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現場管理で知っておきたい建設業法|契約書や見積期間など総合的に解説

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公開日時 2022.09.27 最終更新日時 2024.02.08

こちらの記事では、建設業法についてご紹介いたします。

 


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目次

現場管理をする立場として知っておきたい建設業法とは?


建設業で仕事を行う上では、さまざまな法律の決まり事があります。その中でも特に重要な法律が「建設業法」です。
完成した建物に違法性や問題がなくても、建設業法に定められた工事の方法やその過程に違法性があった場合は建築業法違反になる可能性があります。
また、建設業法には契約や建築業許可など工事現場以外の部分についても多くの規定があります。
建設業法を理解することはもちろん大切ですが、法律の専門家でない現場監督や若手作業員が55条もある建設業法の全文を読み込み、理解することは困難です。
そこで今回は建設業法の基本的かつ重要な部分を紹介します。

建設業法の手段と目的


建設業法の第一条には「この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発展を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする」と明示されています。

この文章は「4つの目的」と「2つの手段」で構成されていることがお分かりでしょうか。
以下のように簡単にご説明します。

・4つの目的 建設工事の適正な施工の確保、発注者保護、建設業の健全な発達促進、公
共の福祉の増進の寄与
・2つの手段 建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化

つまり、建設業に関わるすべての人は、建設業法を順守することで2つの手段、究極の目標である「公共の福祉の増進」に寄与することが求められているのです。建設業法の各条文ではこれらの目的に沿った内容が記載されているため、上記6つの事項に反しないよう誠実に職務を遂行することが求められています。これらを遵守することで建設業法違反となる行為の多くを防ぐことが可能です。
「建設業法ってなに?」と聞かれたら、「6つの目的や手段を達成するために作られた法律」という答えが適切といえます。

出典:建設業法(抄)|国土交通省

工事の質を担保する役割を担う

建設業法には「建築業の許可」や「工事現場に主任技術者(現場監督)を置く」などの定めがあります。
このような決まりを作ることで、許可を得ない者が建設工事を行えないようにするほか、現場監督不在で質の悪い建設工事が横行してしまうリスクを防いでいます。

工事の当事者達を守る側面もある

建設業には多くの人が関わります。工事の当事者には建設工事を発注する者と受注する者がいますが、発注者は受注者に比べて有利な立場になるため、受注者に不利な条件で契約を迫ることがあるかもしれません。
建設業法では「適正な見積依頼」などを定めることによって、上記のようなケースを防いでいるのです。
工事の当事者の義務や責任を明確に定めて当事者を守ることは、業界の健全さを保つことに繋がるため、業界、当事者のどちらにとっても建設業法は大切なルールなのです。

建設業法の対象となる工事・業務とは


建設業者が行うすべての工事や業務が、建設業法の対象となっているわけではありません。
どのような工事や業務が建設業法の対象となっているのかを確認していきましょう。

29種類の工事が建設業法の対象

建設業法では以下、29種類の工事を「建設工事」と定義しています。

土木工事、建築工事、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事、解体工事
※しゅんせつ工事・・・河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事
※さく井工事・・・さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事
見て分かる通り、ほとんどの工事が当てはまります。
イメージする工事の多くが、建設業法で定める「建設工事」に該当すると考えて問題ないでしょう。

業者によっては対象外の場合も

上記29種の工事に該当しながらも、建設業法上の「建設工事」から除外されている工事があります。
それは「金額の安い工事」です。
500万円以下の工事「のみ」を行っている会社は、国土交通大臣や都道府県知事による建設許可が必要ありません。
また、建築一式工事の場合、1500万円以下の工事のみを行っている会社も同様に建設許可が不要です。
そのような会社が行うリフォーム工事などは、工事でありながら建設業法に定められた「建設工事」にはあたらないことを覚えておきましょう。

高額の建設物を建てても建設業法の建設工事にならないケースがある

自分で作ったものを自分で利用する目的の工事も、建設業法上の建設工事にはあたりません。
例えば、宅地建物取引業者が自社で建売住宅を造るなどの工事がこれにあてはまります。
自社で作ったものを自社で利用する(この場合は「売却する」)ための工事であり、請負契約による工事ではないため、建設業法の対象外になっているのです。

建設業者の業務=建設業法で定められた業務ではない

一見、建設業に当てはまりそうな業務でも、建設業法で定められた業務ではないことがあります。
例えば、雪の多い地方では道路に積もった雪を建設業者が重機を用いて撤去することがありますが、これは建設業法の範囲ではありません。
また、建設工事の際に発生した残土の運搬業務も建設業法で定められた業務ではありません。建設工事と一体になっているように見えるためわかりづらいですが、この業務も建設業法上の建設工事ではないため注意してください。

