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公開日時 2019.10.04
最終更新日時 2022.04.06

床上への水害が発生した時の現場対応と対策

どんな対策が出来るか


近年の増加傾向に有る水害に対して国も対策の取り組みを行っています。ですが、自然災害の被害を未然に全て防ぐことは不可能に近いと思われます。それを踏まえて工事をしてどの程度対策が出来るか、また個人としてどの程度対策が出来るかご紹介します。
住宅工事を例にお客様が家を建てた後に後悔しない為にもアドバイスが出来る様に努めましょう。

対策①

集中豪雨や台風時の大雨等で地面に溜まった雨が水位を増しやがて家屋内へ浸入して来ます。当然、地面に近ければ近い程雨が家屋内に浸入してくるスピードは速くなります。
その場合の有効手段としては「盛り土」です。予め敷地内を盛り土で周辺より地盤を高くしておけば家屋内への浸入を遅らせる、もしくは防ぐことが出来ます。
敷地内の地盤面を上げるということは道路から家屋内に入るアプローチは高低差が出来て上ったり下りたりする動作が必要になることや、高低差を階段等で上り下りするということは当然階段を作るコストも掛かります。
そのようなデメリットは有りますが、立地によっては高くしておくことも必要なことだと考えます。家屋内に浸入を許してしまえば大切な家がダメージを受け、修繕工事を行うとコストもたくさん掛かります。そうならない為にも対策のご提案も必要です。
また、家の基礎自体を高く作る「高基礎」という方法も有ります。盛り土で敷地全体を高くするのではなく家の基礎を通常より高く設定することで家屋内の浸入を回避出来るかもしれません。高基礎も通常よりコストが掛かってしまいますが、床下を広く取ることで通気性が良くなり湿気を抑える効果が有り、結果として水害対策と共に家を長持ちさせるというメリットが有ります。
その他にも敷地を塀で囲み雨水を敷地内に入れないといった対策も有ります。この方法は既存に家が建っていても出来る有効な手段です。盛り土や高基礎は家が建っている状態で施工することはとても難しくコスト面を考えても現実的では有りません。周辺から流れて来る水に対しては有効な対策だと考えます。

対策②

工事をする以外の対策も何点か挙げていきます。
まず、1階への浸水を対策する場合で古典的な方法になりますが、土のう袋に土を詰めて何段か重ねた物を家屋への浸水の危険性が有る場所の周りに置きましょう。
土のう袋に土を詰める作業は少し労力が必要になりますが堤防の役目を果たしてくれる簡単な対策方法です。
水のう袋という物も有り、土のう袋は土を詰めるのに対し水のう袋は水を入れて積み上げる形になります。土のう袋は土が必要になる為、素早く準備が出来るかというと難しい場合も有るでしょう。水のう袋の方が水を入れるだけなので扱い易く準備が簡単に出来ます。
その他にもシャッターメーカーや建材メーカーから水害用防水板の取り扱いも有ります。浸水を防ぐ衝立板の様な物で防水を兼ね備えています。水害への対策法や商品知識として知っておくことも大切なことだと考えます。
次に、バルコニーにも水が溜まる可能性が有ります。特にバルコニーが建物より持ち出しになっている場合です。住宅はもちろんマンションにも言えることですが、バルコニーに水が溜まり始めるととても危険です。
溜まる量やバルコニーの劣化状況によりバルコニーが落下してしまう危険性も有ります。バルコニーは排水溝の詰まりが原因で水が上手く流れずに溜まることがほとんどです。昨今の集中豪雨や台風時の大雨が発生すると、たちまちプールのように水が溜まってしまいます。そうならない為にも排水溝やその周りの清掃を心掛けて頂けるようにお伝えしておきましょう。
水害や集中豪雨等の対策をお伝えすることや商品知識を知っておくことはこの先のことを考えると建設業会に携わる全ての方にとって必要なことです。

水害に対しての国の動向や対策

近年、雨の降り方に関して明らかに変化が有ることから国や地方公共団体、企業等が連携して水害への対策や対応できる体制の整備を行っている状況です。国土交通省のホームページでも記載が有りますが、主に「命を守る」、「社会経済の壊滅的な被害を回避する」という内容です。
(参照:国土交通省 新たなステージに対応した防災・減災のありかた

「命を守る」という点の方向性としては、最大クラスの洪水に対しての想定やハザードマップの作成による災害リスクの認知度を向上させること、避難を促す情報を分かり易く提供できる取り組み等が挙げられます。
「社会経済の壊滅的な被害を回避する」という点の方向性としては、大規模な水害に対しての被害を想定して国や地方公共団体、企業等がどのように動くのか等具体的に時系列での行動計画を策定することや、災害時の応援や復旧の為の重要施設の耐水化等の取り組みが挙げられています。
ハザードマップを確認し、危険な地域を把握して水害の想定をすること位は普段の業務の中でも出来ることだと考えます。事前に対策をしておくことが最良では有りますが被害が出た場合を想定しておくことも大切なことです。速やかに動ける様に日頃から心掛けておきましょう。

危険を避けることが一番の対策

水害時の対策について紹介してきました。大切な部分をまとめると、
①水害の恐れが有る地域で家を建てる時は地盤や基礎の高さを考慮して計画をすること。
②工事をする以外の方法で水害時の対策を知っておくこと。
③ハザードマップを確認して危険な地域を把握しておくと共にあらゆる事態への想定をしておくこと。
以上がポイントになります。
一番やってはいけないことは水害の危険が有る地域と知らずに何の対策もせずに計画を進めてしまうことです。
危険な場所と知ることはハザードマップで確認が出来ます。怠らずに確認してから計画を進めると共に、各々の現場で正確な対応が出来る様に水害への意識を高めていきましょう。

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