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断熱材14種類の特徴と施工時の注意点|メリットとデメリットも紹介

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公開日時 2023.02.15 最終更新日時 2024.01.31

こちらの記事では、断熱材14種類の特徴と施工時の注意点についてご紹介いたします。

 


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断熱材とは?

断熱材は床下や壁体内・天井内(小屋裏)・屋根直下、又は基礎廻りに施工され、建物が完成した時には見えなくなりますが、建物の性能を左右する重要な役割をもった資材です。断熱材の役割や施工方法、高断熱・高気密など断熱に必要な知識についてまとめました。

断熱材の目的

室内の温度は、外気温に左右され、夏は暑く、冬は寒くなります。建物室内のこのような温熱環境を快適にするために使われる資材が断熱材です。
断熱材は熱を伝えにくい素材でできていて、断熱材を室外と室内の間に施工することで、室内と室外の間で起きる熱の伝導と対流を遮断し、壁からの放射熱を減らすことができます。このような熱を伝えにくい断熱材の性質が、夏の室内気温の上昇をおさえ、冬の寒い朝晩でも室内気温を下がりにくくし、快適な温熱環境を作ります。
断熱材が施工されていない室内気温は、室外の気温に左右され、夏は暑くなり、冬は寒くなります。また、冷暖房が効きづらいため、冷暖房のランニングコストがかかります。
断熱材は、室内の夏の暑さや冬の寒さを和らげるだけでなく、室内や壁体内の結露の発生を抑制し、カビを発生させない効果もあります。また、冷暖房効率が良くなり、冷暖房設備の稼働時間が短くなるため、冷暖房設備のランニングコストも安くなります。
断熱材は素材と製法、施工方法の違いにより、多種多様な種類があります。鉱物繊維系断熱材、発泡プラスチック系断熱材・自然素材系断熱材・リサイクル素材系断熱材などの種類にわかれています。

断熱材の基礎知識4つ

物から伝わる熱の量を抑えることを「断熱」といい、建物には屋根や外壁といった場所に断熱効果をもつ材料を使用します。
どの種類の断熱材でも空気などの気体が閉じ込められており、外の熱を通しづらい性質を利用した構造になっているため、伝わる熱量をおさえることができるようになっています。
断熱材は建築材としてだけでなく発泡スチロールやクーラーボックスにも使用されており、冷蔵・冷凍が必要な食品などの品質・温度をできるだけ保つことができるなど身近なところでも利用されています。
では断熱材についての基礎知識をみていきましょう。

1:熱伝導率

断熱材の性能でいちばん重要なことは「熱を通しにくいかどうか」ですが、判断の基準になるのが「熱伝導率」です。
熱伝導率とは熱の伝わりやすさを表す数値でW/m・kと表記され、数値が小さくなるほど熱が伝わりにくく断熱性能が高いということを表します。
熱伝導率は厚さが1mの材料の両端に1度の温度差がある時に1秒間に流れる熱量を表しており、断熱に関する各種計算をするために必要な基本的数値となります。
断熱材にはいろいろな種類があり使用されている原料・構造などによって性能は変化しますが、それぞれの性能を比べる大切な数値となっています。

2:外断熱と充填断熱(内断熱)

断熱材の施工方法には、外断熱と充填断熱(内断熱)という2種類の方法があります。
「外断熱」は、建物の構造体である柱の外側に断熱材を施工し、柱より外壁側で外部からの熱を遮断する方法です。そのため、柱の外側で建物全体を断熱材で覆う形となり、床の断熱は床下又は基礎断熱、天井部分の断熱は屋根断熱が基本となります。
外断熱の施工方法には、湿式工法と乾式工法があります。湿式工法は、コンクリートなどの構造体に断熱材を密着させて施工する方法です。建物を軽量化するため、また壁体内の結露を防ぐために、軽量で透湿性がある断熱材を使用します。
乾式工法は、断熱材と外壁材の間に湿気を排出させるための通気層を設けて施工する方法です。外壁材を施工する時に支持金具で外壁材を固定することで断熱材と外壁材の間に通気層を作ります。
外断熱は、充填断熱(内断熱)と比較すると気密性が高い施工方法であるため、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の建物や寒冷地でよく使われている断熱方式です。
「充填断熱(内断熱)」は、柱と柱の間の室内側に断熱材を充填し、建物の構造体内部で熱の移動を遮断する方法です。床は床材直下、天井は天井直上に断熱材を充填する方法が基本となります。そのため、構造体内部で発生した湿気を排出する施工が重要です。湿気を排出する通気層を作るための外壁通気や防湿シート・通気止めの施工を行います。
充填断熱(内断熱)は、外断熱と比較すると施工効率が良く、コストがかからないため、木造建築物や温暖地域でよく使われている断熱方式です。

