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建設業界の実態とは?|職場環境改善の取り組みを事例も併せて紹介

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公開日時 2022.10.12 最終更新日時 2022.10.12

建設業の労働時間と出勤日数の実情

国土交通省が発表した「建設業における働き方改革について」という資料によると、2016年度の建設業の年間総実労働時間は2056時間でした。同年度の製造業が1951時間、その他の産業を合わせると数字が1720時間だったことを考えると建設業界の労働時間は多めということが分かります。
また、建設業の年間出勤日数は251日、製造業は234日、その他の産業は222日で、こちらも建設業が出勤する日が多いとされています。
ただ、どちらも前年より減少しているので改善傾向にあるといえます。
また、建設業の働く環境を整備するための取り組みも官民それぞれで実施されています。その具体的な事例を以下で紹介しましょう。

建設業界の働き方改革

「残業時間の制限」や「高度プロフェッショナル制度」、「有給休暇取得の義務化」などを定めた働き方改革は2019年4月から本格的にスタートしています。働き方改革は大企業や中小企業、業種によって導入される時期が異なっています。建設業界のケースをご紹介しましょう。

■建設業の適用除外等の取扱い
建設事業については、限度基準告示の適用除外とされている。これに対し、今回は、罰則付
きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、罰則付き上
限規制の一般則を適用する(ただし、復旧・復興の場合については、単月で100時間未満、2か月ないし6か月の平均で80時間以内の条件は適用しない)。併せて、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする。5年後の施行に向けて、発注者の理解と協力も得ながら、労働時間の段階的な短縮に向けた取組を強力に推進する。 (引用元:働き方改革実行計画)

上記のポイントは残業時間の制限については、建設業界は一般企業の導入から働き方改革の制度が導入されてから5年後が目安になっている点と、最終的には「罰則付きの時間外労働規制」が適用されるという点です。
つまり残業を一定時間超えてしまった場合、会社が処罰の対象になってしまう恐れもあるので、猶予期間である5年間のうちに建設業全体で労働時間の短縮に向けた取り組みを行う必要があるということです。
これを受けて国土交通省では、特に「下請け企業や中小企業の建設業者の労働環境の改善が課題」として以下の方針を掲げています。

・適正な工期の設定
・賃金水準の確保
・週休2日の推進
・技術者、技能者の育成と確保

これらを実現する取り組みとして、施工時期の平準化、全面的なICTの活用、書類の簡素化、中小企業への支援などにより生産性の向上を進めるとしています。

建設業界の将来

現在、建設業界は延期になったとは言え、オリンピックで栄えています。これが終わればいったいどうなるのでしょうか。急激に衰退してしまうのではないかといった心配の声もあるようです。しかし、今後日本では以下のようなビックプロジェクトがあります。

1.大阪万博
大阪万博には建設業界だけでなく日本全域から期待が寄せられています。経済効果は約2兆円、関連建設費用は約1300億円と予想されています。会場となる夢洲(ゆめしま)のインフラはまだまだ未整備なため、埋め立て工事やインフラ整備、さらに道路や地下鉄等の交通機関の拡大工事が計画されています。

2.古くなったインフラ設備の改修
日本のインフラ設備の多くは高度経済成長期に整備されました。そのため、国土交通省の調査によれば、約15年後には建設後50年を超える施設等が多数出てきます。コンクリートの耐用年数はおよそ50~60年と言われていますので、今後インフラ設備の改修工事は避けられません。

3.リニア新幹線
東京から大阪間を約67分で結ぶリニア中央新幹線が計画されています。車体も線路も従来とは異なるため、駅を含めた全てを最初から建設しなければなりません。総投資額は約8.5兆円と言われています。

このように衰退の心配は特に必要なさそうですが、人手不足による労働過多が懸念されます。時間外労働上限規制の適用猶予期限までに解決させるには、まだまだ問題が山積みです。

建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン

上記で紹介した「適切な工期の設定」を実現する取り組みとして、国土交通省は2017年8月に「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定しました。
受注者と発注者が相互の理解が必要として、それぞれの取り組むべき事項を指針としてまとめています。
その概要は以下のとおりです。

