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鉄筋コンクリートのテクノロジー!構造の長寿命化や高層化まで!

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公開日時 2023.01.27 最終更新日時 2024.01.24

産業の発展の背景にはテクノロジーの進化があるものですが、舞台裏まではなかなか見る機会が無い物です。しかし、その発展を注意深く見てみると、高度な工夫が様々な場面にあることが分かります。
昨今の街並みを見てみると、タワーマンションや高層オフィスビルなどをメインとした、鉄筋コンクリートの構造物の進化が目立ちます。そして、そこには建物を建てる上での背景技術の発展が存在するのです。
ここでは特に、ビルやタワーマンション等に関係する技術の鉄筋コンクリート技術にスポットを当てたいと思います。コンクリート構造物の耐用年数や長寿命化、そしてタワーマンションを始めとする高層ビルについて取り上げるので、鉄筋コンクリート関係の現場に携わる場合の知識になれば幸いです。

 


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1.鉄筋コンクリート建築物の耐用年数


鉄筋コンクリート構造は様々な場所で見ることが出来ます。構造としては、ビル建築の他にも港湾や道路など、様々な場所で見ることが出来ます。
この鉄筋コンクリートですが非常に強い素材のあまり、耐用年数も半永久的と思いがちかも知れません。しかし、鉄筋コンクリートにも耐用年数は存在します。
ここでは鉄筋コンクリートの耐用年数について取り上げたいと思います。

1-1.建築物の法定耐用年数

建築物は老朽化してしまうと価値が落ちてしまいます。

不動産取引の実情を見ても、マンションなどの価格は築年数が経つにつれて安くなっていることからも分かります。

マンションの価値の下落は一定の年数が経った段階で下げ止まり、価値がほぼゼロの状態になってしまいます。そして、価値が無くなった時点で一応の寿命となります。ただし、これは物理的な耐用年数ということではありません。

この耐用年数は一般に「法定耐用年数」と呼ばれます。これは固定資産の評価などに使われる数値で様々な場面で出て来ます。

例えば固定資産税を計算する上では、法定耐用年数から計算して税額が決められます。尚、具体的には、木造住宅であれば22年、マンションの様な鉄筋コンクリートの共同住宅ならば47年となります。

さて、この耐用年数ですが一見すると、経過と同時に建物がどんどん使えなくなってしまう様にも見えます。確かに設備などの老朽化はするため、リフォームなどの必要性は出て来ます。

しかし使用が出来なくなってしまうわけではありません。

建物の基本的な機能としては十分に残っているので、そのまま使用することができます。

尚、日本の国土を考えるならば、過去に大きな地震に襲われて来たことを忘れるべきではありません

そして、日本の鉄筋コンクリート建築物の多くは、それらの自然の猛威を耐えて来た実績があります

これは鉄筋コンクリートが強度を保持しながらも、非常に長い期間の耐用年数を持つことの証拠と言えるでしょう。

1-2.マンションの寿命は?

次に、マンションの寿命について見てみましょう。

マンションの寿命は大体30~40年と言われています。

一見すると意外に短い様にも見えますが、実はこの数字にはマジックがあり、理由を理解するためには、建築だけでなく不動産のカラクリを知る必要があります。

まずは不動産を価値の面から見てみましょう。

マンションは鉄筋コンクリートの構造が多いのですが、その場合は先に挙げた法定耐用年数では47年となります。しかし、不動産の取引価格は法定耐用年数と、必ずしも比例するとは限りません。

マンションの取引価格は、新築の時点から徐々に下がって行き、大体30年程度で下げ止まります。ただ、マンションの中には築年数が経った後でも価格を持ち直す物もあります。

しかし、中古物件の値上がりは非常に少ないケースです。

それでは、マンションの耐用年数のカラクリです。

実は、30~40年とした数字には「取り壊されたマンション」が含まれます。法定耐用年数の47年を待たずして取り壊される場合が実は多く、この数値があたかもマンションの寿命と見えてしまうのです。

尚、マンションの耐用年数を細かく調べて行くと、地方と首都圏では首都圏の方が長くなっています

これは、首都圏のマンションは地方の物件よりも長く利用されているため、見かけ上の耐用年数が長くなっているのです。

1-3.耐用年数の実力値は?

