こちらの記事では、ゾーニング図作成のポイント5つについてご紹介いたします。

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そもそもゾーニングとは

ゾーニングは和製英語で、「zoning」のスペルが充てられています。都市計画の地区制や建築規制のことで、森林と農地の区画分けや住み分けを決めることも含みます。

建築用語でいうゾーニングとは、スムーズな生活のために部屋を役割別に区分することです。また、マイクロゾーニングとは、地震や災害に備えて地盤を調査し、地図上に被害率の区分を表記することです。

ゾーニングに必要なこと

どんなに立派な建物でも、日当たりが悪かったり、部屋の使い勝手が悪かったりしたら、だれも住みたいとは思わないでしょう。

ゾーニングは手順に従って行うとうまくいきます。まずは、家の外側のゾーンを把握し、日照、通風、眺望を考慮の上で敷地内の建物の配置や形を決めることが大切です。

しっかりした外部ゾーニングをもとに、内部のゾーニングを決めることができます。

ゾーニング図の役割

敷地内の建物や庭、エクステリア、駐車場などの配置が大まかに決まったら、イラストレーションし色分けし、建物内部についても同じく行います。こうしてできた平面図を、ゾーニング図といいます。

設計図との違いは、設計図が施工主や公共機関に提出するものであることや、意匠や構造、法律関係の図面およびライフラインや機械設備に関する図面すべてを含むことです。

ゾーニングを図面化することで、暮らしに便利な間取りの配置を考え、普段の生活に必要な設備とインテリアのレイアウトを検討できます。

ゾーニング図作成は建築計画における重要なプロセスの1つなので、この技術の習得が1級建築士や2級建築士試験の合格を左右する場合もあるほどです。

ゾーニング図作成のポイント5つ

ゾーニング図作成には、多くのエスキスが必要です。エスキスとはフランス語で絵を描く前のラフスケッチを表すもので、デッサンの類語です。建築計画の初期段階の企画と計画のことを指します。

あくまでも計画なので、正式な図面ではなく、あらゆる可能性を探るための素案といえます。どこから始めて、どのように作成すると良いのでしょうか。ゾーニング図作成のポイント5つをご紹介します。

ゾーニング方法のポイントを押さえることで、防災、消防、衛生、空調、内装、電気、各種配管や給水方式などの細部を設計するステップに進みやすくなります。

ゾーニング図作成のポイント1：玄関や駐車スペースから考える

ゾーニング図作成の第一歩は、玄関と駐車スペースの位置を決めることです。道路の方向や敷地の形を考えて位置を決めましょう。

駐車には5m×3m程度の広さが必要です。道路からのアクセスや、玄関と車庫の間の移動しやすさも検討します。庭や倉庫の設置、通路、塀、盛土など外構の必要性の有無については、2級エクステリアプランナーなど、エクステリアプランナーの助言を受けるのが一般的です。

玄関の位置が決まれば、他の部屋へつながる起点として設定できます。

ゾーニング図作成のポイント2：3つのゾーンで考える

ゾーニング図作成で次に必要なのは、使い方によって家の中を3つに区域分けして考えることです。

3つのゾーンとは何でしょうか。家族が集まる「パブリックゾーン」、各自が使う「プライベートゾーン」、水まわりなどの「サービスゾーン」があります。サービスゾーンには、移動ゾーンとして廊下や階段なども含まれます。

3つの空間を上手にゾーニングするコツは、それぞれのゾーンの広さを家全体の中で3分の1ずつにしておくことです。また、家の中での人の動きを表す「動線」を考慮に入れ、移動方法が複雑にならないようにすることも大切です。

ゾーニング図作成のポイント3：必要な部屋と広さを決める

マイホームやマンションなど住まいに期待する役割は、住む人の家族構成や年齢層によって違います。そのため、ゾーニング図を作成するには、使いたい部屋と広さを決めることが重要です。