■時間外労働の上限規制の適用に向けた基本的な考え方
1.請負契約の締結に係る基本原則
受発注者は、法令を順守し、双方対等な立場に立って請負契約を締結する。
2.受注者の役割
受注者(いわゆる元請)は、下請も含め建設工事に従事する者が長時間労働を行うことを前提とした不当に短い工期となることのないよう、適正な工期での請負契約を締結する。
民間工事においては工期設定の考え方等を受発注者が適切に共有する。
3.発注者の役割
発注者は、施工条件等の明確化を図り、適正な工期での請負契約を締結する。
4.施工上のリスクに関する情報共有と役割分担の明確化
受発注者は工事実施前に情報共有を図り、各々の役割分担を明確化する。 (引用元:国土交通省)

■時間外労働の上限規制の適用に向けた取り組み
1.適正な工期設定・施工時期の平準化
・工期の設定に当たっては、次の条件を適切に考慮する。①建設工事に従事する者の休日(週休2日等)の確保。②労務、資機材の調達等の「準備期間」や施工終了後の「後片付け期間」の設定。③降雨日、降雪・出水期等の作業不能日数など。
・週休2日等を考慮した工期設定を行った場合には、必要となる共通仮設費などを請負代金に適切に反映する。
・受注者は、違法な長時間労働に繋がる「工期のダンピング」を行わない。
・予定された工期での工事完了が困難な場合は、受発注者双方協議のうえで適切に工期を変更する。
・発注見通しの公表等により、施工時期を平準化する。
2.社会保険の法定福利費や安全衛生経費の確保
・社会保険の法定福利費などの必要経費について、請負代金内訳書に明示することなどより、適正な請負代金による請負契約を締結する。
3.生産性向上
・受発注者の連携により、建設生産プロセス全体における生産性を向上する。
・受注者は、工事現場のICT化等による施工の効率化を推進する。
4.下請契約における取組
・下請契約においても、長時間労働の是正や週休2日の確保等を考慮して適正な工期を設定する。
・下請代金は、できる限り現金払いを実施する。
・週休2日の確保に向け、日給制の技能労働者等の処遇水準に留意する。
・一人親方についても、長時間労働の是正や週休2日の確保等を図る。
5.適正な工期設定等に向けた発注者支援の活用
・工事の特性等を踏まえ外部機関(CM企業等)を活用する。

魅力ある建設現場にするための取り組み

建設現場での仕事に従事する人々の誇りややりがいなどの向上を図ることを目的として、「新3Kを実現するための直轄工事における取組」「仮囲いデザインコンテスト(全建協連)」「女性活躍の推進」を実施しています。

「新3Kを実現するための直轄工事における取組」
国土交通省直轄工事にて各種モデル工事などの取組を行うもので、建設業における新3K(給与・休暇・希望)の実現を目的としています。その中でも休暇に当たる休みの取りづらさ、長時間労働問題は、働き方改革による変化の中で特に注目される内容の中のひとつです。

「仮囲いデザインコンテスト(全建協連)」
全国建設業協同組合連合会(全建協連)では、建設業の魅力発信のため、施工中の工事現場の仮囲いを学生が考えたデザインを実際に実現させてみようといった「仮囲いデザインコンテスト」を実施しました。

「女性活躍の推進」
建設業界の働き方改革は女性に焦点を置いたものもあります。例えば、快適トイレを平成26年度より試行を開始し、平成28年度から原則化していっています。これらは男性にとっても喜ばしいことです。女性活躍推進も働き方改革も、まずは一人ひとりが自分事として捉え、何かを変えてみようと思うことが大切です。

国土交通省が策定した「建設業働き方改革プログラム」とは

先ほど紹介した「建設工事における適正な工期設定等のガイドライン」のほかにも、国土交通省は2018年3月に新たな施策パッケージ「建設業働き方改革プログラム」を策定しました。その目的と概要、具体的な施策についてご紹介します。

建設業働き方改革プログラムの目的

前述した「建設工事における適正な工期設定等のガイドライン」や後述する「働き方改革4点セット(週休2日実現行動計画等)の策定」など、官民一体となった働き方改革実現に向けた流れを加速することが目的です。
具体的には「長時間労働の是正」、「給与・社会保険」、「生産性の向上」の3分野で関係者が連携して、新施策を展開するとしています。
その具体的な取り組みについてそれぞれご紹介しましょう。

