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公開日時 2019.08.16
最終更新日時 2022.04.06

こんなにある!ドアを通して見る製品確認試験

この記事でわかること »

環境関連


快適な生活には、屋外からの日差しや新鮮な空気などが欠かせませんが、それらの影響は住生活に大きな悪条件になる場合もあります。そのため、住宅には外界からの影響をシャットアウトする性能も求められます。
ここで取り上げる、気密性、水密性、遮音性、断熱性はそれぞれが快適な生活のための条件となります。

気密性試験

住宅に隙間があると、そこから隙間風が入り込んで、内部の様々な環境が壊される要因となります。例えば冬の場合においては冷たい隙間風があると室内の暖房効率が悪いですし、花粉の季節などは花粉が隙間から入るケースもあります。そのため、ドアには気密性が必要です。
ドアの気密性試験は、ドアの隙間から漏れる空気の量を調べる試験です。試験は「JIS A 1516 建具の気密性試験方法」に沿って行われます。
具体的には、ドアの室内と室外に気圧の差を発生させて、圧力の高い方から圧力の低い方に漏れる空気の量を測定して気密性を確認します。この時の内外圧力差は10Pa(パスカル)、30Pa、50Pa、100Paとし、それぞれの段階での測定となります。そして、各段階における判定基準を専用の用紙にプロットして行き、合格の等級を決めるのです。
尚、気密性試験には、4段階の性能の等級が設けられており、空気の漏れる量がそれぞれの等級に定められた対応値(気密等級線)を超えていないか確認します。そして、この性能等級はJISにて標準化されているので、メーカーが異なっても性能を比較することが出来ます。

水密性試験

建物が台風などの暴風雨に襲われると、ドアは単に雨水が降りかかるだけでなく、風圧を同時に受けてしまいます。そして、風圧によってドアが動いたり歪んだりすると、ドアと枠に隙間が生じる場合もあり、その部分から雨水が侵入して来る場合があります。
この風雨によるドアの漏水の現象をシミュレーションするのが水密試験なのです。
試験としては、「JIS A 1517 建具の水密試験方法」に沿って行われます。試験は気密性試験の様に、ドアの内外に圧力差を生じさせ、それと同時にドア表面に散水し、その圧力によって漏水が発生するかをチェックします。また、この時の気圧差は単に圧力を掛けるのでは無く、圧力を一定間隔で強弱を付けながらの載荷となります。
この試験の合否判定は室内への水の侵入の状況によって決まります。水の侵入には、流れ出る場合や吹き出す場合もありますが、いずれも枠外への漏水が無ければ合格となります。
尚、水密性においても合格等級が設けられています。決められた等級によって、ドアに掛ける圧力が変わります。圧力が大きければ、それだけ高い水密性を持っているとされています。

遮音性試験

音は「高低」と「大きさ」によって聞こえ方が違います。そして、音の高低は周波数のヘルツ(Hz)、大きさはデシベル(dB)によって表現されます。ドアの遮音性を測定する場合には、「ドアによる音の減衰量」を測定するため、デシベルの測定となります。
試験方法は「JIS A 1416 実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法」に準じます。試験としては、ドアの外側と内側で、片方にスピーカーを設置して音を発生させ、反対側でマイクに入って来るスピーカーの音の特性を拾い出してドアの遮音性能を確認します。
この試験では、音としては周波数の高い成分と低い成分を合成させた物を一定の大きさで発生させます。次に、ドアの反対側でマイクで拾います、そして、マイクで拾った音を周波数ごとに分けて、各帯域の音の量をデシベルで測定します。そして、発生させた音とマイクで拾った音での各周波数帯での減衰量が一定の値を超えた場合に合格となります。
尚、遮音性においても4段階の等級が決められているため、等級を見るだけで遮音性能を知ることが出来ます。

断熱性試験

ドアの断熱性試験は、試験体となるドアを恒温室と低温室の間に設置し、ドアを超えて出入りする熱の量を測定することによって性能を測ります。ドアの熱の移動は、熱貫流率(W/(㎡・K))によって表されます。この値はドア内外での温度差が1℃ある場合に、1㎡及び1時間あたりにどれだけ熱が熱量が通過するかを表した単位です。そして、試験の合否の判定としては、この熱貫流値が一定の値を下回った場合に断熱性が規格を満足するとされて合格となります。
この試験のJIS規格は、「JIS A 4710 建具の断熱試験方法」です。
尚、断熱性能においても性能の等級が決まっていて、それぞれの段階で判定基準となる熱貫流率も規定されています。そのため、メーカーを超えて断熱ドアを選ぶ場合でも、断熱性能を等級によって判断することが可能になるのです。

まとめ


建材の進化においては試験での品質確認は欠かせません。そして、品質確認以外にも、試験規格を覚えておけば、ドアを扱う上でも大きな参考になります。試験方法や品質規格の知識は大きな武器となるので、把握しておきましょう。

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