そうなると、気になって来るのが鉄筋コンクリート建築物の「耐用年数の実力値」です。

実際に鉄筋コンクリート建築物を利用していて、本当に使えなくなってしまう築年数はどれくらいなのでしょうか。

それについては過去の物件例を調べるしか方法は無いと思われます。なぜなら、実際の鉄筋コンクリート建築物は30年、あるいは法定耐用年数の47年という期間よりも、更に長い間現役で使われているからです。

例えば、インターネットなどで不動産情報を調べてみると、東京だけでも築年数が60年を超えている物件がいくつも見つかります。そして、入居者を今も募集していますので、収益性も現役と言うことが出来ます。

そのためには定期的なメンテナンスも必要になりますが、鉄筋コンクリート自体の耐久性の長さを考えるならば、実に力強い証拠と言うことが出来るでしょう。

1-4.実際に使われている建築物

それでは築年数が古いにも関わらず、実際に使われている鉄筋コンクリートの建物はどれくらいあるのでしょうか。

鉄筋コンクリート建築物の築古の建物の例は多くあり、マンションの様な共同住宅だけでなく、オフィスビルを探してみると結構見つかります。

例えば、超高層ビルで有名な物に、東京千代田区の霞が関ビルがあります。このビルは36階のビルで、50年を超えながらも今でも現役で使われているビルです。

また、小規模のビルを見るならば、リノベーションをしながら使われている50年クラスの古いビルは多いです。

50年を経過するビルは、鉄筋コンクリートの耐用年数を実証しているとしていると言えます。築年数そのものが確たる証拠なのです。

2.鉄筋コンクリートはなぜ強いか?


鉄筋コンクリートは非常に強度が高く、ビル建築を始め、道路などの大型構造物にも使われています

構造としては鉄筋をコンクリートに埋設していることは知られていますが、強度を発揮するメカニズムについては、案外知られていないかも知れません。

鉄筋コンクリートは、鉄とコンクリートとの「強度のコンビネーション」と言うことが出来ます。そこで、ここでは鉄筋コンクリートの強さの理由について述べたいと思います。

2-1.鉄筋の特性とは?

まずは、鉄筋コンクリートに埋設される「鉄」の性質について考えてみましょう。

鉄は非常に強い素材で、圧縮する力にも引っ張る力にも強さを発揮します。そのため、昔から様々な大型構造物に使われて来ました。

例えば、東京タワーなどは良い例で、地震や台風などでも倒れなかった実績から考えても、鉄が非常に強い材質であることを物語っています。

実際、鉄の強さの例を調べてみると、一般的な鋼材であっても1ミリ四方の細い針金状の物であっても、40キロの重りを吊り下げられる程の強度を持っています。この強度は材料の断面積に比例して強くなります。

ですから、1ミリ四方が1センチ四方の太い棒材となった場合には100倍の力、つまり4トンの重量物を支えることが出来るのです。

しかし、その様な鉄筋ですが、良い点ばかりではありません。鉄筋にもやはり欠点があるのです。

鉄は確かに塊の状態であれば、圧縮する荷重にも非常に強いです。しかし、棒状にした場合には圧縮には弱くなってしまい、曲がってしまいます。

そのため、圧縮の力の掛かる部分には、あまり適していません。

また、鉄はサビる素材です。サビてしまうと強度的にも低下してしまい、荷重に耐えられなくなって破断してしまうのです。

2-2.コンクリートの性質

次にコンクリートの性質についてです。

コンクリートはセメントと砂利と砂を混ぜ、水と反応させて硬化させて作りますが、強度の特性としては鉄と全く違った性質を持ちます。理由として、コンクリートは鉄とは反対で、引っ張りには弱いのですが、圧縮には非常に強いのです。

例えば、コンクリートの圧縮強度を調べてみると、1㎜四方の断面積で約2㎏以上の物となります。この数値は1センチ四方の断面積を考えるならば200㎏の圧縮力に耐える強度を持つことに相当します。

この強度だけを見ると、鉄の強度よりも劣って見えるかも知れませんが、コンクリートの場合は鉄と違って、現場で流して成型することが出来る特性があります。

そのため、非常に大きな断面積を確保することが可能なので、大きな圧縮力に耐える部材の構成が可能なのです。

一方で、鉄の場合は鉄骨や鉄筋で現場に運び込むことは出来ても、コンクリートの様に、溶かして持って行くことは出来ません。そのため、大きな断面を作るのが難しく、圧縮に強くすることが難しいのです。

