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公開日時 2018.11.05
最終更新日時 2022.04.06

【二度とあってはならない事故】法律を大きく変えてしまった!?あまりにも影響が大きすぎたデパート火災

建物を作るうえで守らなければならない法律があります。
代表的な物は建築基準法や消防法といったものです。

法律というものは基本的に年月とともに厳罰化の傾向があります。
道路交通法もそうですし、少年法もそうでした。
覚えている人も多いと思いますが、社会的に大きな事故や事件が起きるたびにそれらの法律は改正されてきました。

そしてこの建築基準法や消防法も例外ではありません。
その中でも法改正に最も大きな影響を与えてしまったといわれているデパート火災があります。

教訓としてお伝えします。


○○デパートは、1958年に開業した商業ビルで専門店街や劇場などが入居していました。屋上に設置された観覧車は大阪の名物となっていました。

1972年5月の火災発生当時は6階の劇場跡部分がボウリング場へと改装中、また3階の洋品売場も改装工事中という状況でした。施設内でのキャバレーではバンドマンの演奏や歌を聴きながら飲酒やホステスの接待を受ける形式でした。火災発生当日はたまたま土曜日で、休みの前日に当たり店内にはお客様が多かったそうです(当時はまだ週休二日制は一般的ではなく、いわゆる“半ドン”で土曜の午後を余暇とする習慣がありました)。不幸は重なり、接待役のホステスは子持ちの母親が多く、奇しくも火災が発生したのは母の日の前日でもありました。

下階店舗が閉店した直後、22時27分頃に3階婦人服売り場より出火。
フロア内の防火シャッターやエスカレーターの防火区画が閉鎖されていないまま、上下階へ火が回りました。結局、延焼は2階から4階の範囲に止まりましたが、建材・販売品の燃焼による有毒ガスがエレベーターシャフトや階段、換気ダクトといった竪穴を通じて階上に充満し、当時、作業をしていた工事作業員らの初期消火失敗や、各々のテナントの責任者による消防体制の不徹底等が重なって多数の死傷者を出す惨事となりました。
出火原因は電気工事関係者のタバコの不始末と思われます。また非常誘導路上に間仕切りが施され、事実上誘導路が消失していたこと等、雑居ビルの欠陥を露呈させる事件となりました。

同ビルは大阪で有数の高地価な角地にあり、この時価に見合う賃料収入を確保すべく、多くのテナントを入れていました。この結果、全館の管理責任体制がかなり不明確となっていました。火災発生から消防署への通報までは約6分(比較的速やかに行われたものの)、『キャバレー』には火災発生の情報が伝わっていませんでした。さらにこのビル自体、歌舞伎座を改装した古い建物であったため1950年施行の建築基準法に不適合の状態であり、防火シャッターが自動作動するものではなく、火元の3Fで保安係が作動させなかったことやスプリンクラー設備が未設置であったことも被害が拡大する要因となりました。

上記の事件は某テレビ番組でも再現VTRとして紹介されていました。

建築基準法・消防法改正


このデパート火災と、翌年九州で発生したデパート火災を精査した結果、建物がそれぞれ「既存不適格」であったことが判明したため、建築基準法及び消防法の大幅な改正が実施されることとなりました。

停電時の非常照明の整備や避難路の確保などが義務化されることとなりました。

筆者:藤田 宏輝

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