3:断熱材と外壁通気工法

外壁通気工法は、壁体内の湿気を外部排出するための通気層を作る工事です。特に充填断熱(内断熱)方式の場合は、外部・内部の空気が壁体内に流入しやすく、温かい空気と冷たい空気の接点となる壁体内で結露が起きやすい(壁体内結露)というデメリットがあります。
壁体内結露が起きた場合、柱や梁などの構造体の耐久性が低下したり、壁体内や室内にカビが発生したり、健康被害が起きたりする二次被害の原因となります。
外壁通気工法では、断熱材が施工されている壁の柱外部側を「透湿防水シート」というシートで建物全体を覆い、その上に一定間隔で縦胴縁を打ち、通気層を作ります。室内から流入した湿気を通気層まで透し(透湿)、外部からの水分は壁体内に流入しない(防水)ようになっています。通気層は、基礎の上部付近から軒裏及び屋根の換気部まで通気できる構造になっていて、通気しながら湿気を排出します。
充填断熱(内断熱)方式で使われる断熱材の室内側表面は、防湿シートとなっているものが多く、室内の湿気が断熱材及び壁体内に入りにくいようになっています。防湿シートがない断熱材を使用する場合には、別途防湿シートの施工が必要です。

4:高断熱と高気密の違いと関係性

外部の気温に左右されにくい、過ごしやすい、省エネな建物では、「高断熱」と「高気密」という性能がうたわれています。
「高断熱」は、断熱性能が高い断熱材を使用し施工された建物で、「高気密」は、外部と接している部分の気密性が高い(すき間が少ない)建物です。それぞれ、お互いに必要な性能です。
断熱性能を高くした建物は、気密を高くする必要があります。すき間がある場合、あたたかい空気と冷たい空気が触れあうすき間(熱橋)では結露が起きやすくなります。また、すき間からあたたかい空気、冷たい空気が断熱材や室内に流入するため、断熱の効果が低くなってしまうからです。
断熱材や外部と接する配管回りの施工をすき間なく確実に行うこと、気密性能が高い換気扇を使用することで、気密の高い住宅となります。

断熱材の種類と分類別の特徴3つ

断熱材の種類は一つではなくいろいろな原料で作られていて、繊維系断熱材・発泡プラスチック系断熱材・発泡系断熱材・自然系断熱材・木質繊維系断熱材などの種類があります。
プラスチック由来の断熱材の種類として、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォームなどがあります。
熱伝導率などの性能にばかり目を向けてしまうと、建てた後に「こんなはずじゃなかった」と思うことがあります。
そのような思いをしないためには断熱材にはどのような種類があるのかも知っておくといいでしょう。

1:鉱物繊維系

繊維系の断熱材の種類としてあげられるのはグラスウール・ロックウール・セルロースファイバー・インシュレーションボードがあります。
それぞれの熱伝導率はグラスウール(32K)が約0.036W/m・Kともっとも数値が小さく、ロックウールが約0.038W/m・K、セルロースファイバーが約0.040W/m・K、インシュレーションボードが約0.052W/m・Kという順番になっています。

2:発泡プラスチック系

発泡プラスチック系断熱材の種類はフェノールフォーム・硬質ウレタンフォーム(1種)・押出法ポリスチレンフォーム(1種)・ビーズ法ポリスチレンフォーム(4号)・ポリエチレンフォームでそれぞれの熱伝導率はフェノールフォームが約0.020W/m・K、硬質ウレタンフォーム(1種)が約0.029W/m・K、押出法ポリスチレンフォーム(1種)が約0.040W/m・K、ビーズ法ポリスチレンフォーム(4号)が約0.041W/m・K、ポリエチレンフォームが約0.042W/m・Kとなっています。