2-3.鉄筋とコンクリートの組み合わせ

鉄筋コンクリートは鉄筋をコンクリートに埋設して作ることは知られています。それでは、鉄筋とコンクリートが組み合わさると、どのようなメリットが現れるのでしょうか。

まず、鉄筋の強度特性に関してですが、先にも挙げた様に引張りに対して非常に強い特性を示します。一方でコンクリートは圧縮に対して強いです。

そのため、両者を組み合わせると引張りにも圧縮にも強い素材となります。これが鉄筋コンクリートの強度のメカニズムなのです。

強さのメカニズムとしては、引張りの力が掛かった時には鉄の引っ張り強度で素材の破壊を防ぎ、逆に圧縮の力が掛かった時にはコンクリートの強度が破壊を防ぎます。

尚、鉄筋コンクリートの鉄筋の形状を見てみると、表面がゴツゴツしているのが分かります。これはコンクリートに対する密着性を上げて、強度をより向上させる効果があるからです。

2-4.曲げに対する強度

ビル建築を考える場合に構成する素材に求められる強度は、圧縮や引張りだけではありません。曲げの力に対しても耐えなければならないのです。

理由として、ビルの構成を考えるならば、柱だけでなく梁も成型する必要が出て来ます。また、加わる荷重の支持を考えるならば、上からの自重を支えるのは柱の強度で済みますが、床面を支持すること、あるいは地震や台風を含む自重や載荷荷重については曲げに対する強度が必要になるのです。

曲げの力を分析するならば、垂直荷重や水平荷重が回転する力を生み出す事を曲げ応力と言い、結果曲げモーメントが発生します。
部材に曲げる力が掛かると、曲げられた内側の面には圧縮する力が掛かります。そして、逆に外側の面には引っ張る力が掛かるのです。

鉄筋コンクリートは曲げの力に対しても非常に強い強度を持っています。鉄筋コンクリートの場合は、曲げが掛かった場合には曲げの内側のコンクリートの部分が圧縮力に耐え、逆に外側に発生する引っ張る力に対しては、鉄筋の強度が発現されて構造を保持するのです。

そして、鉄筋のゴツゴツした表面は、曲げの力に対しても、大きな効果を発揮します。

3.鉄筋コンクリートの劣化のメカニズム


鉄筋コンクリート構造物の寿命は法定耐用年数を大きく上回りますが、どの様にして、それだけの耐用年数を発揮できるのでしょうか。

ここでは鉄筋コンクリートを化学的視点からの、長寿命のメカニズムを紹介します。

3-1.コンクリートをミクロで見ると

素材の耐用年数を調べる場合には化学的な視点で見ることが非常に重要になります。

例えば、建築物に施されている塗装の劣化を考える場合には、塗膜の受ける化学的環境を知ることが大切です。そして、コンクリートにも同じことが当てはまります。

そこで、コンクリートについて化学的視点で見てみましょう。

コンクリートは骨材と砂とセメントに水を混ぜてミキサーで練り、養生させて硬化させる素材ですが、硬化後にはセメントの影響で強いアルカリ性になります。

これは、セメントに含まれる水酸化カルシウムの影響によるものです。コンクリートは水分を吸いますが、吸い取った水分の中に水酸化カルシウムが溶け出します。そしてカルシウムイオンと水酸化物イオンに電離して強いアルカリ性となるのです。

更に、このアルカリ性の性質は鉄筋コンクリートの耐久性に大きく関係する要因となります。

3-2.鉄筋がサビない理由

コンクリートは強いアルカリ性となりますが、鉄筋はアルカリ環境の下ではサビが進行しないことが知られています。

これは、アルカリ溶液の鉄に対する影響によるものです。アルカリ溶液は鉄の表面に届くと、薄い酸化被膜を形成します。そしてこの酸化被膜は鉄素地を外部環境からガードします。その結果、鉄筋にはサビが発生しなくなるのです。

鉄筋コンクリートの場合は、コンクリート中の水酸化カルシウムが鉄筋表面に酸化被膜を形成します

そして、アルカリ環境が保たれている限り鉄筋の酸化被膜は保持されます。その結果、鉄筋内部では外界の影響を受けることが小さくなり、鉄筋も強度を保持することが出来るようになるのです。

