施工管理の求人・転職情報掲載。資格者・現場経験者は即採用【施工管理求人サーチ】

施工管理求人サーチロゴ
夢真の転職支援 施工管理求人サーチ電話番号
お気に入りリスト
まずは無料WEB登録
メルマガ登録

実はスーパー素材!現代木造建築のテクノロジー

学ぶ
公開日時 2023.01.18 最終更新日時 2024.01.26

今の新素材の開発は様々な分野に及び、技術的にも大きく進化しています。そのため、従来では考えられなかった素材が、驚く様な分野で使われていたりします。

同様に建築の分野においても技術革新があり、素材の使われ方としては昔ならば考えられなかった様な使われ方もする様になりました。

今回紹介する木造建築の技術は、従来からあった素材をテクノロジーが変革をもたらした分野であると言うことが出来ます。

木と言えば、日本人にとっては古来から活用されて来た素材ですが、そこにはやはり限度があり、「出来ることと出来ないこと」が常識的に知られています。しかし、その常識を変えてしまう動きが、昨今の研究成果から見られます。
では、具体的にはどうなのでしょうか。

 


この記事をお読みの方におすすめの求人

株式会社夢真が運営する求人サイト「施工管理求人サーチ」の中から、この記事をお読みの方にぴったりの「最新の求人」をご紹介します。当サイトは転職者の9割が年収UPに成功!ぜひご覧ください。


 

木造建築物を見渡してみると


現代の建築物を見渡してみると、マンションなどの鉄筋コンクリート構造の普及が見られるものの、一戸建てなどの場合は木造がやはり主流となっています。

そして、今でも「木造が主流」である背景には、建物を建てるのにあたっての、木造を採用する上での大きなメリットがあるからです。

そこで、ここでは木造建築を再確認し、そのメリットなどについて見て行きます。

歴史的建造物

木造建築物について振り返る上で日本の歴史的建造物を参考にすることができます。なぜなら、日本の古い建築物は基本的に木造であり、数百年の年月を経てきた実績があるからです。
さらに、それら建造物は小規模の物だけでなく、現代人の目から見ても大型の建築物が多いです。京都や奈良などの木造建築物は非常に大型の物が多く、木造建築を学ぶ者にとっては非常に参考となる史料となります。

日本は地震大国とも呼ばれる国で、しばしば非常に大きな地震に見舞われています。また、日本には四季があり、温度変化などの素材の劣化に繋がる条件をもつ環境とも言うことが出来ます。

しかし、日本の歴史的建築物は、そのような環境にあっても、現在に至るまで倒壊せずにいる実績があるのですこれは、木造建築が如何に優れた建築物であることかを物語っています。

木造住宅事情について

ここで現在の木造住宅の事情について確認してみましょう。

日本の一戸建て住宅の構造は、主に木造在来工法、ツーバイフォー工法、鉄骨系プレハブなどがありますが、建築数からすると木造の在来工法が一番多くなっています。

これにはいくつかの理由があります。例えば「素材としての人気」です。

天然素材である木には独特の柔らかさや温かさがあります。そして木で作る居住空間には、人の心を和やかにする雰囲気があります。
また、建築コストが抑えられる点も魅力です。

一戸建て住宅は坪単価で価格が出されますが、木造在来工法は他の構造に比べてコストが抑えられます。具体的には、大手ハウスメーカーの造る鉄骨のプレハブ住宅の場合、坪単価が非常に高いと言われますが、木造在来工法の場合はそれよりも安く納まります。特に昨今ではローコストかつ高品質の住宅を建てるメーカーも多くなっており、木造住宅の浸透の躍進に貢献していると言えます。

このようなメリットにより、木造住宅は多くの人に受け入れられています。そして、住宅の件数が証明する様に、木は建材として「トップ」と言っても過言では無いのです。

木であっても高性能

木造建築の構造を鉄骨などと比較すると、「木造の弱さ」が懸念されます。なぜならプレハブ住宅の様にスチールをベースとした住宅よりも、木は様々な点で弱点があるからです。素材としての強度は鉄よりも劣り、木は鉄と違って燃えてしまいます。

それでは実際の木造住宅は本当に良くないのでしょうか。

確かに木は強度的には、ハウスメーカーの製造する重量鉄骨ほどは優れてはいません。しかし建築物として考えるならば大きな地震に耐えている実績もありますし、実際の耐用年数も法定耐用年数よりも長いです。

