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4分割法とは?構造計算との違いや必要な用語5つと計算方法も紹介

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公開日時 2023.02.13 最終更新日時 2023.02.13

4分割法とは?


4分割法とは、木造建築における耐震構造を確認するための手法です。鉄骨による建築物は構造計算により耐震構造を確認し、建築されますが、木造の場合は構造計算ではなく、この4分割法を使います。

4分割法とはその名前の通り、建物を4分の1にして考え、壁の量を比べて考えるというものです。

建物を4分割にして計算する理由

建物の壁の量が十分でも、その耐力壁の配置のバランスが悪い場合はつり合いが取れなくなり、台風の力や地震による力など、水平方向の力でねじれ建物が倒れやすくなります。

建物の各階を東西、南北方向の長さを4等分し、その側端部の壁量のバランスを調べるために4分割で計算を行います。

壁量計算とは?

2階建て以下の木造住宅では、構造計算をする義務はありません。その代わりに簡単に建物の構造を確認する方法が壁量計算です。

壁量計算によって、規定されている数値と床面積をかけ算をすることで、台風などによる風圧力に対する必要壁面や、地震用の必要壁面を求められます。

4分割法を理解するために必要な用語5つ


4分割法は建設省告示第千三百五十二号の「木造建築物の軸組の設置の基準を定める件」という法令の通称です。この告示の中で、偏心率などの用語が出てきます。それぞれの用語について紹介します。

出典:木造建築物の軸組の設置の基準を定める件|国土交通省

1:偏心率

偏心率とは、建物のそれぞれの階ごとを平面で見た場合の、重心と剛心が離れている割合を示します。剛心は、建物の揺れに対する強さの中心を示すもののため、建物の重心と一致しているのが望ましいとされます。

理想的な状態では、地震による力や、台風による力で水平に力が加わると、建物はねじれることなく、水平に位置が変わります。

しかしながら、偏心率が0でない場合は、建物に水平に加わった力は重心と剛心の距離の分、曲げモーメントが働くため回転してしまいます。この回転が大きいと、建物がねじれ変形を起こします。

2:必要壁量

地震による力、台風による力が水平に加わるのに対し、それらの力に対応するために必要な壁の量を、必要壁量といいます。必要壁量の計算には、風用と地震用があり、風用では建物の見付面積に地域基準風速により決められた係数をかけたもので計算できます。

地震用では、屋根の重さ別の係数と、積雪地域での加算、2階建ての場合の1階と2階の面積比、さらに地域による地震係数や性能表示床面積をかけたもので計算できます。

3:壁率比

壁率比は、建物の外周部における耐力壁のバランスを示します。外周部は建物を平面的に見た場合の1/4にあたる外周を指しており、その部分の「壁充足率」のバランスが取れていれば、建物の耐力壁のつり合いが取れた、安全な建物と判定されます。

壁率比は壁充足率をベースにし、壁充足率の小さい方を壁充足率の大きい方で割った数値で求められます。

4:壁充足率

壁充足率は、建物の各階の壁量が足りているか、余裕があるかどうかを確認するもので、必要壁量を後述の存在壁量で割った数値で表します。

この数値を求めることで、簡単に建物の耐震等級を求められます。壁充足率の必要壁量÷存在壁量=1.25以上が耐震等級2、1.5以上を耐震等級3と表します。

出典:第5 評価の方法の基準(性能表示事項別)|国土交通省

5:存在壁量

存在壁量は、その建物に配置される耐力壁の量を表します。各階の建築物の張り間方向ではけた行方向の、けた行方向では張り間方向の両端からそれぞれ4分の1部分について、令第四十六条第四項の表一の数値に側端部分の軸組の長さを乗じた数値の和を存在壁量としています。

出典:木造建築物の軸組の設置の基準を定める件|国土交通省

4分割法の計算方法3STEP


4分割法の計算についてみていきましょう。4分割法で壁率比を求めることにより、最終的には建物の耐震性を求められます。

大まかな手順としては、建築物から必要壁量と存在壁量を計算し、そこから壁充足率を計算していきます。4分割法では、建物の1/4よりも内側にある壁は、耐震性に関わらないとされます。

1:側端部分の必要壁量を計算

建物の側端部分の必要壁量を計算します。必要壁量は、側端部分の床の面積に令四十六条四項表二で定められた数値をかけて求めます。建築基準法施行令四十六条四項表一では、建物の階数や壁材の種類、屋根ふき材などで、数値が定められています。

出典:建築基準法施行令第四十六条第四項表一(一)項から(七)項までに掲げる
軸組と同等以上の耐力を有する軸組及び当該軸組に係る倍率の数値|国土交通省

2:側端部分の存在壁量を計算

建物の側端部分の存在壁量を計算します。側端部分の耐力壁の長さを建築基準法施行令第四十六条第四項表一で定められた壁倍率の数値とかけて求めます。

出典:建築基準法施行令第四十六条第四項表一(一)項から(七)項までに掲げる
軸組と同等以上の耐力を有する軸組及び当該軸組に係る倍率の数値|国土交通省

3:壁量充足率を計算

壁量充足率は、存在壁量を必要壁量で割った数値で求めます。そして、この数値が1.0を超えているかどうかが判断の基準となります。木造建築物の軸組の設置の基準を定める件では、各側端部分のそれぞれに対して壁量充足率を求めるように指定されています。