尚、表面の酸化被膜が原因となってサビから守られる金属は多いです。良い例がステンレスです。

ステンレスは鉄とニッケルとクロムがベースになった合金で、サビにくいことで知られています。ステンレスがサビにくいのも、素地の表面に薄い酸化被膜が形成され、中に腐食が進まないからなのです。

しかし、その様なステンレスでもサビが発生しやすい環境があります。海岸などの塩が付着しやすい場所です。塩はステンレス表面の酸化被膜にダメージを与えます。

そして酸化被膜が突破されるとサビてしまうのです。

3-3.コンクリートの経年変化

ここでコンクリートの経年変化について考えてみましょう。

コンクリートも外界からの変化を受け、様々なダメージを受けてしまいます。日射による温度変化や排気ガスなどの化学物質の影響を考えれば、大きな悪影響を受けていることも考えられるのです。

それでは鉄筋がコンクリートに埋設された場合には、どの様な外界からの影響が一番深刻になるのでしょうか。

これは化学的な影響が最も厳しい要因となります。と言うのも、外界からの影響でコンクリート内部のアルカリ環境が崩れて中性に変わってしまう反応が起こるからなのです。

コンクリートのアルカリ環境が崩れる大きな要因としては、空気中の二酸化炭素の影響が挙げられます。

二酸化炭素は水に溶けると炭酸を発生させます。炭酸は弱い酸性なのですが、徐々にコンクリートの環境を中性化してしまうのです。

そして、アルカリ環境が崩れて鉄筋の周囲までが中性になってしまうと、鉄筋を覆う酸化被膜も形成されなくなります。そうすると鉄筋にサビが発生して、鉄筋の強度に著しい悪影響を及ぼすのです。

ただし、コンクリートの中性化は進行のスピードがゆっくりと進むのが一般的です。そのため、鉄筋のまわりのアルカリ環境が壊れるのにも長い年月を要し、それが鉄筋コンクリートの耐用年数に結びついています。

先に鉄筋コンクリートのビルの耐用年数の実績には50年以上の物も多いと述べましたが、この長寿命は中性化のスピードの遅さによって出来る特徴とも言えるでしょう。

3-4.鉄筋がサビ始めるとどうなるか?

次に鉄筋が腐食し始めた場合のことを考えてみましょう。

鉄筋が腐食すると最初に考えられることは、やはり強度の低下です。コンクリート構造物は重量的にも非常に重く、鉄筋の強度が落ちてしまうと地震や強風などの外力に対して弱くなります。

そして、更に腐食が進行すると、構造物そのものの自重を支えられなくなり、倒壊してしまう危険性も出て来ます。

また、金属はサビ始めると体積的に増加します。鉄筋の場合は太くなってしまうのです。そして、鉄筋が太くなると周囲のコンクリートを押し広げてしまいます。

これを爆裂と言い、その結果コンクリートにクラックが入ってしまいます。そうすると、そのクラックから雨水が鉄筋の素地まで到達し、更に鉄筋の腐食を進行させてしまうのです。

他にも、鉄筋の膨張によってクラックが入ると、そこからアルカリ環境が崩れることも考えられます。まさに「悪循環」と言えるシナリオなのです。

4.鉄筋コンクリートの耐用年数を延ばす技術


鉄筋コンクリートは不動の素材では無いことが分かりましたが、それでは耐用年数を伸ばすための対策は無いのでしょうか。

対策は実はあります。ここでは鉄筋コンクリートの耐用年数を延ばす技術について紹介します

4-1.塗装

まず第一に挙げられる手段は、コンクリート表面に何らかの保護皮膜を形成することです。そして、この代表的な手段としては塗装が挙げられます。

塗装は着色や光沢などの外観を美しくする目的もありますが、素材の表面に保護皮膜を形成して素材を守る役目もあるのです。

それでは、塗装による表面保護がなぜ鉄筋コンクリートの長寿命化に繋がるのでしょう。

前述の通り鉄筋コンクリートの劣化には空気中の二酸化炭素などの物質が大きく関係しています。二酸化炭素がコンクリートのアルカリ環境を中性に変えてしまうからです。

そして、塗装の表面保護層は、空気中の二酸化炭素とコンクリート中のアルカリ環境を遮断する効果があります。

塗膜は確かに薄い被膜なのですが、それでも鉄筋コンクリートの長寿命化に有効なのです。

また、コンクリート構造物の大きさや経済性を考えると、対処療法でコンクリートのアルカリ環境を守るよりも、予防措置を考えた方がメリットが大きいです。そのため、劣化の前に塗装をすることが重要になるのです。

