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世界で最も有名といわれる「フーバーダム」。その偉業と背後に潜む「事故」とは

アメリカ合衆国にあるフーバーダムは、年間100万人前後が訪れる観光名所としても有名です。フーバーダムの建設によって周辺地域の水害が減り、アメリカの家電製品普及にも貢献しました。しかし、その偉業の裏で建設中に多くの作業員が亡くなっていたことはご存知でしょうか。今回は、フーバーダムの基礎知識や建設の背景、作業員の事故についてご紹介します。

フーバーダムとは

フーバーダムは、アメリカ合衆国で最も有名なダムです。アリゾナ州とネバダ州の境目に位置し、コロラド川の「ブラックキャニオン」と呼ばれる渓谷にあります。1931年に着工を開始、わずか5年後の1936年に完成しました。

まずは、フーバーダムの大きさや用途など、基本的な情報について解説します。

フーバーダムの基本的な情報

・大きさ
堤高221.3メートル、ダムの堤長の長さは379.2メートルです。建設された1936年当時は世界最大のダムでした。フーバーダムは日本で一番大きな「黒部ダム」(堤長約186メートルの2倍以上の大きさです。

・用途
農業用水・水道水の確保、灌漑対策、アリゾナ州・カリフォルニア州・ネバダ州への電力供給を目的として作られました。

・総貯水量
フーバーダムの総貯水量は348、5億立方メートルです。日本のダムの総貯水量が約204億立方メートルであることを考えると、いかに大きなダムであるかわかります。

・ダム湖名称
フーバーダムは建設当時「ボルダーダム」と呼ばれていました。正式名称がフーバーダムと決まったのは完成から11年も経った1947年です。フーバーというのは、着工当時のアメリカ大統領「ハーバート・フーバー」から取っています。

・建設費用
総工事費は約5,000万ドルです。1929年発生した世界恐慌はフーバーダムの建設にも影響を与えましたが、500万ドルの建設国債を発行して費用をまかなっています。ダム建設は恐慌による雇用対策の側面もあり、平均で約3,500人、一番多いときで5,218人の作業員が雇用されていました。

フーバーダムが作られた背景と意義

フーバーダム建設の背景には恐慌のための雇用対策があったことを説明しましたが、もともとはコロラド川の水害を防ぐためにダム建設が計画されていました。次に、フーバーダムが作られた背景、建設中の作業員の事故、ダムの意義を解説します。

フーバーダムが作られた背景

フーバーダム建設の目的は、ダム周辺地域の氾濫や渇水の問題を解消することです。1800年代から1900年代初頭にかけて、雪解けの時期になるとコロラド川の氾濫が発生し、夏から秋は渇水が発生していました。1905年には大規模な洪水が発生し、ダムの建設が急務とされたのです。

フーバーダムで起こった事故

わずか5年というハイスピードで完成したフーバーダムですが、巨大ダムの建設には大きなリスクを伴いました。建設中には多くの作業員が亡くなり、その人数は96人~122人とも言われています。
当時はヘルメットの着用が義務化されていなかったため、落石による事故が多発しました。なかには一酸化炭素中毒で亡くなった人もいたそうですが、正式な人数は発表されていません。

フーバーダムの意義

フーバーダムの完成によってコロラド川で頻繁に発生していた氾濫・渇水は減少しました。また、電力を安定供給できるようになり、ダム完成後は家電製品の普及率が上がっています。
フーバーダム建設は前例のない大規模な工事だったため「ジョイントベンチャー」の先駆けとなり、その後のダム建設にも技術が応用されました。

フーバーダムは多くの犠牲とリスクを伴って完成したダム

フーバーダムは、5年で作ったとは思えないほど巨大で完成度が高いダムです。作業員は24時間体制で働き、ヘルメットも着用せず、常に危険と隣り合わせの状況でした。当時はコンピューターもないことを考えると、ダム建設は想像を絶する苦労があったはずです。
施工管理は海外で仕事をすることもあります。ものづくりに携わる立場として、他国のダムについて理解を深めることも大切ではないでしょうか。

参考:建設コンサルタンツ協会「アメリカを象徴するダム『フーバーダム』

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