出典:木造建築物の軸組の設置の基準を定める件|国土交通省

1を超えていた場合

「○木造建築物の軸組の設置の基準を定める件」では、存在壁量を必要壁量で割った数値、側端部分の壁量充足率が1を超える場合は、後述する壁率比を確かめる必要がないとされています。

出典:木造建築物の軸組の設置の基準を定める件|国土交通省

1以下の場合

壁量充足率が1を下回る場合は、各側端部分のそれぞれの壁量充足率の、建物の各階に関して、張り間方向とけた行方向それぞれに、壁量充足率の小さい数値を大きい数値で割った数値である「壁率比」を求めます。この数値が0.5を超えていることを確認します。

出典:木造建築物の軸組の設置の基準を定める件|国土交通省

不整形な場合の4分割法の考え方


建物が四角い形状の場合は、4分割法での耐震構造の確認ができます。しかしながら、不整形な場合、例えば平面的に凸型や凹型の場合は、4分割法で耐震構造の確認ができない場合があります。

そのような場合は、偏心率の計算で確認することもあります。また、立面的に1階部分と2階部分が組み合わされている場合は、2階建て、平屋建ての壁量計算を組み合わせて求める場合もあります。

4分割法と構造計算の違い3つ


4分割法は、先に述べたように建設省告示第千三百五十二号の「木造建築物の軸組の設置の基準を定める件」で決められた、2階建てまでの木造建築で用いられるものです。

一方、鉄骨による構造物は「構造計算」により、耐震構造を確認します。構造計算では、積載荷重や積雪、風、地震などの荷重に対して、構造物がどのように変形するかを計算によって求めます。4分割法との違いを見ていきましょう。

出典:木造建築物の軸組の設置の基準を定める件|国土交通省

1:負担する力に関する考え

構造計算をするときに、考慮するのが建物の負担となる力で、建物が支える重力の他、地震などの力や風による圧力などが考えられます。建築する地域によっては、積雪や津波などの考慮も必要な場合もあります。

これらの力に対して、建物が安全になるように構造部材を計算していきます。

2:重さの算定

建物の設計時に大まかに決まっている、平面の大きさと立面の大きさを元に、荷重計算を行います。構造部材や内装などの重さが床にかかっていると仮定します。

平面や立面の図面とともに、過去の物件の構造計算書をベースに、仮定荷重を決めます。仮定荷重はあとで変更できないため、余裕を持った荷重を設定します。

3:変形の影響

建物の構造に対し荷重を決めることで、ブレース構造やラーメン構造など、構造に応じた応力を計算します。

さらに、建物の各階の床から床が変形することを計算する層間変位、梁や床のたわみのよる変形も、計算により求めることで、応力やたわみに対して安全となる構造部材を決めていきます。

すべての建物に構造計算をしない理由3つ

すべての建物に構造計算をしない理由3つ


昔ながらの大工さんの手による建築物では、構造計算を行わずに勘と経験により構造を決めて、家を建ててきました。

法令上も建築確認及び検査に係る特例として、プレハブ住宅や標準設計による事務所等は形式適合認定を行っています。このようにすべての建物に構造計算をしない理由を考えていきましょう。

出典:建築関係法の概要|国土交通省

1:構造を専門としている人材が不足

構造計算を行うには、一級建築士、構造設計一級建築士、JSCA建築構造士といった資格が必須となりますが、新築で建てられる住宅の数に対し、資格者が少ないのが現状です。

法令上は2階建て以下の木造建築では構造計算が不要とされているため、ほとんど実施されていません。

2:木造建築では構造計算は不確定

木造建築は耐力壁で強度を保つ構造です。そのため、側端部の壁量計算により建物の必要壁量を求めることで、耐震性を確保します。

一方で、構造計算はブレース構造やラーメン構造など、梁や柱の構造の応力を計算することで、構造部材を決めていくものです。そのため、木造建築では構造計算では不確定な要素があります。

3:四号建築物は構造計算が不要

建築基準法第六条一項第四号に該当する、500㎡以下で2階建て以下の木造建築等では、建築士が設計を行った場合、建築確認において構造耐力関係規定等の審査を省略するとしています。

建築確認及び検査に係る特例、いわゆる四号特例というものですが、この対象となる建築物は構造計算が不要であり、壁量計算のみを行います。

出典:○建築確認及び検査に係る特例(4号特例)|国土交通省

4分割法について理解を深めよう


4分割法は、構造計算を行わなくてもよい、2階建て以下の木造建築で行われる耐震性などの検討方法です。

建物の長さ1/4よりも内側の壁は、耐震性に関わらないなどのルールを覚えれば、建築物の構造設計者でなくても計算ができるものです。ぜひ、4分割法を学んで、建物の耐震性についての理解を深めてはいかがでしょうか。


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