ただし、塗装にも耐用年数があるので、定期的なメンテナンスが必要になります。また、塗装にもグレードがありますが、例えばビルの様な高い構造物の場合は工事も大変になるので、フッ素系などのグレードが高くて耐用年数の長い塗装が推奨されます。

4-2.クラックの補修

コンクリート構造物は何らかの外力によってクラックが発生することがあります。その原因は地震であったり、コンクリートや鉄筋などの熱収縮であったりと様々です。

ところで、クラックは仮に小さな物であったとしても、意外にコンクリート内部の深くに届いていて、内部環境を破壊する要因に繋がります。

また冬場に凍害といって、クラック内部に入り込んだ雨水が凍りついた場合などは、凍結による体積膨張により、クラックの状態を更に悪化させる可能性も出て来ます。

更には、その広がってしまったクラックから入り込んだ雨水が、鉄筋にサビを発生させて、状態を更に悪くすることも考えられるのです。

そのため、クラックの対策も鉄筋コンクリートの長寿命化に非常に重要です。

さて、クラックの対策としては樹脂などの素材で埋める手段があります。

尚、クラックが補修されれば、コンクリート内部に二酸化炭素が侵入されるのも阻害されるので、アルカリ環境の破壊を食い止める効果にも繋がると言えるでしょう。

4-3.再アルカリ化

鉄筋コンクリートはアルカリ性から中性に変わって劣化しますが、化学的手段によってアルカリ環境を復活させ、長寿命化させる手段があります。

これは、鉄筋コンクリート表面をアルカリ性の物質で覆い、電流をそのアルカリ物質と鉄筋の間に流す方法です。コンクリートの広い範囲に渡ってアルカリ物質を覆うので、長い時間が掛かりますが、アルカリ環境が復活し、鉄筋の腐食が抑えられるので、非常に有効な手段と言うことが出来ます。

また、この方法のメリットは非破壊でコンクリート環境を復活できる点です。メンテナンスをする構造物が大きかった場合であっても壊すことなく出来るため、費用と時間を大きく節約することが可能となります。

4-4.液体ガラスの利用

最近注目される素材に液体ガラスと呼ばれるものがあります。

これは特殊な薬剤をコンクリートなどの素材に塗ると表面にガラス層が形成されて、表面保護に強力な効果を発揮するというものです。

ガラスは物質的に非常に安定していて、油や酸などにも強いことで知られています。例えば、学校の理科の実験で、ガラス製の試験管で酸やアルカリの実験を行っていたり、家庭科の実習ではガラス容器に食酢やしょうゆなどの調味料を入れていることからも、油や酸に対する安定性を証明していると言えるでしょう。同様に、コンクリート素材にガラス層が形成されると酸やアルカリにも強い状態になるとも言えます。

コンクリートにガラス層が形成されると、コンクリート表面が気体を通さなくなります。そして、二酸化炭素などの物質も入ることが出来なくなり、コンクリート内部の中性化防止に繋がるのです。