建築業法における主任技術者とは


建築業法には、主任技術者についての記載もあります。主任技術者とは法律的な用語で、一般的には現場監督のことを指します。
では、現場監督は法律でどのように定められているのでしょうか。ここでは設置義務や仕事内容の規定について紹介します。

主任技術者及び監理技術者の設置は必須

建設業法26条の内容は「主任技術者及び監理技術者の設置等」であり、これが現場監督に関する規定になります。
26条の内容を簡単にまとめると以下のようになります。

・建設業者が請け負った建設工事を施工するときは主任技術者を置かなければならない
・主任技術者は工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる
・請負金額が一定額以上の場合は、監理技術者(主任技術者の上位資格)を置かなければならない
・公共性があるなど、重要な工事では主任技術者または監理技術者は現場ごとに専任でなければならない

つまり、「主任技術者(現場監督)を置くこと」と「現場監督の仕事は建設工事の施工の技術上の管理をつかさどること」の大きく分けて2つの内容があることがわかります。
また、予算額の大きな工事では「監理技術者」が必要で、重要な工事の場合はその現場に「専任」の現場監督を置かなければならないという決まりもあります。

出典:建築業法 二十六条|e-Gov法令検索

現場監督の仕事内容

建設業法26条の3には現場監督がどのような仕事をしなければならないかが記載されています。
これによると、現場監督は以下の業務を「誠実」に行わなければなりません。

・施工計画の作成
・工程管理
・品質管理
・その他の技術上の管理
・施工に従事する者の技術上の指導監督

法律の文言に「誠実」という言葉が盛り込まれていることに注意してください。
もし「誠実さ」を欠いて仕事をしてしまうと、建設業法の趣旨に反することになってしまいます。

作業員の仕事内容

建設業法26条の3には「建設工事の施工に従事する者」、つまり現場作業員の仕事についても触れられています。
これによると「現場作業員は現場監督が職務として行う指導に従わなければならない」とされています。
法律を守るのはもちろん、現場作業員が気持ちよく指示に従ってくれるような現場の雰囲気を作ることが現場監督の重要な仕事のひとつです。

出典:建築業法 二十六条|e-Gov法令検索

建築業法における元請負人の義務とは


元請負人とは行政や民間企業、または個人から建設工事を依頼され、下請けにあたる各業者に仕事を発注する建設業者のことです。
元請負人は下請けである下請負人に対して様々な義務を負います。
義務を怠ると建設業法に違反してしまうかもしれません。
元請負人として仕事をすることになった場合に備えて、元請負人にはどのような義務があるかを確認しておきましょう。

契約書の交付

元請負人は下請負人(下請け業者)と契約を締結する際に契約書を交付しなければなりません。
契約書に最低限盛り込まなければならない内容も法律で決められています。
口約束だけをして、後にトラブルにならないためにも「工事内容」「請負代金の額」「工事着手及び工事完成の時期」などの重要な取り決めは書面化しておかなければならないのです。
具体的な内容は後述の「契約書について」の項目で説明します。

下請負人の指導

元請負人は下請負人を指導する義務を負います。
ここで言う指導とは、「下請負人自身が自社の従業員にしっかり賃金を支払っているのか」、「違法な行為はしていないか」などの監視と管理をすることです。
下請負人が違法行為をしている場合、元請負人はその是正を求める必要があります。
もし下請負人がこれに従わない場合、元請負人はその事実を国土交通大臣または都道府県知事まで通報する義務を負います。
違法状態を発見したにもかかわらず、それを見逃すようなことをしてはならないと法律で決められているのです。

また、元請負人の義務は元請負人が直接契約した下請負人だけでなく、下請負人が契約した再下請負人にまで及びます。
元請負人はその工事に関係するすべての下請負人について指導を行い、違法状態や違法行為がないかチェックしなければなりません。

契約書について


建設工事に関する契約は口約束ではなく契約書を作って書面化する必要があります。
ここでは、契約書に盛り込む内容や契約書についてご紹介します。

契約書に盛り込む義務のある項目

建設業法第19条では、建設工事の請負契約書に記載しなければならない14の項目を定めています。
大切なことなので以下に列挙します。

1.工事内容
2.請負代金の額
3.工事着手と工事完成の年月日
4.請負代金の支払い時期と支払い方法
5.当事者の一方から設計変更、工事着手の延期、もしくは、工事の全部もしくは一部の中止の申出があった場合の「工期の変更」「請負代金の額の変更」「損害の負担」及びそれらの額の算出方法
6.天災その他の不可抗力によって工期の変更があった場合の損害の負担の方法と負担額の算定方法
7.物価統制令第2条に規定する「価格等」の変動もしくは変更に基づく請負代金の額または工事内容の変更
8.施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
9.注文者が工事に使用する資材を提供し、または建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
10.注文者が工事の全部または一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期及び方法
11.工事完成後における請負代金の支払いの時期及び方法
12.工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときはその内容
13.各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
14.契約に関する紛争の解決方法