長時間労働の是正

前述した「罰則付きの時間外労働制」の猶予期間(5年)よりも前に、長時間労働の是正と週休2日の確保を図るとしています。

・公共工事の週休2日工事の実施団体と件数を大幅に拡大するとともに、民間工事でもモデル工事を試行する。
・建設現場の週休2日と円滑な施工の確保の両方を実現させるため、公共工事の週休2日工事に労務費等の補正を導入する。また、共通仮設費、現場管理費の補正率を見直す。
・週休2日の達成や女性活躍を推進する企業など、働き方改革に積極的に取り組む企業を積極的に評価する。
・週休2日制を実施している現場(モデルとなる優良な現場)などを見える化する。
・昨年8月に策定した「適正な工期設定等のためのガイドライン」について、各発注工事の実情を踏まえて改定するとともに、受発注者双方の協力による取組を推進する。
・各発注者による適正な工期設定を支援するため、工期設定支援システムについて地方公共団体等への周知を進める。

給与・社会保険

技能と経験にふさわしい処遇(給与)と社会保険加入の徹底に向けた環境の整備を図るとしています。

・労務単価の改訂が下請の建設企業まで行き渡るように、発注関係団体・建設業団体に対して労務単価の活用や適切な賃金水準の確保を要請する。
・建設キャリアアップシステムの今秋の稼働と、概ね5年で全ての建設技能者(約330万人)の加入を推進する。
・技能・経験にふさわしい処遇(給与)が実現するよう、建設技能者の能力評価制度を策定する。
・能力評価制度の検討結果を踏まえ、高い技能・経験を有する建設技能者に対する公共工事での評価や当該技能者を雇用する専門工事企業の施工能力等の見える化を検討する。
・民間発注工事における建設業の退職金共済制度の普及を関係団体に対して働きかける。 全ての発注者に対して、工事施工について、下請の建設企業を含め、社会保険加入業者に限定するよう要請する。
・社会保険に未加入の建設企業は、建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築する。

生産性向上

i-Constructionの推進することで、建設生産システムのすべての段階でICTを活用し、生産性の向上を図るとしています。

・中小の建設企業による積極的なICT活用を促すため、公共工事の積算基準等を改善する。
・生産性向上に積極的に取り組む建設企業等を表彰する(i-Construction大賞の対象を拡大する)。
・個々の建設業従事者の人材育成を通じて生産性向上につなげるため、建設リカレント教育を推進する。 ・建設業許可等の手続き負担を軽減するため、申請手続きを電子化する。
・工事書類の作成負担を軽減するため、公共工事における関係する基準類を改定するとともに、IoTや新技術の導入等により、施工品質の向上と省力化を図る。
・建設キャリアアップシステムを活用し、書類作成等の現場管理を効率化する。
・現場技術者の将来的な減少を見据え、技術者配置要件の合理化を検討する
・補助金などを受けて発注される民間工事を含め、施工時期の平準化(※給与や社会保険への加入については、週休2日工事の平準化)をさらに進める。

週休2日工事の拡大

週休2日制を促進するために直轄工事において、週休二日工事の適用を拡大し、時間外労働の抑制につなげるとしています。

日建連も週休2日制の取り組みを強化。「週休二日実現行動計画」とは

週休2日制の推進と時間外労働の抑制に取り組んでいるのは、国土交通省だけではありません。一般社団法人日本建設業連合会(日建連)も2017年12月に「週休二日実現行動計画」を策定し、業界の働き方改革に着手しています。
その内容を解説しましょう。

行動計画の基本フレーム

日建連は週休二日実現行動計画について、以下の基本的なフレームを定めています。
1.行動計画が目指す週休2日は、土曜日および日曜日を閉所することする。最終的には祝日を含む「完全週休2日制」の確立を目指す。
※土日閉所が困難な事業所は振替閉所を行う。当面は降雨等の不可抗力による休日や年末年始休暇などを振替閉所としても扱っても良いが、本来は振替閉所とするのは不適切だと意識する。

2.週休2日を導入する事業所は、本社や支店のほか全ての工事現場とする。
※例外として災害復旧、東京オリ・パラ競技場など特別の事情がある建設現場や2018 年3月以前に契約済みで工期が確定している工事現場は「適用困難事業所」として取り扱う。

