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ウォーターハンマーが起こる原因|影響や発生を防ぐ対策についても解説

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公開日時 2022.08.12 最終更新日時 2022.08.12

ウォーターハンマーとはなにか

ウォーターハンマーとは、急速なバルブの開閉を行ったときに配管内の流体に急激なスピード変化が生じ、配管内の圧力が上昇または下降して大きな衝撃が発生することです。

家庭の水道のシングルレバー水栓を閉めたときや、食洗器や全自動洗濯機などの使用中に壁の中から聞こえる「コン」「ドン」という音が、ウォーターハンマーの現象です。

別名「水撃」とも呼ばれ、工場では配管やポンプに影響を及ぼす場合もあります。

ウォーターハンマーの原理とは

ウォーターハンマーの原理とは、流れの急激な変化で流体の運動エネルギーが圧力エネルギーに変換され、圧力変動が起きることです。

ウォーターハンマーの原因は、圧力の上昇と下降です。バルブを閉めた際の「急激な圧力上昇」で振動させ、配管と共振して衝撃音を発生します。

下降は、ポンプが急停止した圧力低下による「水柱分離」です。発生した負圧に対し、周囲の流体が集まって衝突し衝撃音が生じます。

ウォーターハンマーの種類

ウォーターハンマーには「圧力上昇」と「水柱分離」の2種類があります。いずれも、内部の圧力の変動することによって引き起こされるものです。それぞれの特徴について紹介します。

圧力上昇ウォーターハンマー

水道の蛇口を例にすると、くるくる回して締めるタイプではなくシングルレバー水栓など、キュッと締まるタイプに圧力上昇ウォーターハンマーが起こります。

素早く締まると配管内を流れる水が瞬時に止まります。そのため、水が流れるときに使われていた圧力の逃げ場がなくなり、配管内の圧力が急上昇するのです。

つまり、圧力が変動した影響で配管に振動を加える力が発生し、配管の固有振動数と共振してウォーターハンマーが起こります。

水柱分離ウォーターハンマー

水柱分離ウォーターハンマーとは、水をくみ上げて流す水道管などのポンプ急停止により、供給される流れが少なくなることが原因で起こる現象です。

ポンプの直後で圧力が低下するため、それまで一定速度で流れていた水が、慣性力で下流に進もうとしてもできなくなります。全自動洗濯機や食洗器などに起こるウォーターハンマーの多くが水柱分離です。

水柱分離が起こると大きな衝撃音が鳴ったり、配管が破損したりすることがあります。

ウォーターハンマーが起こる3つの原因

ウォーターハンマーは水道管を流れている水をすばやく止めたり、「電磁弁」と呼ばれる一瞬で弁が閉じられる機械が内蔵された、ガス給湯器や食洗器などで水を止めたりしたときに起こる現象です。

ここからは、ウォーターハンマー現象が起こる3つの原因について紹介します。

1:水撃防止器の劣化

配管やポンプに悪影響を与え破損や破裂の恐れがあるウォーターハンマー現象を、吸収緩和して防止するのが水撃防止器です。水撃防止器を水栓などに取り付けると水の勢いが吸収され、音の発生を抑える働きをします。

しかし、水撃防止器は一度取り付ければ永久に使えるものではなく、定期的な点検や交換が必要です。水撃防止器が劣化すると、ウォーターハンマーを防げず再発してしまうからです。

2:住居数が増えたことによる給水水圧の増加

水撃防止器などを使い、圧力変動を少なくすればウォーターハンマーの現象緩和は可能です。

しかし、マンションやビルの高層化、3階建て以上の住宅の増加、居住世帯数が増えると、それに合わせて給水水圧や給水量を増やさなければならない実情もあります。

水道管内の給水水圧が増加すれば、それだけウォーターハンマーが起こる確率も高くなります。

3:配管更新工事による水の流量の増加

ウォーターハンマーは、古くなった配管を取り外して廃棄し、新しい配管に取り換える『配管更新工事』を行った場合にも起こります。配管を新品にすると水漏れのリスクは少なくなりますが、水の流量はグンと増えるためです。