出典:建築業法 第十九条|e-Gov法令検索

契約書作成時に記入する項目

工事請負契約書は工事によって変わる場合もありますが、基本的に以下の8つの項目を記載します。

1.工事名
2.工事内容
3.工事場所
4.工期
5.請負代金
6.支払い方法
7.調停人
8.その他

書き方において、特に注意しておきたいポイントを紹介します。
「工期」は着手時期や完成時期、引き渡し時期などを記載しましょう。日付が確定していない場合は、「〇〇の日から△△日以内」などと記載します。
「支払方法」は契約成立時、分割回数ごと、引き渡し時それぞれのタイミングに請負代金の何割を支払うのかを記載しましょう。
「調停人」は定める場合のみ記載します。

契約書の作成時期に注意

契約書は「工事に着工する前に作成しなければならない」と法律で決まっています。
建設業法では「契約書を締結しなければ着工してはならない」とされており、手順を踏んで着工する必要があるのです。

契約書に添付する約款とは

契約書と一緒に約款を提出する必要があります。約款とは、主にトラブルになった時の解決方法など、契約書では記入出来なかった事柄を記載する書類になります。
建設団体、住宅金融支援機構、日弁連が独自に作成する書類など、工事請負には色々なスタイルがあるので注意が必要です。
特に日弁連の約款は消費者側に有利な作りになっていることが多いため、確認しておきましょう。

契約書は「必ず」作成する

500万円(建築一式工事なら1500万)以下の工事しか扱わない業者は、建設業の許可を取らずに営業できますが、そのような会社であっても工事契約の当事者になった場合は契約書が必要です。
また、工事というと大規模なものを想像する人もいるかもしれません。しかし、たとえ小規模な工事であっても契約書は必要なのです。
工事に契約書は付き物だと覚えておきましょう。

建設業法で規定されている「遵守するべき適正な見積期間」とは


契約書を作成するときに必要なものの1つが「見積り」です。
見積りは契約に先立って行わなければなりませんが、見積りの段階で下請業者に過度の負担をかけないようにするほか、正確な見積りができるようにするためにも、建設業法には見積りについての決まりがあります。その内容を紹介しましょう。

見積期間は「1日」~「15日」

建設業法20条には「建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない」と定められています。
ここで言う政令とは建設業法施行令第6条を指し、見積期間が以下のように定められています。
①500万円未満の工事:1日以上
②500万円~5,000万円未満の工事:10日以上
③5000万円以上の工事:15日以上
ただし、②と③の工事については「やむを得ない理由がある場合に限り」中5日以上とされています。
※10日なら5日以上に15日なら10日以上に短縮(する交渉をしてもよいとされている)。5日以内に限り短縮する事が出来る。
見積りを依頼するときは工事の規模に合わせて、できるだけ早く依頼しましょう。

出典:建築業法 第二十条|e-Gov法令検索

見積期間の注意点

注意すべきは「中1日」などという表現です。
本来の条文では「1日」などと書かれているため、「1日あればいい=今日頼んだら明日」だと思ってしまう人がいるかもしれません。
しかし民法には「初日不算入」という原則があるので、依頼した日はカウントしません。
このため条文で「1日」と書いてあっても、実際には「中1日」という扱いになるのです。
「1日」と書かれていると通常は「翌日」をイメージしてしまうかもしれませんが、実務上は「翌々日」となるので気をつけましょう。

見積りを依頼するときに必要な情報

見積りにあたっては、見積依頼者は、請求に対して契約書に記載しなければならない14項目のうち、請負代金の額を除く13項目の情報を提供しなければならないとされています。
また、工事の内容については最低限以下の8つの情報を提示します。

・工事名称
・施工場所
・設計図書(数量等を含む)
・下請工事の責任施工範囲
・下請工事の工程及び下請工事を含む工事の全体工程
・見積り条件及び他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
・施工環境、施工制約に関する事項
・材料費、産業廃棄物処理、労働災害防止対策等に係る元請下請間の費用負担区分に関する事項
見積りを依頼するときはこれらの情報を揃えておきましょう。
また、見積りを依頼されたら欠けている情報がないか必ず確認してください。