3:自然素材・リサイクル素材・新素材

断熱材の種類の中には自然素材やリサイクル素材を使用したものもあります。
グラスウールも原料の80%以上がリサイクル原料で熱伝導率も高いですが、パーフェクトバリアは原料の100%が再生ポリエステル素材なので地球環境に優しいエコな素材となっています。
パーフェクトバリアの熱伝導率はボードタイプ(30k)で約0.035W/m・Kで、自然素材の種類になる木材の熱伝導率は約0.130W/m・Kです。

断熱材14種類の特徴と施工時の注意点

断熱材14種類の特徴と施工時の注意点

熱伝導率は断熱材を選ぶときに外せない要因の一つですが、それぞれの種類によって熱伝導率の数値は違います。同じように断熱材の種類によって特徴や施工方法も違います。またそれぞれの種類ごとに取り扱いなど注意する点も違います。
ここからは断熱材の種類を14種類にわけて、それぞれの特徴と施工するときに注意をしておきたい点を確認していきましょう。

1:グラスウールの特徴

グラスウールは高温で溶かしたガラスを細い綿状にしたもので、細くなった繊維同士を絡ませることによって空気を閉じ込め、軽量かつ断熱性の高い種類の断熱材です。比較的安価なので木造の建築物の屋根や壁などによく使用されます。
最近では従来のものより断熱性能が高い「高性能グラスウール」と呼ばれる種類の製品も出ており、施工しやすいうえ防湿についても考慮されています。

グラスウール施工の注意点

グラスウールは充填断熱方式で施工される種類の断熱材で、防湿シートがないグラスウールを施工する場合は断熱材の施工とは別に防湿シートの施工が必要になります。
勾配天井に施工するときはあらかじめ屋根の下地材の下や構造部に湿気を排出するための通気層をつくっておかないと発生した湿気が外に排出されないため、内部結露の原因となってしまいカビが発生することもありますので注意が必要です。

2:ロックウールの特徴

ロックウールはその名前のとおり、石灰に玄武岩や鉄炉スラグなどを混ぜ高温で溶解して作られた鉱物繊維を原料とした断熱材で、種類は充填タイプと吹付けタイプの2種類があります。
ロックウールの一番の特徴は高い耐火性能で、建物の防火性能や耐火被覆を重視する建築物に使用されることが多い断熱材です。
防火性のほか、耐久性能や吸音性能も高く、吸湿しないロックウールの性質からシロアリがつきにくい特徴もあります。
とはいえグラスウールと比較した場合、充填タイプの製品の種類が少ないため価格が割高になってしまうのがデメリットでしょう。

ロックウール施工の注意点

ロックウールには充填タイプと吹き付けタイプの2種類あり、充填タイプを施工する場合はグラスウールと同じくすき間やたるみができないように、きっちり柱や梁に留め付けたあと防湿フィルムの破れやはがれがないかを確認することが大切です。
吹付けタイプでは専用の吹付け機を使用して施工しなくてはなりませんが、複雑な形状の下地でも吹付けできるのが大きなメリットです。
きちんと定められた密度や均一の厚さで吹付けなければならないため、技術のない職人が施工すると上手くいかないこともあるので注意が必要です。

3:ビーズ法ポリスチレンフォームの特徴

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)とは発泡スチロールのことで、大きな特徴は耐水性や耐久性に優れているので結露できないということと値段が安いということです。
発泡スチロールをよく見てみると発泡粒子とよばれる小さな白い粒々が引っ付いた構造になっており、発泡粒子の中に空気を閉じ込めることで断熱性を高めています。
工場から出荷されるときは大きなボード状で、施工現場で断熱材をいれる箇所の形にカットして使われます。