3.2019年度末までに「4週6閉所以上」、2020年までに「4週8閉所」の実現を目指す。
※目標は、最終年度(2021年度末)において、適用困難事業所を除く全事業所で週休二日を実現する。また、上記の適用困難事業所についても、閉所日をできるだけ増やすよう努力する。

4.行動計画の実施状況について、毎年度フォローアップを行う
※週休2日実施率と適用困難事業所率の数値を毎年集計する。

週休2日の実現に向けた行動

次は週休二日の実現に向けた取り組みとして大きく8つの行動を設定しています。それぞれを簡単に説明しましょう。

1.請負契約及び下請契約における取組み
請負契約については「適正な工期の設定」、「必要になる費用の請負代金への反映」、「工事の進捗状況の共有」、「工期ダンピングの排除」、「請負契約書の特記事項」などの実現を目標とする。下請契約については「請負契約と同様に週休2日をベースにする」、「再下請企業にも適切な工期と費用を反映するように指導する」という目標を掲げています。

2.優良協力会社への支援
日建連会員企業は、協力会社などが取り組む生産性向上、正社員としての直接雇用や多能工化等を積極的に支援する一方で、社員化や月給制への移行に消極的な下請会社に対してはなるべく下請発注を見送ることも考慮するように明記しています。また、下請発注の平準化とともに支払条件の改善にも努めるよう指示しています。

3.自助努力の徹底
週休2日制の実現には欠かせない「生産性の向上」、「建設技能者の労務賃金の改善」、「重層下請構造の改善」、「下請取引の適正化」、「建設キャリアアップシステムの普及促進」等の活動を日建連の労務委員会や総合企画員会、生産性向上推進本部が積極的に支援し、各企業が自助努力できるように積極的に支援するとしています。

4.業界の意識改革~統一土曜閉所運動など~
週休2日の実現を建設業界全体の重要課題と位置づけ、「統一土曜閉所運動」や「好事例の発表会」、「事例集の発行」、「ロゴマーク・キャッチコピーの普及と浸透」、「シンポジウム等のイベント」などを実施することで、建設業関連の団体や企業の意識づけを行うとしています。

5.発注者、社会一般の理解促進
週休2日の実現には、建設業だけでなく適正な工期の必要性について発注者や社会全体の理解を深める必要があるとしています。そこで、日建連は発注者に対しては「受注契約ごとに必ず丁寧に説明する」、「民間発注団体への協力要請」、「説明用パンフレットの作成」などを行ない、社会一般に対しては「各種広報媒体を用いたPR」や「建設現場の仮囲い等を活用したメッセージ発信」、「学生向け現場見学会・出前講座などでの周知・PR」を継続的に行うことで、訴求していくとしています。

6.国土交通省の「週休二日モデル工事」への対応 国土交通省が推進している「週休2日モデル工事」に積極的に対応し、入札から竣工までの各段階で週休2日の取り組み状況を把握すること。また、国土交通省と日建連との「意見交換会フォローアップ会議」等を通じて、改善方策を検討し、各企業の課題解消に取り組むとしています。

7.「建築工事適正工期算定プログラム」の活用
2017年にバージョンアップした「建築工事適正工期算定プログラム」のさらなる改良とともに同プロジェクトを通じて週休2日をベースとした適正工期の受注を推進するとしています。

8.関係省庁等の取組みへの参画 「建設業の働き方改革に関する協議会」に積極的に参画し、関係省庁と主要な民間発注者の理解と協力を要請するとしています。あわせて、鉄道、電力、ガス、不動産・住宅の4分野に係る「建設業の働き方改革に関する連絡会議」を通じて、各発注者と議論を行うとともに、関係各省庁が取り組む実態調査やモデル工事等に積極的に協力し、週休二日推進の実効性を高めるとしています。

先駆者に学ぶ。職場環境改善の取り組み

先駆者に学ぶ。職場環境改善の取り組み

これまでは業界団体や行政主導の働き方改革への対応を説明してきましたが、建設業界では働き方改革が始まる以前から、民間企業でも週休2日制への取り組がすでに始まっています。その事例を紹介しますので、自社でもできそうな取り組みなのか、もしくは取り組んだらどのような影響があるのかを考えながら読んでみてください。

