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公開日時 2019.08.16
最終更新日時 2022.04.06

こんなにある!ドアを通して見る製品確認試験

強度試験関連


ここでドアの強度に関する試験について説明したいと思います。強度に関する試験には様々な種類がありますが、代表的な物としては鉛直載荷試験、ねじり強さ試験、砂袋による耐衝撃試験、耐風圧性試験などがあります。それぞれの試験の概要について紹介します。

鉛直載荷試験

ドアの鉛直載荷試験の概要は、ドアを開いた状態でドア戸先に鉛直荷重を加えてドアに発生する変形や破壊などの有無の確認です。また、試験は単に荷重を加えるだけでは無く、ドア自体がどれくらい下に移動するかまで測定されます。そして、ドアに破壊や著しい変形が認められないことや、載荷後にドアが支障無く開閉出来るかによって合否が判定されます。
この試験方法や品質についてはJIS(日本産業規格)に規定されています。(「JIS A 4702 ドアセット」及び「JIS A 1524 ドアセットの鉛直載荷試験方法」)
その規格の中での試験の合否の判定規準は、「載荷荷重を500N(N:ニュートン)として、載荷した荷重を除去した後の残留変位が3mm以内で、開閉に異常が無く、使用上支障が生じてはならない」と定められています。(500Nという荷重は概略で51kgに相当します。)
ちなみに、鉛直載荷試験で残留変位が大きくなると、ドア自体が歪んでしまい、ドアがドア枠に当たってしまって、開閉が出来なくなる危険性が生じます。したがって、この試験は、鉛直方向の荷重と開閉状況との関係を表すとも言え、非常に大切な試験であるのです。

ねじり強さ試験

建築材料の寸法や形状として、図面通りに長さや角度がしっかりと出ていることが必要ですが、実は反りやねじれが発生していないことも重要な条件です。このことはドアに関しても同様です。ドアにねじれが発生しているとドアがドア枠に納まりにくくなり、閉まりにくくなります。つまり建て付けが悪くなるのです。
そのため、ドアの試験においては意図的にドアにねじれの外力を加えてやって、ドアがねじれて変形してしまうかを確認します。
具体的なドアのねじり強さの試験方法としては、ドア戸先の上端部分を固定してしまい、ドアの下部に横から荷重を加え、ねじれを人為的に発生させて、ドアのねじれに対する強度を確認します。実際の荷重の強さとしては、戸先下端に200Nの荷重を加えた後で荷重を除去し、その上で開閉状況のチェックを行います。
これもJISに規定があり、「JIS A 1523 ドアセットのねじり強さ試験方法」にて標準化されています。
そのため、製品のカタログなどに「JIS規格の試験をクリア」などの記載を見つけることが出来れば、この条件での試験で十分な性能値を持っていると分かるのです。

砂袋による耐衝撃性試験

ドアに要求されるのは鉛直載荷やねじれの力の様な静的な荷重だけではありません。人がぶつかる様な動的な力もあるのです。また、場合によっては、人が体当たりをするなどして、ドアを不正に破ろうとする事態も想定されます。他にも、ドアの耐衝撃性が不足すると、ドアに物が衝突した場合にドアが歪んでしまい、ドアが開かなくなる場合も考えられます。そのためにドアには十分な耐衝撃性が必要になるのです。
組み立てたドアの場合は砂袋を使って耐衝撃性を試験します。
試験の方法としては、直径が約350mmで総質量が30kgの砂袋で作った振り子を、試験体となるドアに衝突させて破壊や変形の状況を確認します。この時の重りは、振り子の高さを170mm上げた位置からドアに衝突させます。そして、砂袋を衝突させた後で、試験体のドアの変形の有無や開閉の状況を確認します。
尚、この耐衝撃試験のJIS規格は「JIS A 1518 ドアセットの砂袋による耐衝撃試験方法」となっています。

耐風圧性試験

耐風圧性試験は台風の様な風圧力をドアが受けた場合に、ドアの変形や破壊があるかを確認する試験です。試験の概要としては、この試験は実際に風を送って試験をするのではなく、ドアに対して人為的に発生させた気圧を掛け、その気圧によって風圧力を再現します。試験は「JIS A 1515 建具の耐風圧試験方法」に準拠します。
具体的な試験方法としては、最初にドアを特殊な箱状の試験装置に設置します。その上でドアをセットした試験装置内の気圧を上げて、ドアの内外に気圧差を生じさせます。その気圧差がそのままドアを押す力となり、風圧力の再現となるのです。
この試験は加える気圧によって、ドアの耐風圧強度をランク付けして判断します。加える気圧を800Pa(Pa:パスカル、1㎡あたりに1Nの静荷重が加わる状態を表します。)から3600Paまで強度区分を分けて等級を決めるのです。
ちなみに、この様な試験の概要だと、静的な気圧による載荷と台風などによる風荷重は違う様にも思われるかも知れません。しかし、静的な気圧による載荷と、動的な風圧力には流体力学的な関係式が成り立っています。そのため、気圧による載荷で台風の風圧力のシミュレーションが成立するのです。

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