ビーズ法ポリスチレンフォーム施工の注意点

ビーズ法ポリスチレンフォームは一般的に熱に弱いことがデメリットとしてあげられ、70℃以上になる場所では使用できませんが、耐熱性能が高い種類の製品では100℃以上の熱に耐えられる種類もでてきました。
しかし万が一、建物が火事にあった場合などは外壁の表面は何事も無いようにみえたとしてもEPSそのものは熱で縮んでしまうため、その後は断熱材としては機能しなくなります。施工する際は火気には十分に注意が必要ですし、紫外線にも弱い種類の断熱材のため野積みをする場合は長時間、置きっぱなしにするのは避けましょう。

4:押出法ポリスチレンフォームの特徴

押出法ポリスチレンフォームは前項で述べたビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)と同じ発泡プラスチック系断熱材でポリスチレンを原料とした種類の断熱材です。
ポリスチレンと発泡材を押出機の中で混ぜたあと施工しますが、材料は押出機の外に押し出されたタイミングで発泡し固まるので施工の現場でその場にあった寸法にカットします。一粒一粒の大きさがEPSに比べて小さいのでEPSよりも断熱性が高くなっているのも特徴の一つでしょう。

押出法ポリスチレンフォーム施工の注意点

EPSと同じ原料を使用しているということは輸送中などの取り扱いや施工するときの注意するべき点もほぼ同じ種類だといっていいでしょう。輸送中や保管中はシートなどで適切な養生を行うことで紫外線による劣化や断熱材が割れることを防止できます。
しかし真夏になるとシート内が思った以上に高温になることもあるため、材料が現場に到着したら速やかに施工するようにしましょう。

5:硬質ウレタンフォームの特徴

ウレタンフォームは発泡プラスチック断熱材でポリウレタン樹脂を主原料とした種類の断熱材です。
見た目は小さな気泡集まったもので熱を伝えにくいガスをこの小さい気泡に封じ込めて断熱性を高めており、ボードタイプと現場で発泡させ吹付けをするタイプの2種類があります。耐水性能が高いため壁の中などで結露がしにくく耐熱性・遮音性・吸音性が高い種類でもあります。
ただしグラスウールの約3倍のコストがかかるなど価格が高いことがデメリットです。

硬質ウレタンフォーム施工の注意点

現場で発泡させる種類のウレタンフォームは専用の吹付け機を使用して施工を行いますが、厚さなどを均一に吹付けるためにはそれなりの技術が必要です。施工中は周囲での火気使用は厳禁ですし、施工後も断熱材の近くでは火気に十分に気をつけましょう。
下地が透湿防水シートだけですと現場発泡ウレタンフォームで通気層をふさいでしまうこともありますが、通気層は躯体内に入った湿気を排出するために重要な役割をもっています。現場発泡ウレタンフォームの下地には合板などを使用し確実に通気層を確保できるようにしましょう。

6:フェノールフォームの特徴

フェノールフォームはフェノール樹脂を素材としたプラスチック断熱材で、熱に強い特性があるためフライパンの取手などに使用され、ボードタイプと現場で発泡させるタイプの2種類があります。
大きな特徴は耐水性・断熱性・耐火性が高いということです。製品の種類によっては約130℃までの使用に耐えられる耐熱性もあることから外張り断熱にも使用されています。軽く強度が高いため施工しやすいというメリットがある反面、グラスウールの約3倍という高価格になることがデメリットといえるでしょう。

フェノールフォーム施工の注意点

フェノールフォームは直射日光・紫外線によって劣化する恐れがある種類の断熱材です。ボードタイプを使用するときには直射日光を避け、養生シートなどでカバーをして保管しておきましょう。
ボードタイプは衝突し角をあてるなどして欠けると、せっかくの断熱性が低下して耐火性なども低くなる可能性もありますので、現場へ搬入するときや保管するときには注意が必要です。

7:高発泡ポリエチレンフォームの特徴

高発泡ポリエチレンフォームは発泡剤をポリエチレン樹脂に加えて発泡体にした断熱材です。EPSやXPSやフェノールフォームといったボードタイプの種類と比べると柔軟性が高いため壁や柱の間に充填しやすいという特徴があります。
高発泡ポリエチレンフォームは床や壁、屋根や配管カバーなど断熱性だけでなく防水性などにも優れているのでさまざまな箇所に使用されます。発泡剤にフロンガスが含まれていないことも特徴の一つです。

