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こんなにある!ドアを通して見る製品確認試験

建築分野におけるテクノロジーは進化を続け、現在の建材は非常に高性能な物となっています。それは各社の開発部門の成果と言えるのですが、その開発の舞台裏には製品の確認作業が隠れています。製品は単に作られるだけでは無く、厳しいチェックがされて、はじめて市場に投入されるのです。このチェックは材料の品質確認に始まり、生産技術の確認なども含まれます。そして、試作品が製品化して大丈夫かどうかの厳しいチェックが行われます。その手段が「試験」です。
試験は製品毎に規格が決められて行われますが、ここでは鋼製ドアを例に取り、「試験をなぜ行うか」からはじめて、ドアの要求品質と試験項目、そして試験方法などを紹介します。これにより、各種建材メーカーの開発の舞台裏が見えることでしょう。

試験をなぜ行うか


まずは試験を行う理由について述べたいと思います。製品の試験には様々な意味があります。ここでは試験の実施の理由について4点取り上げて説明します。

各種規格の適合確認のため

建築物に様々な法的規制がある様に、建材にも様々な規格が存在します。建材の規格は建築基準法だけでは無く、JIS規格や各種団体の定める物もあるのです。更には、その他にも各メーカーがそれぞれにおいて性能の規格を設けているところも少なくありません。試験はその様な規格に適合するかを確認するために行います。
例えばドアの場合、JIS等で様々な規格が決まっています。それは強度に関する性能規格であったり、操作に関する性能であったり、あるいは環境に関する性能であったりします。そして、その規格全部を満足出来る製品でなければ、製品の安全性などの確保だけでなく、市場での競争力が持てなくなります。また、火災などの防災に関係する製品であれば、企画に適合できなければ販売することも出来ません。
他にも、建材製品には独自の付加価値を付けている製品も多いです。ドアであれば、可動スピードを調節してバリアフリー性を高めた製品なども見られます。
建材の製品は、法令によって製品の材料とする素材などの条件を規定し、それを満たせば試験無しで販売出来る令示仕様の物もあります。しかし、試験を行って各種の規格に対する適合性が確認される物も多く、それだけに試験が重要となるのです。

性能の実力値測定のため

建材製品の多くは開発の段階で様々な試験が行われますが、試験では規格に対する合否が判定されるだけでは無く、その試験に対する性能実力値も測定されます。例えば後述する強度関連の試験では、単に外力に対する抵抗性が規格値を満たすかどうかを確認するだけでなく、どれくらいの変形があるか、あるいはどれくらいの外力で破壊するかなどが測定されます。
そして、その試験データは記録されて社内のノウハウとなります。
性能実力値は非常に参考になるデータです。例えば、鋼製ドアなどの場合はドアの内部に設置してある構造部材の位置によって、強度が違って来ます。そのため、必要な強度を保持するために構造材の配置などが工夫されます。そして、その配置が決まり、試作された段階で試験が行われ、規格を満たすかどうかの確認試験が行われます。それと同時に性能の実力値が測定されます。そして、性能値が規格を満足すれば商品の標準化に移り、そのデータは社内に蓄積されるのです。

ノウハウ蓄積のため

試験の結果は会社にとって貴重な資料です。
例えば、先に挙げたドアの場合にはドア全体の構造の強度計算が可能です。強度計算によって、部材を構成する素材の引っ張り強度や部材の断面形状などから、ドアに外力を加えた場合の破壊のタイミングなどの算出が、試験をしなくても出来るのです。
しかし、実際のところは部材に様々な加工がされているため、計算結果との相違が出てきます。そして、その相違は実際に現物に外力を加えるなどして確認しなければ分かりません。
また、材料レベルでの試験による検証も重要になります。例えば鋼製ドアは、構造材の形状や鋼板の厚さなどがJIS規格などで決まっています。しかし、先述の通り実際には材料の形状にもバラつきが発生しているため、試験結果と計算結果との相違が発生します。したがって試験が重要になるのです。
他にも、材料のメーカーによっても素材の強度が変わる場合もあります。A社製の鋼板とB社製の鋼板では、JISに規定されている強度はクリアしながらも、実力値が違うことも多いです。その実力値の確認は試験を通して分かります。
これらの試験結果は会社に蓄積され、次回の商品開発やクレーム発生時の対応などで生かされます。そして、試験結果を通して蓄積されたノウハウは、商品開発のスピードや、クレーム対応の早さにも関係します。そして、会社全体の信用や価値にも影響して来るのです。

その他

試験によって分かることはそれだけではありません。製品を作って実際に使用すると、思わぬ問題が発生する場合があります。そして、その様な問題は図面のレベルでは判断がしにくいです。
鋼製ドアの例で言えば、強度を出すために構造を頑丈にし、その結果ドア全体の重量が増した場合には、強度と別の要因で条件を満たさなくなる可能性も出てきます。そして、それらの不具合は図面レベルでは気づかれないことも多いのです。
これは試験を通してでないと、なかなか分かりません。試験の重要性を表す事象とも言えるでしょう。
鋼製ドアの場合、重量アップの弊害は、様々な点で現れます。例えば、開閉繰り返しの性能などを考える場合、ドアが重いと部品の摩耗などが著しく早くなることもあり、耐久回数なども悪くなる場合があります。
他にも、ドアの重量は施工性などにも大きく関わります。これも盲点になる場合が意外にあります。これも試験の際に分かる場合も多いのです。

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