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柔構造の特徴を7選紹介|柔構造が少ない理由についても詳しく解説

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公開日時 2023.03.20 最終更新日時 2023.03.20

柔構造とは

柔構造とは、ビル建築における耐震構築構造の考え方の一つです。建築物に作用する地震の力を、柔軟な構造によって吸収することで建築物の破壊を防ぎます。

建築物が高層になるほどその固有振動周期が長く、ゆっくり大きく揺れるので地震の影響を抑えて地震力による負荷を少なくします。柔構造は高層ビル以外にも、水路、樋管などにも利用されています。

剛構造

剛構造とは、建築物において軸組に構造用合板などを使い、壁に耐震壁を用いることで壁倍率を高める耐震構造です。

建築物の構造部分にあたる柱や梁を太くして建築物全体を一体化し、地震力や強風による風圧力などの水平方向の力に対して強さを発揮します。構造物全体を「剛」に構成することで大きな地震力に抵抗させる構造になっています。

柔構造の特徴7選

柔構造の特徴7選

柔構造には、良くも悪くも特徴的なポイントが複数存在しています。柔構造と剛構造のどちらが優れているのか「柔剛論争」が起こるほど、どちらにもメリットと同じくらいのデメリットがあるということです。

柔と剛、どちらが良いかは別として、柔構造がもたらす建物の特徴について紹介していきます。

柔構造の特徴1:耐震性がある

耐震性とは、地震が発生した際の揺れに耐えられる度合いです。耐震性の強い建物には倒壊、破損しにくい構造が必要となります。柔構造は強い地震にも倒壊しないよう、建物にかかる地震力を受け流す構造になっています。

日本の建築基準法は、木造建築や鉄骨、鉄筋コンクリートなどの建築物のすべてにおいて耐震構造でなければならないと定めています。

柔構造の特徴2:地震のときに大きくゆっくり揺れる

柔構造のように建築物を柔らかくすることで、地震の際に建物は大きくゆっくりと揺れるようになります。建築構造にしなやかさを加え、建築物の固有振動周期(片側に1回揺れて元の位置に戻るまでの時間)を長くすることで地震の抵抗を小さくします。

基本的に地震は細かく振動することが多いので、地面の揺れに対して建物の揺れをずらすことで建物に加わる直接的な力を伝わりにくくします。柔構造は建物が高くなればなるほどその効果を発揮するため超高層ビルに多く採用されます。

地震の際は家具の転倒に注意

柔構造の建物は大きく揺れるように設計された構造物です。そのため部屋内の家具や設備は非常に倒れやすい状態になります。高層階になるほどその揺れは大きくなるため注意しなければなりません。

特に高さのある家具などは転倒防止用のL型金具と木ネジを使用し、金具と壁が直角になるように木ネジでとめ、倒れてこないように設置しておく必要があります。

柔構造の特徴3:繰り返しの揺れに弱い

柔構造のような耐震構造は、地震による揺れ自体を吸収するので倒壊の可能性はほとんどなく、建物自体の破損が少ないことが特徴です。

しかしこのような耐震構造の建物は繰り返しの揺れには弱く、建物自体は頑丈であっても、何度も地震が起きた場合には倒壊する可能性が増していきます。

柔構造の特徴4:高層ビル・マンションに多い

柔構造は建物が柔らかく、しなるような動きになるように設計されています。柔構造は建物の高さが高くなればなるほどその効果を発揮するため、高層ビルや高層マンションに多く利用されています。

高層階になるほど揺れは大きくなりますが、突然ポッキリと折れてしまうことはありません。超高層ビルが地震に耐えることができるのは柔構造が採用されているからです。

柔構造の特徴5:日本の寺社仏閣に多い

日本の神社仏閣に多い木造軸組工法は、金具による補強はできるだけ行わずに、木の柱や梁などを複雑に組み合わせる「軸組構造」によって作られています。

その接合部には「遊び」と呼ばれる余裕があり、地震や台風などによって受ける風圧力を「軸の変形」や「捻じれ」を利用してその力を吸収、分散して逃がすようにできています。

このような柔構造の起源ともなる仕組みは、古くから五重の塔や奈良の大仏殿、京都の東本願寺など、多くの神社仏閣に使われています。

柔構造の特徴6:建物全体が軽量化しやすい

柔構造は、そもそも「剛性を一定以下」に抑えることが前提なので、建物全体の重量を抑えることが求められます。

柔構造の高層ビルなどは、高ければ高いほど、また材料が重ければ重いほど激しく揺さぶられてしまいます。これは日本建築に使われている瓦が重い家屋が、地震によって崩れやすいことからも「重量が重たい建物は倒壊しやすい」ということを証明しています。