高発泡ポリエチレンフォーム施工の注意点

高発泡ポリエチレンもビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)と押出法ポリスチレンフォーム(XPS)といったポリスチレンフォームと同じ原料を使用している種類の断熱材なので、耐水性はあるものの耐火性は弱いという面があります。
施工中は火気には十分に注意しながらの作業が必要ですし、施工は断熱材を入れる場所に合った形にカットするのでゴミ集めや処理なども行わなければなりません。

8:羊毛断熱材の特徴

自然素材である羊毛断熱材はカットしやすく、施工箇所が細かいところや難しい場所でもスムーズにできるため施工性が良い種類の断熱材です。羊毛断熱材の大きな特徴は、素材そのものに調湿機能があるため結露が発生しにくく吸音性能が高いこと、防虫性もあることなどがあげられます。
燃えにくい素材でもあるため防炎性にも優れており、万が一火事になっても延焼しにくい特徴があります。ただしグラスウールよりも約3~5倍の価格になることと素材の純度や防虫性、断熱性などにばらつきが出ることがあるので注意が必要です。

羊毛断熱材施工の注意点

羊毛断熱材は工場や卸業者から現場にロール状で搬入されます。そして現場で充填する場所の形やサイズに合わせてカットをしてタッカーで留めることで施工できます。
施工箇所のサイズにぴったり合わせてカットしてしまうとすき間があきやすく、厚みにもムラがでやすくなりますので、少し大きめにカットして余った分は折り曲げてタッカーで留めるといいでしょう。
また充填断熱方式で施工となるため、断熱材を押し込みすぎて通気層をつぶさないように注意が必要です。

9:炭化発泡コルクの特徴

天然素材のコルクを原料とした断熱材である炭化発泡コルクは、リサイクル品のコルクの粒を型にはめ込み300~400℃という蒸気加熱と圧力を加えて作られており、固めるのもコルク自身が持つヤニで硬化するので100%天然素材の種類の断熱材です。
炭化発泡コルクは防湿性だけでなく調湿性も高いため結露が発生しにくいこと、防虫性が高い、保温性や吸音性が高いことが特徴としてあげられます。また施工性も良く100%天然素材なので安全性が高い断熱材です。ただしその分、グラスウールの8~10倍の価格になるなどコストがかかります。

炭化発泡コルク施工の注意点

100%天然素材の炭化発泡コルクは安心できる断熱材ですが、ほとんどの製品が防湿シートが一緒になっていない種類なので、前もって防湿シートの施工を室内側にしておくことを忘れないようにしなければなりません。
また、炭化発泡コルクを充填断熱方式で施工する場合、室内側に位置をそろえて施工を行いましょう。施工時には受け材を確実に留め付け、外部側に炭化発泡コルクがずれないように注意することが必要です。

10:インシュレーションボードの特徴

インシュレーションボードとは細かく繊維状に粉砕した木材をはっ水材料を加えたうえで一定の厚みで固めてボード状にした主に密度が約0.35g/cm3未満の断熱材です。
原材料が木材なので通気性・調湿性に優れており、さらには地震や強風のような横からの力に強い資材として耐力壁面材としても使用されることが多い資材です。種類としてはアスファルト処理したシージングボード、ファイバーマットがあります。

インシュレーションボード施工の注意点

もともとの原材料が木材ということもあり、インシュレーションボードは施工しやすく複雑な形の箇所でも工事しやすい素材でもあります。
しかし保管中に雨に濡れて乾かさないまま施工してしまうと、カビが生えたりゆがみがでたりする可能性があるので注意が必要です。またシロアリに食われる可能性もありますので、施工するときはしっかり防虫対策をしましょう。

11:セルロースファイバーの特徴

セルロースファイバーは古新聞紙やパルプなどの木質繊維を細かく繊維状にほぐし、その中に薬品を添加することで断熱性などを持たせた断熱材です。その原料から種類としては木質繊維断熱材となります。
断熱性以外に吸放湿性やはっ水性、調湿性、防虫効果など多くの性能が期待できる断熱材です。調湿性能や防露性能が高いため厄介なカビや害虫の発生を防止できることも大きな特徴のひとつです。