そして、現在の木造住宅は様々な「木の弱点」を克服しています。例えば、部材の腐りやシロアリの害などは木造建築物の弱点でした。しかし、今ではこれらの弊害に関しても、化学的な手段で対策が取られていて、成果を上げています。

その他にも、木造住宅は防火に関しては外壁材と組み合わせることで、また断熱に関しては断熱材と組み合わせることによって、優れた住環境を実現している実績があります。

この様に、木造住宅は決して性能的に不十分な訳ではありません。素材の特性を活かしながら、そして弱点は他の技術で補いながら高い性能を作り出しているのです。

環境配慮にも有効

昨今、地球環境問題が様々な場所で議論される様になりました。建築関係の場も例外では無く、環境問題は重要な位置を占めています。

例えば、木造住宅の利用も実は環境問題対策に有効な手段とされています。

木造住宅は木を材料にしているので、一見すると森林伐採に繋がるかの様に見えます。しかし、樹木は一人前に育つまでに相当量の二酸化炭素を吸い込んで、酸素に変えています。

その一方でプレハブなどの鉄骨をベースにした住宅は、金属の精錬から部材加工に至るまで、化石燃料を二酸化炭素に変えながら生産しています。
また、確かに木造住宅も加工や運送などのエネルギーは化石燃料がベースとなります。しかし、木材が一人前になるまでに吸い込んだ二酸化炭素の量を考慮するならば、木造住宅の建設で消費した二酸化炭素の方が多いのです。

この様に、鉄骨系の様に二酸化炭素を排出しながら造られる住宅よりも、木材ベースの住宅の方が大気中の二酸化炭素削減に貢献しています。

部材・部品の研究


木造建築物の発展の背景には様々な研究があります。その研究成果は目覚しく、現代の木造建築物の基礎を創り上げて来ています。その成果は今まで作ることの出来なかった建物や空間を、木造で実現させたことから考えても明らかと言えるでしょう。

ここでは部材と部品の性能について改めてクローズアップしてみます。現代の素材研究の成果を見ることが出来るでしょう。

集成材

昔の木造建築物は天然木を切り出した木材がそのまま使われることが一般的でした。しかし、今の住宅は集成材が多く用いられています。

集成材は接着剤で貼り合わされていることもあり、天然の木材よりも品質が劣っている様にも見えます。
しかし、本当に集成材の方が素材として劣っているかと言うと、実はそうとばかりは言えず、むしろ性能としてアップしている面も多くあります。

集成材の特徴は木材から引き板を取り、節などを取り除いて接着している点にあります。そのために天然木よりも強度が安定していて、寸法精度も高いです。
また、部材を力学的に考えるならば、細いよりも太い方が強度が高くなります。柱では圧縮に強くなり、梁では曲げに対して強くなるのです。

そして、集成材は耐久性の面でも非常に良い性能を持っています。林業関係者の言葉を借りると、しっかりと作られた集成材は50年から70年の寿命はある、とのことなのです。

天然木で太い材料を取り出すことは費用的にも多くかかってしまいます。しかし集成材であれば貼り合わせて作られているため、任意の太さに作ることが可能となり費用を抑えることができます。また、断面の大きさは部材の強度に直結します。

大きな断面の部材は圧縮や引っ張りに強いだけでは無く、曲げにも強くなるため、非常に大きくて広い空間を木造で造ることが可能となります。

この様に、集成材は天然木では簡単には出せない特性を出すこと、そして木構造の進化に大いに寄与しているのです。

構造用合板

建築物は上からの荷重を受けるだけでなく、横からの外力にも耐えなければなりません。

仮に横からの荷重に耐えられない場合、地震や台風などに見舞われると倒壊してしまう可能性が出て来るからです。
そこで有効になるのが、木造の在来工法の場合は筋交いになります。これは部材を斜めに設置することによって、構造に横からの外力に耐える役割を持っています。

しかし、横からの力を全て筋交いで受けようとすると、筋交いそのものに力が集中することがあります。場合によっては、筋交いがその集中する力に耐えられなくなり、破壊してしまう事態もあり得ます。

そんな中で使われる様になったのが、構造用合板を壁に取り付けて、筋交いの代わりに横からの荷重を受けさせる方法です。

構造用合板を使うメリットとしては、筋交いが集中的に力を受けるのに対して、合板の場合は荷重を分散して受けることが出来る点があります。加わる荷重を分散出来ると、構造の破損リスクを抑えることが出来て、強度の更なる保持が可能となるのです。