一般的な住宅には、どんな部屋があり、広さはどれくらいなのでしょうか。

例えば、リビングとダイニングは10畳～15畳、厨房は4畳、和室は6畳で寝室や子供部屋、プレイルームは7畳から8畳です。

注意点として、部屋の割り振りの際に偏心率の計算を念頭に置く必要があります。偏心率は、平面図に建物の耐震要素がバランスよく配置されているかどうかを調べるための指標です。法律で規定された数値を満たせるようにゾーニングしましょう。

ゾーニング図作成のポイント4：立体的なイメージを意識する

ゾーニングでは、立体的なイメージを意識することも欠かせません。それは、平面では分かりにくい問題点を見つけ出せるからです。

例えば、調理の音や水音は意外に響くため、2階の水周りは配置を間違えると騒音の原因になります。また、吹き抜けや階段の設置にも注意が必要です。寒さやメンテナンス、その他の難しい問題を伴うことがあります。

ゾーニング時に、先に挙げた3つのゾーン間の距離を含め様々な点をよく確認すると、設計変更のリスクを減らせるでしょう。

ゾーニング図作成のポイント5：パブリックゾーンを中心に考える

最初に玄関や車庫の位置を決めると同じく大切なのが、家族の集まるパブリックゾーンの配置です。

パブリックゾーンを中心に考える必要があるのはなぜでしょうか。それは、眺望や風通し、日当たりの良さなどを期待されるのが、このエリアとなる場合が多いからです。

また、それを基準に、他のゾーンの配置も決まります。さらには、衝立や冷蔵庫、ソファ、テレビ台、床マットやラグなどインテリアの配置も思い描けるでしょう。

この部分を中心に考えるゾーニングプランのやり方には、土地や建物スペースを無駄なく活用できるメリットがあります。

ゾーニング図の主な例2選

家の中に設置したい部屋の種類と広さが決まったら、それぞれをどこに配置するかで家の雰囲気は大きく変わります。住み良い家にするには、それらをどう決めたらよいのでしょうか。

以下では基本的なゾーニング図の例2種類と考え方、ポイントについて取り上げます。

ゾーニング図の例1：基本の住宅

基本的な住宅の種類の1つ、一戸建て平屋のゾーニング図を考えましょう。

リビングなどのパブリックゾーンは、玄関から近く、外部の視線が入りにくい場所に設けます。日当たりのよい場所を選ぶと良いでしょう。寝室などプライベートゾーンは、パブリックゾーンや外からの騒音が伝わりにくい、静かで落ち着いた場所に設けます。

一方、トイレや浴室、廊下、階段などのサービスゾーンは、パブリックゾーンからもプライベートゾーンからも同じくらいの距離のところに設けます。

配置するポイントは、家全体を立体的に見て、音の広がりや明るさ、風の通りなどの感覚的要素を考える事です。

ゾーニング図の例2：3階建ての場合

3階建て住宅は、平屋よりも上下の移動が増え、敷地面積も狭い場合があります。

例えば、家族の集まるリビングなどのパブリックゾーンを家族にとって快適な場所に決めます。大抵は2階になることが多い傾向にあるます。そのすぐ近くには、厨房や洗濯機など家事作業に関係する水周りが必要です。

その他の1階に、玄関やガレージ、収納、浴室などのサービスゾーンを設け、3階に寝室などのプライベートゾーンをまとめるのが一般的です。

3階建てのゾーニングのポイントは、長い時間を過ごす場所を居心地良いものにすると同時に、家事の効率アップを目指すことです。

ゾーニング図について知ろう

家は、人間の基本的必要を満たす、衣・食・住の1つです。

しかし、ゾーニング図は設計図が完成しそして家が完成した後、人目に触れることはありません。

ですが、ゾーニングは大切な住まいづくりの初期段階にして重要な部分になります。その意味や役割、図面作成の仕方をよく知ることで、仕事にプロ意識とやりがいを持つことができるでしょう。

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