見積もりに関して法令違反になるケース

以上から、見積りに関しては下記の2点が法令違反の対象となります。

・不明確な工事内容の提示等により下請負人に見積りを行わせる。
・法令で定められた見積期間より短い期間で下請負人に見積りを行わせる。

必要な情報を迅速かつ間違いのないように収集し、余裕をもって依頼するようにしましょう。また、見積りを作成する場合は必要な情報が揃っているか、そして適切な見積期間であるかを確認するようにしてください。

建設業法における営業所の位置づけとは


建設業法では「営業所」に関する決まりがあります。はたして建設業法が言う「営業所」とはどのようなものなのでしょうか。
また、なぜ「営業所」についての決まりが法律で定められているのでしょうか。それぞれ解説してきます。

建設業法と営業所

営業所に関する決まりは建設業法3条1項に記載があり、そのポイントを簡単にまとめると以下のようになります。

・建設業を営むために営業所を設ける場合は都道府県知事の許可が必要
・本店または支店を複数の都道府県に設ける場合は国土交通大臣の許可が必要
・本店や支店、そして本店や支店に準ずるものが「営業所」である

ここで問題となるのが「支店」や「支店に準ずるもの」の定義です
本店や支店、そしてそれらに準ずるものとは具体的にどのようなものでしょうか

出典:建築業法 第三条|e-Gov法令検索

本店・支店・それに準ずるものの違い

国土交通省では「営業所」のことを「本店」「支店」「事務所」と想定しています。
「本店」とは一般的には本社を指します。
それに対して「支店」の定義は少し複雑で、下記の2つを定めています。

1.建設工事の請負契約締結を行っている支店
2.建設工事の請負契約締結自体は行っていないが、請負契約締結を行っている事務所の「指導監督」を行っている支店

そして「事務所」とは「建設工事の請負契約締結を行っている事務所」を指します。
このことから、以下の場所が「営業所」にあてはまります。

・本社
・請負契約の締結を行っているか、それを指導監督している支店や事務所

一方で、以下のものは営業所にあてはまりません。

・建設工事の請負契約をする権限がない支店や事務所
・資材置き場や倉庫など

なぜ営業所の定義が必要なのか

これまで説明したとおり、建設業法において営業所の定義は厳しく取り決められています。その大きな理由としては、社会インフラを担う建設工事は社会への影響が大きいため、各建設業者の活動範囲(事業、営業エリア)を都道府県や国は把握する必要があるからです。
そこで、法律で事業の拠点となる「営業所」と「それ以外(倉庫や事務所など)」を明確に区別することで、行政側の管理を円滑にする狙いがありますあるのです。
また、営業所を移転する際は変更届を提出しなければならないのですが、資材置き場や倉庫、事務所などを営業所として認めてしまうと、資材置き場を動かしただけで届け出が必要になってしまい、行政だけでなく、建設業者の事務手続きや書類作成の手間が増えてしまいます。このようなケースを防ぐためにも建設業法で「営業所の意味」を定めることは重要なのです。

現場管理で意識したい建設業法違反を防ぐために必要なこと4つ


知らないうちに建設業法に違反しないか不安な人もいるかもしれません。
ここでは建設業法に違反しないための具体的な対策をご紹介していきます。

1:発注者と受注者の正しい立ち位置を把握する

国土交通省は2017年3月に発行した「建設業法令順守ガイドライン(第5版)」のはじめに同ガイドラインの目的として「法律の不知による法令違反行為を防ぎ、元請負人と下請負人の対等な関係を構築する」としています。
いずれにせよ、建設業法は元請負人と下請負人の関係を平等にする目的があり、各建設業者はそれに則った事業活動が必要だと覚えておきましょう。

出典:建設業法令順守ガイドライン(第5版)|国土交通省

2:代表的な違反行為を知っておく

何が違反となるのかを具体的に知っておけば、それらの違反行為を防止することができます。
ここでは参考までに、違反行為の代表的なものをピックアップしてご紹介します。
いずれも受注者の大きな不利益になるため禁止されている行為です。

・受注者に過度な値引きを迫る
・発注者が代金の支払いを特別な理由もなく遅らせる
・やり直しの際、受注者に一方的に費用を負担させる
・工事に必要な資材や機械などの販売会社を指定して強制的に購入させる

3:ガイドラインなどを熟読し、活用する

国土交通省や各地方自治体はホームページなどで建設業法令遵守ガイドラインを公開しています。
ガイドラインには建設業法違反となる行為や過去に違反となった事例がまとまっているため、違反行為についてわかりやすく学ぶことができます。
特に国土交通省が公開している「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドラインについて」という資料には一見の価値があります。
100ページを超える資料ですが学ぶところが多いので、ぜひ目を通してください。