そして、合板は以前、ホルムアルデヒドによるシックハウス症候群が非常に大きな問題を抱えていましたが、今では化学物質の放散を抑えた物も登場して、安全性の高さも現実の物としています。

CLT材

最近話題になっている材料にCLT材があります。これは原木から切り出した引き板を直交させながら接着した材料です。これは、ヨーロッパを中心に発展して来た素材となります。

CLTのメリットは様々ありますが、大きなメリットとしては強度が挙げられ、その強度はコンクリートに匹敵する程です(曲げ、せん断は同等で、圧縮強度は5分の1程度となります)。その他にも遮音性や耐震性、断熱性も併せ持っています。

ちなみに、日本でのCLTの活用は始まったばかりですが、海外での今までの需要や実績などを考えると、日本においても非常に有望な素材と言うことが出来ます。

部品の組み合わせ

木造住宅は木部材の組み合わせで基本構造を作りますが、最近は頻発する大地震の発生を受けて、接合部などに様々な金属製の部品を使用する様になりました。

そして、それらの金属部品の多くはスチールなどの構造材などが使われています。更には複数の部品が組み合わされて、非常に頑丈な構造を作ることが可能となっています。ちなみにスチールの構造材の強度は、代表的なSS400材で1㎜四方の断面積で400N(ニュートン、約41㎏に相当)となっています。

ところで、金属部品は腐食のリスクがあります。これを仮に放置すると、強度が著しく低下してしまい、構造の倒壊が発生する可能性があり非常に危険です。

そこで有用なのが、メッキを始めとする金属の表面処理技術です。メッキは金属の腐食の発生を抑え、非常に長期間に渡って部品の強度を保持します。

他にも金属の表面を守る技術としては塗装があります。今の塗装は塗膜の強度や密着性も非常に高い性能を誇り、部品の性能を長く保つのに寄与しているのです。

この様に、構造を支持する部品においても、単に部品を作る技術だけでなく、表面処理の技術なども併せて使われて、よりハイレベルの構造を生み出しています。まさにレベルの高い技術の「合わせワザ」と言えるでしょう。

構造について

構造について


次に取り上げるのは木造建築の構造についてです。木造の構造と言えば在来工法やツーバイフォーなどが主流になり、建築可能となる構造には様々な制限がありました。

しかし近年、技術の進歩に伴って様々な点で変化がみられます。以前、建築するのが難しかった構造が実現可能な領域にまで広がった訳です。

3階建て木造住宅の普及

大都市圏の住宅地に行くと一般的に見られる3階建ての木造建築物ですが、3階建ての建物は昔からあるのでは無く、意外にも近年になって解禁された工法です。

3階建て住宅のメリットとしては、2階建て住宅よりも小さい敷地に同じレベルの延床面積の家を建てられることや、3階からの展望が良い点などが挙げられます。

しかし、住宅を建てる上では2階建ての住宅を建てるよりも技術的なハードルが高いです。
具体的に3階建て住宅と2階建ての建築面での異なる点は、3階建ての住宅が構造計算を必要とするのに対し、2階建ての住宅は簡単な構造計算で認められています。

この構造計算は柱や梁などの部材の計算だけでなく、耐震性の確認や耐風圧、そして基礎などにも及びます。そのために計算の量も非常に多くなり、費用も発生します。

そして、この計算を可能にした技術は別領域の進歩によるものです。そういった背景を鑑みると、3階建て木造住宅は現代テクノロジーの結集と言うことが出来るでしょう。

木造ラーメン構造

ラーメン構造は鉄骨系の建築物で見られる構造ですが、木造建築物にも採用されています。そして、今では木造建築の大きなカテゴリーとして確立しています。

ラーメン構造の特徴は、上からの荷重と横からの荷重を柱と梁で受ける点にあります。そのために柱を入れずに大きな空間を作るメリットがあります。しかし、ラーメン構造を作るためには部材の強度が十分に無いと作ることが難しいです。

また、部材と部材を接合する部品にも大きな力が掛かるため、接合部品にも頑丈さが要求されます。

それでは木造ラーメン構造を構成するためには普通の木材で作ることは容易なのか、というと意外に難しい点が浮かび上がってきます。

まず、部材における強度の安定性は天然木では不利なことが挙げられます。なぜなら、天然木には節があり、木目によって強度のバラつきが発生してしまうからです。また、寸法の安定性などにおいても、天然木はあまり有利とは言えません。