事例1:地質調査事業などのA社

地質調査や地すべり対策工事、のり面工事などを行なうA社は、ワークライフバランスの良い職場環境の整備を目的として、「所定労働の削減」と「年次有給休暇の促進」に取り組みました。
具体的な取り組み内容を以下で紹介しましょう。

■所定外労働の削減の取り組み
・ノー残業デーの実施
水曜日をノー残業デーに設定し、社内の掲示板やメールの署名欄などにその旨を記載することで社員だけでなく、社外取引先などにも周知を行う。また、所定外労働の承認がないままパソコンの電源を入れている場合、一定時間が過ぎると自動的にログオフするシステムを導入。また、社員の残業時間管理を1週間ごとに集計することによって、上司が残業状況を把握し、業務の振り分けなどを調整しやすい環境を整えた。
その結果、月平均の時間外労働を前年比で約15%削減に成功した。

■年次有給休暇取得促進
・年次有給休暇制度の実施
年次有給休暇の消化計画書の作成、提出を義務化し掲示することで計画を全員に周知。部署全体で各人の年次有給休暇の取得するタイミングやスケジュールを把握できる環境を整えた。
その結果、平均の年次有給休暇取得促進を2014年度は8.9日で前年度から1.5日伸長させることに成功した。

事例2:塗装事業者のB社

ある中小規模の塗装会社B社では、1990年代から働きやすい職場づくりを目指して、職場環境の整備に取り組んでいます。その結果、働きやすい職場の構築だけではなく、経営の拡大にもつながっており、2008年には「第1回こどもと家庭を応援する日本」の功労者表彰、内閣総理大臣賞を受賞しています。その取り組みと成果は以下の通りです。

■年次有給休暇の取得促進
年間年休計画表を作成、配布して周知を図るほか、社内全体会議などで取得を促している。また、社内の「看護休暇制度」の制度を拡大し、対象になる子どもの範囲を高校終期に設定した。加えて30分単位の取得も可能にすることで、より柔軟に有給休暇を取得できる環境を整えた。失効する年休のうち2日間まで積み立てて、一定の目的に利用できる制度も導入している。

■育児・介護の取り組み
代替要員を事前に採用し、配置するなど休業予定者が円滑に育児、介護休暇制度を利用できる環境を整えている。また、育児休業は3日を有給として消化するが、それ以外でも複数回取得できる「育児のための特別有給制度」を導入している。始業終業時刻の繰り上げ、繰り下げや時短制度も導入し、育児や介護の負担軽減につながる職場をつくっている。
その結果、2014年度では子どもの看護のための有給休暇制度利用者は12人、男性の育児休業取得者が10人になった。また、取り組みを始める前の12年前と比べると、有資格者の数が48人に増加し、2008年には県の発注工事成績が18位から4位まで上昇した。職場環境の整備と経営の拡大の両方を実現した。

事例3:地方の小規模建設業者C社

地方にある40人規模の建設会社C社では、「人間尊重の経営」を掲げており、社員の定着と安心して働き続けられる職場づくりの一環として、有給休暇の取得を促進しています。

■有給休暇の取得促進の取り組み
社員別、部門別の休暇取得状況を一冊のファイルにまとめた「労働休暇白書」を毎年作成しているほか、個人別に「労働時間台帳」を作成し、月々の労働時間の推移や残業の状況などをセルフチェックできる仕組みを構築している。年次有給休暇の申請時には労働時間台帳の添付を義務付けることで、上司も部下の有給取得状況を都度確認できる環境を整えている。また、社員がより年次有給休暇の申請をためらわないようにするため「保存積立休暇制度」という法定外の独自制度も導入。年次有給休暇の消滅分のうち5日分を上限30日まで、最大6年間保存できるとしており、自分や家族の緊急時のほか、育児や介護など一定の目的で使用できる。

このように、働き方改革制度が始まる以前から職場の環境整備に取り組んで、残業時間の削減や有給休暇の取得数向上に成功している建設業の企業は存在します。
また、建設業以外の他業界でも働き方改革のモデルケースはたくさんあるので、厚生労働省が運営する「働き方・休み方改善ポータルサイト」などを参考に、自社でも使えそうな制度や事例を見つけてみてはいかがでしょうか。