建物の重さが軽くなるだけで、地震や強風による揺れをより少なくすることができるため、建物全体が軽量化されるようになっているのです。

柔構造の特徴7:壁が少なく空間が広い

柔構造のほとんどは壁やブレースを使用しない「ラーメン構造」と呼ばれる柱と梁のみで構成するような構造になっています。

ラーメン構造とは、垂直な柱と水平な梁を剛接合(接合部が変形しないようにする接合)して屈強なフレームを作って建物を支える仕組みになっています。ブレースを使用しないため、ブレースが邪魔になり空間を遮るといったことがありません。

なぜ柔構造は少ないのか

柔構造は高層ビル、高層マンションなどの耐震構造に特化しているというメリットがありますが、その反面で中層、低層の建築の設計手段としては採用されないというデメリットもあります。

柔構造は大変難しい構造計算や技術などの労力が必要になるため、多くの中層、低層の建物は剛構造によって構成されています。柔構造による設計は超高層ビル、高層ビルといった建築物に限られ、結果的に柔構造の建築物が少なくなってしまうのです。

柔構造の問題点3つ

柔構造の問題点3つ

柔構造は耐震構造の一つとして、多くの超高層ビル、高層ビルの建築に採用され、地震による建物の倒壊を防いでいます。

こうした柔構造の特徴はメリットだけでなく様々なデメリットも抱えているため、問題点として指摘されることも多々あります。ここでは、柔構造が抱える主な問題点を3つ紹介します。

柔構造の問題点1:力学的な研究が進んでいない

日本では明治維新以後、近代化を促進させるため「西欧文化の建築様式」を積極的に取り入れるようになりました。西欧建築は建物の水平力に耐えうる抵抗要素として「壁」を重要視しています。

しかし日本にある寺院や仏閣は、柔構造を主体としているため壁がほとんどありません。当時の政府や学者達は、この壁のない柔構造は後進的であるとし、これまでの柔構造を利用した木造の構法に対して「力学的な研究」がほとんどされてきませんでした。

柔構造の問題点2:専門的な技術が必要

近年はコンピュータによる構造計算の発達により、柔構造による高層建築が可能になっています。しかし構造の計算や解析ができなかった時代は、神社仏閣などの柔構造を建築するには大工棟梁の技術や技能が必要でした。

このような伝統工法による柔構造は、木と木を組み合わせる木組みによって適度な「遊び」を作り、柱と「貫」の接合部分が地震力を吸収する仕組みになっています。現在、こうした伝統工法は特別な技術となっており、ほとんど知られていない専門技術となっています。

柔構造の問題点3:建築基準法をクリアすることが大変

柔構造による建築は建築基準法をクリアするには大きな労力が必要となります。昭和25年施行の「建築基準法及び建築基準法施行令」では、伝統工法のような柔構造は認められず、筋交いを設けた剛構造が義務化されていました。

近代の高層ビル建築における柔構造についても、その構造計算は極めて難しく、地震が発生した際のビルの揺れを「コンピュータ上でシミュレーション」した上で、安全性が確認されなければ施工が許可されることはありません。

出典:e-Gov 建築基準法施行令 四十六条

古民家はほぼ「既存不適格」

「既存不適格建築物」とは、法令の改正によって基準に合わなくなってしまった建築物です。既存不適格建築物は、法令等が改正される以前に建築された建物のうち、改正後の規定に適合しないものにあたります。

そのため法改正以前に建てられた古民家などは、そもそも存在自体が「既存不適格」の建物として扱われてしまいます。このような法律に適合しない古民家は、違法建築物とみなされてしまうため法令に定められている規定に従って、現行規定に適合させなければなりません。

柔構造の特徴の理解を深めよう

柔構造は地震や強風による建物の揺れを、「ゆっくり大きく揺れる」ようにすることで、地震力や風圧力の影響を受け流す構造になっています。伝統工法による木造建築はこの柔構造によって建てられており、現在では主に高層建築に採用されています。

ただし柔構造による建築には、複雑な構造計算や事前の調査、検討などに労力がかかるため、多くの低層、中層の建築物には剛構造が採用されています。

このような柔構造の特徴は剛構造などと比較されることが多いため、耐震構造の一つの構造として理解を深めておくことが必要です。


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