そこで解決策として浮上するのが集成材の利用です。修正材は張り合わせて作るので、太い材料を低コストで作ることが可能です。

また、節なども取り去っているので強度のバラつきなども少なくなります。他にも寸法安定性の良さなど木造ラーメン構造を作る上で必要な性能が備わっているのです。

耐震性アップ

木造建築において、集成材や合板などの強度の高い部材の登場は、強い構造を作る上で大きな意義を持っていました。

しかし、地震発生時や台風が襲って来た場合などの外力に耐えるには、強度の高い部材だけでは不十分です。と言うのも、構造の強度を維持するためには部材と部材を強固に繋ぐ必要もあるからです。

そして、部材間の繋ぐための対策として取られたのが、金属部品で部材と部材の接合部分を固定する手段です。

この金具は部材と部材を強固に締結しますので、柱と梁、そして筋交いは外れることが無くなり、構造を保つことが出来る様になります。

尚、建築物に要求される耐震性の基準は、大きな地震の発生と共に厳しくなって来た経緯があります。そして、その経緯と共に住宅の強度も上がって来ました。

その強度の向上のため、仮に地震が発生しても建物の倒壊などのリスクは低くなり、安心して建物を使える様になったのです。部材開発だけでなく、部品関連の技術も、構造を作る上で寄与して来たのです。

火への挑戦

当たり前のことの様ですが木は燃える素材です。火災保険についても、鉄骨系の住宅と木造住宅では別扱いとなり、保険料などの面であまり良いとは言えません。

しかし、今では木材の分野においても「火への挑戦」が始まっています。燃えにくい木材の開発が既に始まっていて、成果が出始めているからです。

具体的な木材の耐火技術はいくつかありますが、基本的には構造の強度を支える部分を、火炎に接する表面層で包んだ構造になっています。仕組みとしては火災の時に、木材の表面部分が燃えたとしても、中心部の強度を支える部分が残り、構造強度を維持するというものです。

この技術が開発される前は、木材の周囲を石膏ボードなどで耐火被覆をすることが必要となっていました。そのために、木は構造として確かに使えても表面には木が現れず、木の風合いを木材外観に出すことは出来ませんでした。そのために木を前面に出した空間造りには大きなハードルがあったのです。

しかし、この技術によって表面に木を現すことが出来る様になり、室内に木を前面に表した空間を造ることが可能になりました。

その成果として、「木を基調とした空間設計」の自由度が更に増し、インテリアデザインなどの幅も広がったのです。

周辺技術の研究


この様な技術の背景には素材の技術以外の技術の応用がありました。ここでは、その代表的な物について紹介します。

開発技術

工業製品全般に渡って言えることですが、商品開発のスピードが上がったのはコンピューターの積極的活用によるものがあります。設計段階でのCADの活用やインターネットの普及が大きな要因となりました。

これらの具体例を挙げると、例えば、以前の図面設計はドラフターなどを使っての手書きが主流でした。これは一枚一枚を別々に書いていくので、作業効率が悪く作業量にしても今と比べれば大きいです。

しかし、現在広く使用されるCADでは細かい部品図を描いた後、それを組み合わせて全体の組み立て図を作ることも簡単に行えます。

また、組み合わせた段階で細かい部分に不具合があった場合には、部品図の方を修正することも容易に出来ます。他にも図面を作図する上では細かい寸法の計算が必要なのですが、これもCADの中で自動的に計算してくれるのです。
また、インターネットの普及は、様々な調査を容易にし、データの受け渡しも素早く行えるようになりました。

開発に当たっては多くの調査が必要です。物の物性や化学的挙動、そして業者の連絡先など、昔であれば人的コネクションなどを利用しなければならなかった物でも、検索が容易になったことは、開発速度の向上に大きく寄与しました。

データの受け渡しについては宅配便を用いて資料を送付するよりも、メールなどに添付して送ることで、情報のやり取りに掛かる時間を短縮化しています。

生産技術

近年、木造住宅の現場では大きな変化を見ることが出来ます。特に大きいのが、現場での加工が少なくなっている点です。

これはプレカット工法の導入によるもので、工場で加工したものを現場に搬入し、組み立てる工法となります。

昔の大工は木材を現場に搬入し加工して組み立てたものです。しかし、工場で加工すれば現場での加工は省略されます。そして、工場での加工を増やせば現場での省力化が可能となり、コストダウンに繋がるのです。