更には、液体ガラスはメンテナンスも簡単で、仮に素材にヒビが入った場合も再塗装が可能となります。

尚、液体ガラスは様々な用途と実績があります。例えば木材に液体ガラスを塗ると木の表面にガラス層が形成され、延焼にも強くなります。

また、ガラスになっているため、防腐効果も非常に高くなっています。

また、ガラスの耐用年数は、ヨーロッパのガラス工芸品が100年単位で壊れずに美しい外観を保ち続けていることなどからも、非常に長いことが分かります。

同様に、コンクリート表面にガラス層が形成された場合も、汚れや劣化からも守られ、非常に長い耐久性を期待できるでしょう。

5.タワーマンションへの応用


近年、タワーマンションが大都市を中心に建つようになりました。

これは超高層ビルの一般化が更に進んだ結果とも言えるのですが、この動きにはコンクリート技術の進化が背景にあります。

ここでは、タワーマンションをはじめとする超高層ビルに関係するコンクリート技術について紹介します。

5-1.大きな構造物を作るためには

素材の科学は構造物の性能を左右します。

建築分野で例を挙げるならば、燃えにくく工夫された木材の登場により、従来ならば考えられなかった木造の建築物が計画される様になりました。

また、優れた断熱材や遮熱塗料の登場は、一般家庭の光熱費を削減しました。そしてその結果、更に省エネによる環境問題対策の一環にも数えられる様になりました。

さて、構造物の大型化に関しても素材の技術革新が背景にあります。コンクリート構造物にしても、素材のまわりのテクノロジーの開発が見て取ることが可能です。

タワーマンションを代表とする高層ビルに関しても、素材である鉄筋やコンクリートなどの素材のテクノロジーが大きなカギとなります。つまり、素材の改良が大きなポイントとなるのです。

5-2.高層ビルの低層階と高層階

高層ビルの構造を考える上で重要になるのが素材の強度、つまり鉄筋コンクリートの強度です。

その中でも圧縮の力に耐えるコンクリートの強度性能は非常に大切であり、構造を保つだけの十分な強さを持たせる必要があります。

ところで、ここで高層ビルの高層階と低層階に掛かる力について考えてみましょう。

建物の部材を考える時、地震や台風などの外からの力を考えることも大切なのですが、構造そのものの自重を覚えることも非常に重要です。

重量を意識せずに部材を考え無しに組み立てると、最悪の場合は自重を支えきれなくなり、倒壊の危険性が出て来るからです。

それでは高層ビルの場合にはどの様な支持になるのでしょう。

ビル建築の場合は、まずは自重に耐えられなくてはなりません。上からの重みに耐えられないと下の方が潰れてしまうからです。

そして、ビルの「上からの力」は下の階に行くほどに大きくなって行きます。50階建てのビルである場合、1階には49階分の重さを支える強度が必要になります。

また、高層階に行くほどに支えなくてはならない重量が減って行きます。

50階のビルの1階は49階分の重量ですが、例えば30階で上からの力が31~50階の分を支持すれば良く、それだけ負担が減ります。

5-3.超高強度コンクリートの登場

そんな中にあって、コンクリートに関する技術も進んで、新しい物も生まれました。その中の1つがコンクリートの高強度化技術です。

コンクリートは圧縮強さが強さのカギとなるのは前述の通りなのですが、普通であれば1㎜平方あたり2㎏の力に耐えられる強度に対し、新しく作られた高強度の物では4~10㎏の力に耐える性能の物も出て来ています。

そして、実験段階の物まで含めれば、これの更に数倍の強度を示す物まで考えられています。

ちなみに、この技術の背景には、やはり化学の発展があります。コンクリートを作る時に添加する物質の工夫によって、セメント強度の向上が出来る様になったのです。

5-4.超高強度コンクリートのビルへの応用

さて、高層ビルを考える場合、下の階に行くほど支えなければならない自重が増えてしまい、柱の強度を向上させる必要がありました。そして、その部分が建築物の高層化のネックの1つでもありました。

しかし、超高強度コンクリートを使うことによって、下の階の強度の問題をクリアすることに成功しました。この成果は、コンクリートの研究が獲得した実績と言えるでしょう。

現在も、コンクリートに関する研究は続けられており、更なる構造物の大型化や高層化を現実の物としつつあります。オフィスビルにしてもタワーマンションにしても、更に高い建物が期待されるのです。

6.まとめ

鉄とコンクリートについて

①コンクリートはアルカリ性である
②鉄筋はアルカリ性に包まれると錆びない
③コンクリートと鉄のヤング係数(静弾性係数)が2.1×105.106とほぼ近似値なので熱歪(ひずみ)などで同じ動きをする
④鉄とセメントはどこでも産出されてローコスト

鉄筋コンクリートは構造物の高強度化を実現し、耐用年数の向上はインフラの長寿命化に効果を現しています。

そして、新しいコンクリート技術は建物の高層化まで実現しました。産業の発展のためにも目が離せない技術です。

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鉄筋コンクリートとは?

鉄筋コンクリートは構造物の高強度化を実現し、耐用年数の向上はインフラの長寿命化に効果を現しています。そして、新しいコンクリート技術は建物の高層化まで実現しました。産業の発展のためにも目が離せない技術です。

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