セルロースファイバー施工の注意点

セルロースファイバーは、専用の機械で吹き込みという施工方法をとります。そのためセルロースファイバーをすき間がないように密着させることもできますが、室内側の防湿シートの破れや角など細かい場所のすき間がないように注意をしながら施工を行わなければなりません。
原料がはじめから難燃処理されているため、万が一、火事になっても有害なガスの発生が少ないですが、グラスウールの約4倍の価格になり、自分の重みで気がつけば沈下してしまい下にずれていたということもありますので注意しましょう。

12:ポリエステル断熱材の特徴

ポリエステル断熱材はリサイクルしたペット樹脂を原料とした種類の断熱材で、素材だけでなく製法や安全性を重視して作られている断熱材です。
ポリエステル断熱材は透湿性や調湿性が高いのでカビや害虫の発生が抑制されているだけでなく、軽く柔らかい素材のため施工しやすいことや燃えにくいこと、万が一の火災時でも有害なガスを出さないことが大きな特徴です。
ただし断熱材そのものに防湿層がなく、防湿に関する施工が別途必要になるためグラスウールの2~3倍のコストがかかってしまいます。

ポリエステル断熱材施工の注意点

ポリエステル断熱材にはボードタイプとロール状のタイプがあり、施工する箇所や部位にあわせて、躯体にすき間ができにくいタイプを選んで施工することが必要となります。
またポリエステル断熱材は充填施工もできる種類の断熱材です。充填施工を行う場合は、外部側へ押し込みすぎることによって、重要な通気層をつぶしてしまい、湿気が躯体の中に充満してしまわないように注意が必要になります。

13:真空断熱材の特徴

真空断熱材とは、内部が真空状態になったハイブリット型の断熱材で、真空状態にすることで断熱材の熱伝導率が約0.002~0.004w/m・kと限りなくゼロに近くなっていることが特徴です。
また大きなメリットのひとつとして厚さが薄いため折り曲げが容易にでき、軽量なため施工もしやすいことがあげられます。
ただし新しい製品なため採用例が少なく、カビや湿気に強いものの認知度もまだまだこれからという状態のため価格も割高です。

真空断熱材施工の注意点

新しい種類の断熱材なので建築現場で採用された例が少ないのが現状です。そのため、真空断熱材を施工するときには取り扱いメーカーの施工注意点を必ずしっかりと確認する必要があります。
また真空部分をつくることで断熱性能が高くなっている断熱材なので、施工するときは真空部分をやぶってしまうことがないように特に注意が必要です。

14:遮熱シートの特徴

遮熱シートは、断熱だけではとめられない熱移動の輻射熱(太陽の赤外線など)を反射し、遮熱するために、使用します。素材はアルミニウムで、断熱材と併用して使用する資材です。併用することで断熱材の断熱効果も高くなります。

遮熱シート施工時の注意点

断熱材は熱の伝導を減らして屋内の温度などを保つ働きをしますが、断熱材そのものが温まる事を防ぐことはできません。温まった断熱材は自分の熱を屋内に伝えてしまうこともあります。
遮熱シートはその熱を防ぐ役割をするもので、性能面の違いとしては「遮熱だけ」「断熱効果もあるもの」「透湿防水効果もあるもの」の3つになります。また遮熱シートの種類は「壁用」と「屋根用」の2種類があります。
施工するときにはどう貼ったら効果的に遮熱ができるのかを考えながら施工しましょう。