それでは、工場での加工のメリットについて考えてみましょう。

まず、工場での加工は加工機の自動化により、非常に少ない人数で工場を稼働することが可能となっています。また、加工のデータは設計のCADデータから生産現場に転送し、CAMと加工機器で作りこみます。そうすると精度の高い寸法で部材を加工することが可能となるのです。

この様に、生産現場のコンピューター化は設計のCAD化とリンクして、効率を大幅に上げて来ました。そして、効率アップはスピードだけでなくコストにも大きく影響します。スピード、コスト、様々な点で大きなメリットがあるのです。

構造計算

構造計算もコンピューター化によって効率がアップしました。構造計算は部材の強度や想定される外力を計算し、構造が大丈夫であるかが判断される計算です。

しかし、柱や梁によっても計算方法が異なりますし、太さや向きによっても強度が違って来ます。そのため、それに合わせた計算が必要になっていました。

更には計算に入れる外力についても、建物そのものの自重だけでは無く、人や家財などが入った場合の荷重、地震の影響、台風や積雪の外力に関しても判定をしなければなりません。そのために計算の量も膨大になり、人的コストも掛かっていました。

しかし、この現場にもコンピューターの導入が行われて、構造の安全確認が昔よりも効率がアップしました。

尚、構造計算は構造全体を計算する上で必要ですが、部材単位の強度を算出することも必要になります。そして、設計のCAD化も部材の強度の計算をする上で有用です。

部材の強度は断面によって変わりますが、CADであれば断面を描きながら計算が可能なので、要求される強度を考慮しながら部材の仕様を検討することも可能になるからです。

製品試験

木造建築と製品試験の関係性は薄い様に見えますが、実は様々な部分の試験が行われていて、密接な関係をもっています。
例えば、合板の開発には耐力壁の試験が深くに関わって来ます。耐力壁は木造建築の耐震性を決める重要な材料ですが、柱などに取り付けた時には強度の確認が必要で、耐震性などの確認を試験しています。具体的には、合板を柱に取り付けた状態で荷重を掛け、破損の有無などを確認する試験です。
また、防火に関しても試験が必要です。現物を実際に加熱し、発火の状況や変形などを確認する必要があります。

他にも、温度や湿度を変えた場合の挙動を見る試験や、紫外線を当てた場合のシミュレーション、あるいは海水を被った場合の試験など、非常に多くの試験を行います。

この様に様々な試験を経て、建材としての品質確認がされています。そして、その背景には試験方法に関する研究も含まれています。

構造材に襲い掛かる外からの力や、環境から来る悪影響など、様々な要因に対しての対応が試験を通して、あらゆる角度からチェックされているのです。

木造ビルへの挑戦


街中のビル建築を見渡すと鉄筋コンクリートの構造が多く見受けられます。これは、鉄筋コンクリートは非常に丈夫で耐久性も高いため、大きな建造物には向いているからです。

しかし、近年になって木造建築の分野で大きな変革が訪れました。木造ビルの建築実績や計画です。木のテクノロジーについては前述の通りですが、これらの結実は「木造ビル」という形になって具現化されているのです。

そこで、ここでは木造ビルについて紹介したいと思います。

木でもビルが建つ

木は環境に優しく、しかも温かい雰囲気などを持ち合わせているため、住宅の分野を見ても非常に人気の高い素材です。ただし、それはあくまでも一戸建てや低層のアパートの話であって、大きな建造物では聞かれる話ではありませんでした。

しかし、近年開発された耐火木材などにより、木造ビルの可能性が非常にはっきりと見える様になりました。木材の弱点と考えられていた様々な部分がテクノロジーによって克服されたため、従来には考えられなかった建造物がより現実味を帯びて来たのです。その1つの答えが木造ビルになります。更に、木の利用にはメリットも大きいのです。

ここで木造建築のもたらすメリットを思い出してみます。

木造建築の大きなメリットとしては、環境問題に対する方策としての有効性があります。その一方で鉄筋コンクリートのビルは材料の製造にあたっても化石燃料がベースになった工程となっていて、環境配慮の観点から考えるならば、あまり良い物とは言えないことも作用しています。

