自分のやりたいことが見つかったら、後は全力でやるだけです。

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