流れがスムーズになった水を勢い良く止める音、つまりウォーターハンマーが目立つ場合があります。

また、新しく取り付けた配管タイプがウォーターハンマー現象が起こりやすいタイプだった可能性もあるでしょう。

ウォーターハンマーによる現象3選

ウォーターハンマー現象は、その衝撃音のみならず、長年使っていくうちに起こる配管接続部の破損や緩みなどさまざまな悪影響を与えます。

ここからはウォーターハンマーによって起こる現象3選を紹介します。

1:水漏れ

水漏れは、配管が壊れる原因となりやすいウォーターハンマー現象が原因で、配管が壊れることで起こります。

しかし、どこから漏れているのかわかりにくく、「壁が部分的に濡れている」「カビが発生している壁部分がある」などの発見から始まります。

その後マンションやアパートの階下から水漏れの苦情が寄せられ、初めて配管の破れに気づくケースも多いため、大事になる前に早めの対処とメンテナンスが必要です。

2:水道メーターの異常

ウォーターハンマーの現象によって、水道メーターに異常が起こることがあります。

水道メーター交換時に入った空気が抜けていない可能性があり、気体の空気が管内に残っているのが原因です。

この空気は、大量の水を流すことで通常は抜けます。しかし、衝撃音や振動音が無くならないのであれば、水道メーターの異常だけでなく接続機器やセンサーの故障にもつながります。早めに水道局に連絡し、対処してもらいましょう。

3:給湯器等の故障

ウォーターハンマーの現象によって、継続的に衝撃や振動が起こると、接続されている給湯器等の故障が起こる場合があります。

お湯の温度が急に変化したり、お湯も水も出なくなったりした場合、ウォーターハンマーが原因で電磁弁やセンサーが壊れてしまった可能性が考えられます。

ウォーターハンマーによる4つの影響とは

ウォーターハンマーによる影響はすぐにわかりませんが、大きな問題につながる場合もあります。

「水道を止めた時の音」と軽く考えていても、常に大きな振動や衝撃を与えているので、長い目で見ると大きな影響があります。マンションなどの集合住宅では、振動が原因でご近所とトラブルになることもあります。

工場では配管やポンプの大きさに比例して衝撃も大きく、深刻な不具合が発生します。

1:配管の破損

ウォーターハンマーによる配管の破損とは、圧力上昇に伴う振動で配管の接続部分が緩んで外れることです。

古い住宅は銅管や鋼鉄管を使用しているので、サビでもろくなっています。ポリ管も接続部分は振動に弱く、衝撃を与えられ続けるとどちらの配管も接続部分の破損につながります。

目に見えない場所に配管されているので漏水で気付くまで破損に気づかず、壁の腐食など影響を与える場合もあります。

2:圧力変動により不具合を引き起こす

ウォーターハンマーによる衝撃や振動は、周辺機器にも影響を与えます。

接続中の機器のセンサー異常や故障の原因になりかねません。給湯器の温度調節や弁が壊れたときは、圧力変動による不具合の可能性もあります。

工場でポンプや配管付近で計測機器のセンサーに異常が現れた場合、圧力変動による衝撃や振動の影響も疑われます。

3:パイプラインが圧壊する

急激な圧力降下はパイプラインがへこんだり、圧壊を引き起こしたりします。

圧力変動による影響は、建物内の配管を通じて土中のパイプラインにも及びます。基本的には圧力に強い素材が使用されていますが、ウォーターハンマーによる衝撃や振動が重なれば圧壊やもろくなった接続部分が緩みや損壊の危険性が高まります。

工場の使用水量は多いので、ポンプの急停止による圧力変動による影響は甚大です。

4:水柱分離によりパイプラインが破壊する

水柱分離による圧力上昇など二次的な衝撃は、パイプラインの破壊につながります。

水柱分離によって急激に圧力は低下しますが、再度流体が衝突して急激な圧力上昇が起こります。水道を閉めた場合の圧力上昇だけより、パイプに対する負荷は大きくなります。

流体の量に比例してウォーターハンマーによる衝撃も大きくなるので、パイプラインへの影響も大きくなります。パイプライン近くにポンプを設置した場合、圧力変動の影響は深刻です。

ウォーターハンマーの発生を防ぐ対策6つ

ウォーターハンマーを防ぐ対策は、流体の急激な速度変化を緩和して衝撃が起きないようにすることです。

対策のポイントは、圧力の急激な上昇や下降を緩和する仕組みです。圧力上昇だけの場合より、水柱分離のほうが影響は大きいので、今回は水柱分離を中心に防止装置など対策を紹介します。

家庭での対策は、元栓を少し絞って圧力を下げることや蛇口をゆっくり閉める、ウォーターハンマー吸収器を取り付けるなどです。

1:サージタンクを取り付ける

サージタンクを取り付けると水圧の変化に対応できるので有効です。

サージタンク(Surge Tank)とは配管より高所に設置する水槽です。水面の高さが設定されていないので、水圧の急激な変化が発生した際に水量を調整する役割を果たします。