残業時間削減に直結!ツールによって「効率化」できる業務とは

働き方改革を実現する上で重要なのが業務効率化だということは、お伝えしてきた通りです。その業務効率化に大きな効果を発揮するのが「効率化ツール」です。最後に建設業界の労働環境改善に大きな役割を果たす業務効率化ツールの種類や効果について紹介します。

工事管理システムの概要

まずは建設業の業務を効率化する際にまずは導入が検討されることが多い「工事管理システム」についてご紹介します。メーカーやサービスのプランによって内容は異なりますが、基本的には「発注管理」、「原価管理」、「売上・請求管理」、「入金管理」の契約から売上金の改修まで一元管理するシステムが主になります。工事管理システムを導入することで、データ入力などの業務効率化のほか、現場との連携強化、経営判断の迅速化などの効果が期待できるとされています。
特に現場監督にとっては「作業状況をリアルタイムに把握できる」という点が、大きなメリットとして挙げられます。
具体的には「複数の工事現場の進捗状況が一目で確認できる」、「原価や売上見込みも合わせて確認できるから予実管理の正確性が向上する」、さらにこれまで紙で管理して工程管理表や日報などを電子化することで管理労力の削減にもつながります。また、ペーパーレス化によって検索機能などが使えるようになるので、資料を探す手間も省けるでしょう。
さまざまなメリットがある工事管理システムですが、いくつかデメリットも存在します。その最たるものが、「管理体制の構築」です。せっかく高機能なシステムを導入しても、会社全体でそれを活用できる体制を整えておかなければ、業務効率化を実現することは困難だといわれています。
工事管理システムを導入する際は、紙の管理と混在しないように各担当者が正しくデータを収集し、システム内部に必要な情報を蓄積しておく必要があるでしょう。

現場の業務が捗るタブレットの導入

図面や施工管理計画書などの紙の資料を抱えて、デジタルカメラで撮影しながら工事の進捗確認などを行なっている現場監督も多いと思います。工事管理システムを入れなくても、タブレットを導入することで現場監督の重要な業務である「写真撮影」の負担と効率化ができる可能性があります。
カメラからタブレットに移行したときに得られるメリットは、以下のとおりです。

・SDカードの管理が不要(クラウドの利用が前提)
・SDカードからパソコンへのデータ移行が不要
・オンラインストレージを利用することで、事務所のパソコンや担当者と写真を共有可能
・写真をメモに記入できるため、検査用の資料が作成しやすい
・ペイントアプリでよりイメージしやすい指示や情報を作成することができる

ネット上でデータを管理、共有できるサービスであるクラウドサービスやオンラインストレージを利用することが前提になりますが、適切に使用することで撮影だけでなく現場での作業指示や事務作業の円滑化にもつながります。

さらに、上記で紹介した工事管理システムと連携させることでさらにタブレットの活用の幅は広がります。具体的なサービスは企業やプランによって異なりますが、その一例を以下でご紹介します。

・図面や資料の共有
・工程管理、品質管理
・小黒板の電子化
・施工管理技士との連携を強化
・工程表やカレンダー、検査、営業、受発注データなどの管理
・見積もりの作成

このように現場監督の業務に必要な資料や道具をタブレット1台で行えるようになり、いつでもどこでも情報が見られるようになることで、業務効率化に大きな効果を発揮できることが期待されています。

これからが本番!自社の働き方改革にも注視しよう!

2019年現在、働き方改革はまだ本格的に始まったばかりです。
今回紹介したように官民問わず、建設業界で積極的に業務効率化や残業時間に向けた取り組みが進んでいます。
今、働いている職場や現場にいつ新しい制度やプロジェクトが導入されても慌てないように、現場監督は事前に情報を収集しておく必要があるでしょう。
今回紹介した国土交通省や業界団体のホームページなどを確認し、最新の取り組み状況をチェックしておくことをおすすめします。
また、同時に他社が職場の環境改善のためにどのような働きをしているのかも確認しておきましょう。調べ方は各会社のホームページをチェックするほか、求人サイトを見ておくこともおすすめです。
求人サイトには求職者にPRしたい制度などが記載されていることが多く、横断的に色々な会社の制度を確認することが可能です。
チェック用のサイトには、建設業界に特化した求人サイト「俺の夢」がおすすめです。興味がある人は、こちらから登録してみてはいかがでしょうか。

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