4:会社で情報を共有し、違反行為がないかチェックする

1人の社員が建設業法に違反した場合、その人個人だけでなく会社の責任も追及されてしまいます。そのため、どのような行為が建設業法に抵触するのか知っている人が会社の一部の人間だけでは、違反行為を未然に防ぐ効果はそれほど期待できません。
違反行為の防止を徹底するには、すべての社員が建設業法に違反してしまわないように勉強会を開くなどの社内教育を積極的に行うほか、違反行為のチェックリストを作るなど誰かがうっかり建設業法に違反する行為をしていないか監視してチェックするシステムを事前に作っておく必要があります。

建設業法に違反した際の罰則の例5つ


これまで建設業法の内容を説明してきました。
では、建設業法で定められている規定に違反してしまったら、どのような罰則が科せられる可能性があるのでしょうか。その例を紹介しましょう。

1:3年以下の懲役または300万円以下の罰金になるもの

建設業法に定められている最も重い罰は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」です。
また、懲役と罰金は同時に科されることがあります。
以下の行為を行った場合、処罰の対象になる恐れがあります。

・建設業許可を受けずに500万円を超える工事を請け負った
・元請として工事を請け負った場合に、特定建設業許可が必要な金額(総額4000万円、建築一式工事なら6000万円)以上の工事を特定建設業の許可なく下請業者にさせた
・虚偽の申請をして建設業許可を受けた
・営業停止処分中に営業した
・営業禁止処分中に営業した

出典:建築業法 第四十七条|e-Gov法令検索

2:6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金になるもの

こちらも懲役と罰金の両方が同時に科されることがあります。
該当するのは「許可申請、変更届、経営状況分析申請、経営規模等評価申請などで虚偽の書類を作成して提出した場合」です。
要するに「提出する書類に嘘があった場合は罰が科される」と覚えておきましょう。
そもそも仕事に関わる書類である以上、どのような書類であっても虚偽の事実を含んでいてはいけません。
書類には嘘を書かず、正直かつ誠実に書類を作成してください。

出典:建築業法 第五十条|e-Gov法令検索

3:100万円以下の罰金になるもの

以下の行為によって、100万円以下の罰金が科される可能性があります。
・工事現場に主任技術者や監理技術者を置かなかった
・許可行政庁からの報告や資料提出の要請に応じない、または虚偽の報告をした
・許可行政庁などの検査の拒否や妨害を行った
工事現場には十分に現場監督や監理技術者を置き、許可行政庁からの指示などに対しては誠実に従いましょう。

出典:建築業法 第五十二条|e-Gov法令検索

4:10万円以下の過料になるもの

過料とは罰金と異なり、刑事罰ではありません。
違反行為の場合は「過料」、軽犯罪を犯した場合は「科料」という違いがあります。
また、罰金は科料より重い刑罰なので、「罰金>科料>過料」となります。
以下の行為をすると過料の対象になってしまいます。
・廃業届の届出を怠った
・営業所や工事現場ごとに掲げる標識などの掲示義務に違反した
・営業所に帳簿を備えない、または帳簿に虚偽の記載をした

掲示義務については「うっかり掲示し忘れた」ということがないように、掲示物のチェックリストなどを作っておくといいでしょう。
また、帳簿に虚偽記載をした場合、建設業法上 の問題に加えて、税金の申告漏れや脱税など別の問題が発生する恐れがあることも覚えておきましょう。

出典:建築業法 第五十五条|e-Gov法令検索

5:個人が違反した場合

個人が違反をした場合、その個人が属している法人も罰を受けます。特に「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」を受けた者が属する法人は「1億円以下の罰金」が科されてしまうかもしれません。
また、罰金刑以上を受けると建設業許可が取り消されるおそれがあります。
一度建設業許可が取り消されるとその後5年間は建設業許可を取得できません。そうなると再起が非常に難しい状態に追い込まれる可能性もあるため、法律違反となる行為は絶対にしないように個人も法人も注意してください。

出典:建設業法 第五十三条|e-Gov法令検索

現場管理をする立場として建設業法の理解を深めておこう


現場管理をする上で、知っておきたい建設業法について紹介しました。
建設業法を違反することがないよう、内容を把握し、対策していくことは非常に大事なことです。
また、仕事を進める上では、一体となって建設業法を皆で勉強しながら、現場管理、工程を進めて行くことも大事なポイントとなります。
この記事を参考に、建設業法についてしっかり理解して、現場管理を円滑にしていきましょう。

 


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