水柱分離の負圧に対して水を供給して急激な水圧上昇を緩和します。流体の衝突が緩やかになり、ウォーターハンマーに効果を発揮します。

2:配管口径を広げる

配管の口径を広げると流体の圧力を下げるので、ウォーターハンマーを解消できます。

配管の口径ごとに決められている流量を確認します。口径ごとの数値と参考値を比較して無理のないサイズを選択します。現在の流量が確認できない場合は、1サイズ大きなものに交換します。

口径を広げると効果はありますが、配管の交換は大規模工事になるので慎重に行います。

3:空気弁を取り付ける

空気弁を取り付けると、配管中の空気の通り道を作り水柱分離が発生した際に水圧調整ができます。

空気弁とはエア抜きバルブとも呼ばれ、配管の高い位置に設置して急激な圧力変化を空気の流入によって調整します。

低価格でウォーターハンマーの対策ができますが、適切な管理が行われないと効果を発揮できません。日常の保守管理が重要になる方法です。

4:フライホイールを付ける

フライホイールを付けるとポンプの急停止による流量の変化をやわらげる効果があります。

フライホイールとは慣性車輪とも呼ばれ、回転軸に取り付ける錘(おもり)です。据え置き型のポンプのモーター近くに設置します。停電時にモーターが停止しても、慣性力でゆっくりとポンプの回転を下げます。

水柱分離が原因のウォーターハンマー対策に一般的な方法です。

5:配管を低めに取り付ける

配管を低めに取り付けると、配管内の圧力を下げられます。

配管が高いところに敷設されていると、高低差が生じるので流速も場所によって異なります。流速の違いは圧力エネルギーを引き起こす原因になるので、流速を一定に保つために配管の場所を低めに取り付けます。

配管が低めにあればポンプで高所に上げる必要もなく、ポンプの急停止によるウォーターハンマー対策になります。

6:圧力水槽で流れを止めない

圧力水槽を設置すると、ポンプが急停止した場合でも配管内の流量を保ちウォーターハンマーを防ぎます。

圧力水槽とは圧力タンクまたはアキュムレータと呼ばれる給水ポンプとセットの機器です。水槽内に水と空気室があり、ポンプが急停止した際に自動でポンプの役割を担います。

水槽内部の空気圧力を一定に保つための定期点検と、空気室に利用されているゴムの性質上、数年ごとの交換が必要です。

ウォーターハンマーの確認方法

ウォーターハンマーの発生を事前に把握するための確認方法は2つあります。

ウォーターハンマーの正確な解析は「特性曲線法」が有効です。ポンプが影響を与える場合は、「パーマキアン線図」の簡易検討が多く用いられます。

集合住宅の上水道で発生する場合は、住人の合意を得てから専門業者に依頼するとご近所トラブルも回避できます。

特性曲線法

特性曲線法とはウォーターハンマーの理論として使われ、計算精度の高さが特徴です。

特性曲線法は流体の運動を表す方程式(偏微分方程式)が描いた曲線をコンピューターに解析させて、再び方程式(常微分方程式)を導き出す方法です。理論波形と測定した波形を重ね合わせて結果を判定します。

ウォーターハンマーの管摩擦を考慮した場合に利用されます。

パーマキアン線図

パーマキアン線図とは水を送りだす地点と到達する地点の最低水圧の変化を表す曲線です。

管底高さを示す管路縦断線とパーマキアン線図を重ねます。パーマキアン線図が管路縦断線よりも低い地点で負圧が発生し、違いが最も大きい数値が最大負圧です。最大負圧が農林水産省のガイドラインを下回るとウォーターハンマーが発生する可能性があります。

実際に計測せず計算だけで、把握可能です。

パーマキアン線図の概要

フライホイールの重さを調整してウォーターハンマーの発生を予防します。

フライホイールの設定を変えるとパーマキアン線図はほぼ同じ曲線を描きますが、最低圧力は異なります。パーマキアン線図が管路縦断線とほぼ同じになるようにフライホイールを調整します。

勾配の上りは水柱分離が起きやすく、配管の曲がり部は圧力上昇しやすいのでその地点の数値を当てはめて精度を上げます。

ウォーターハンマーが発生する前に防止をしよう!

ウォーターハンマーとは急激に流速が変化したときに発生する現象です。

ウォーターハンマーによる衝撃や振動は接続機器のセンサー異常、配管や管路の破損の原因になります。対策は急激な流速の変化を防止することです。計算で発生を検討できるので、配管距離が長い場合は設計段階で事前の対策を行います。

ウォーターハンマーの発生を事前に把握して、配管や管路の破損を防ぎましょう。


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