また、林業への貢献も大きな要因の一つです。日本では多くの場所で植林がされていましたが、今ではその林が成熟期を迎えています。昔植えた木が大きくなって、切って使うのに適した時期となっているのです。ですから、材木の使用は林業に対する貢献と言えるのでしょう。

この様に、木を利用するメリットが複数あり、更に木の利用が可能となれば、ビルに代表される大型構造物の建設は大きな意義が出て来ます。

新しい木材の活用

木造ビルの開発の舞台裏では、新しい木材の積極的な活用が見られます。

例えばCLT材の利用です。CLT材は引き板を直交させて接着するので、高い強度を有することで知られています。また、CLTの特徴としては、単に強度が高いだけでなく、工場で生産されるために現場での加工を少なくするメリットがあります。そのために工期も短縮することが出来る点も大きな利点です。

また、構造としても従来の木造建築の様に柱や梁で支えるのでは無く、面で支えるために高強度を実現しています。その結果、耐震性や耐風圧などの外力に対しても優れた性質を持ちます。

また、木と鉄筋コンクリートの重さを比較すると、重量の差は明らかです。具体例を挙げると、木は水に浮くため舟を造る場合にも利用が出来ます。しかし、コンクリートは水に沈んでしまいます。

つまり、木と鉄筋コンクリートで同等の構造物を造るのであれば、木の方が断然軽くなります。そして、構造全体が軽量化されると、耐震性の確保の面でも優位性が更に出て来るのです。

他にも木材の難燃化技術も進んでいて、耐火試験での成績も高まっています。最近では耐火木材が国土交通省の認定を受けるなど、技術の躍進が大きく見られました。

新しい木材で可能になったことは様々です。テクノロジーは木造建築物の可能性を大きく広げたと言えるでしょう。

海外での実績

木造のビル建築の実績は、海外で多く見られることができます。

例えばイギリスにおいては2009年に9階建てのアパートが建築されていますし、2012年にはオーストラリアでも10階建てのアパートが造られています。他にもオーストリアでの大型ショッピングセンターの建築やスイスの7階建てのビルの例などが挙げられます。

また、これからの計画としては、アメリカのシカゴでは80階建ての木造高層ビルが提案されています

アメリカは日本と違って地震が少ない背景もあるのですが、これらの例は日本での木造建築物進展の推進力にもなっていると言えるでしょう。

木造高層ビルの計画

情報メディアなどでは、日本でも木材を多用したビルの計画が発表されています。これは東京都内に地上70階建ての木造ビルを建てるプロジェクトです。

東京都内のオフィスビルを見渡してみると、70階建てのビルは非常に高いです。都内の鉄筋コンクリート製のビルの代表例として新宿にある東京都庁を挙げますと、このビルは48階建てとなりますし、六本木ヒルズ森タワーは54階となっています。ですから、70階建て木造ビルは、まさに「群を抜いている」と言っても過言では無いでしょう。

まとめ


木のテクノロジーや建築実績、そして計画について述べましたが、これらから「木の可能性」が改めて見えて来ます。

環境問題対策として、林業への貢献として、木を多用した木造建築物は未来を変える起爆剤なのです。

 


この記事をお読みの方におすすめの求人

株式会社夢真が運営する求人サイト「施工管理求人サーチ」の中から、この記事をお読みの方にぴったりの「最新の求人」をご紹介します。当サイトは転職者の9割が年収UPに成功!ぜひご覧ください。


 

関連記事:
アルミ建具防火設備の個別認定!何が変わった?
【工具の材質】堅くて丈夫!クロムモリブデン鋼の特徴とは
知っておきたい!断熱材の種類と特徴、施工の注意点


当サイトの記事は基本的には信頼性に足る情報源(公共機関や企業サイト、または専門家によるもの等)をもとに執筆しており、情報の正確性・信頼性・安全性の担保に努めていますが、記事によっては最新の情報でない場合や情報の出典元表記や正確性が充分でない場合があります。予めご了承ください。

建設業界の人材採用・転職サービスを提供する株式会社夢真の編集部です。
建設技術者派遣事業歴は30年以上、当社運営のする求人サイト「施工管理求人サーチ」の求人数は約6,000件!
このコラムでは上記の実績と知見を活かし、建設業界で働く方の転職に役立つ情報を配信しています。

株式会社夢真 コーポレートサイト

Twitter LINE
RECOMMEND

おすすめ求人

PAGE TOP

まずは無料登録
お電話でのお問い合わせはこちら