断熱材トラブルの実例と対策4つ

断熱材の施工などが原因で起きた建物のトラブルの実例と対策をまとめました。トラブルの実例を共有して、正しい断熱材の施工方法や施工の注意点を理解しておきましょう。

1:天井のシミの原因と対策

冬、「天井から雨漏りがしている。よく見たら天井に古いシミがある」というトラブルがありました。お客様は雨漏りと言われていましたが、昨日の雨は量も少なく、雨が降っていた時間も短かったので本当に雨漏りなのか確かではありませんでした。
雨漏りがしているという部屋は北側の部屋で、天井は屋根に沿った勾配天井でした。天井のシミは部屋の隅ではなく、部屋中央部にありました。雨漏りの原因になりそうなトップライトはありません。
ガルバリウム鋼鈑の屋根に上り、すき間やひび割れなどがないか確認しましたが、そのようなトラブルがなかったため、天井を一部はずし点検したところ、断熱材の室内側が湿気を含み、一部周辺の釘が錆びていました。
天井のシミの原因は、屋根裏の結露でした。冬、気温が低い日が続いた時に、暖房で暖かくなった北側の部屋で結露が起こります。断熱材の施工にすき間が多いことや屋根下に湿気を排出する通気層が施工されていないことが原因で起こります。また、屋根下地・屋根材をとめるビスや釘を打ち損じ(垂木を外してしまうこと)、そのまま放置すると、ビスが結露してシミになるケースもあります。
屋根工事の打ち損じたビスは確実に抜き、通気層の確保及び断熱材の隙間ない施工をすることでトラブルを防ぐことができます。

2:外壁に緑色に変色してしまった原因と対策

北側の外壁に緑色になってしまい、外壁の塗装時にきれいにしたいというご相談がありました。緑色になってしまったところを確認すると、緑色になっている部分はカビで、一定の間隔、一階部分の3分の2の高さぐらいまでに発生しており、下の部分が濃く、上部は場所により高さがまちまちになっていました。
外壁工事会社と相談したところ、内部結露によるカビではないかとなり、室内の様子を確認したらカビが発生していました。
カビが発生している部分は、グラスウールの断熱材が外れて下に落ち込み内部結露が発生していました。壁内部、グラスウールにはカビが発生し、凹凸がある外壁表面にも被害が拡大していました。
カビが発生してしまったグラスウールを取り除き、壁内部のカビを清掃、新しいグラスウールを設置し直してから、外壁を洗浄し塗装を行いました。
グラスウールが落ち込んでしまった原因はグラスウールの留め方が雑で、振動などで外れてしまったのではないかということと、内部結露の湿気でグラスウールが重くなり、下に落ち込んでしまったこと2つ考えられます。
壁下地や外壁を施工する前にグラスウールが、上下左右確実に留められているか、壁体内に入った湿気が排出される通気層が確実に施工されているか確認することで防ぐことができます。

3:断熱材を施工しているのに寒い室内の理由と対策

断熱材を施工しているはずなのに、冬寒く感じ暖房もききにくい。それに窓まわりに結露がおきているというトラブルがありました。また、夏は2階が暑く、エアコンが効きにくいという症状もありました。
建物の構造は鉄骨造。断熱材は、グラスウールの内断熱方式でした。調査してみると、いくつかの原因が考えられました。
原因は、鉄骨の柱と梁に断熱材が施工されていなかったこと、サッシ取付部分の気密性が低いこと、天井断熱になっているが、小屋裏の換気が設けられていなかったことが考えられました。
鉄骨の柱と梁は、外気温の影響を受けやすいため、夏は熱く、冬は冷たくなります。冬はそこから室内の熱が奪われていたのではないかと考えられました。また、鉄骨造は、サッシ取付のためのクリアランスが多く、その部分が熱橋(すき間)となり、冬に結露を起こしていた。また、小屋裏換気がないため小屋裏にこもった熱が排出されず、夏、天井から熱が放射されエアコンが効きにくくなったことなどが考えられました。
鉄骨造の建築物の場合、どのような断熱材を使い、どんな断熱方法とするかをよく検討しなくてはなりません。外断熱とする場合は、柱や梁の室内側に断熱材を施工する必要はありませんが、内断熱とする場合は、柱や梁の室内側にも断熱材を連続して施工する必要があります。
サッシまわりのクリアランスにも確実に断熱材を施工し、熱橋となるようなすき間をなくすように施工しましょう。
天井裏で断熱を行った場合は、小屋裏に換気扇又は自然換気できる流れを作り、空気が滞留することがないように配慮しましょう。

4:床断熱材の落ち込んだ原因と対策

「最近、床下でパタパタ音がすることがある」、「だいたい、同じ場所で軽い感じの音が聞こえる」というご相談がありました。床下点検口から、床下を確認してみました。床材の下に充填した発泡プラスチックの断熱材が下に落ちこみ、片側だけ外れて浮いているものがありました。浮いているものが風の強い日に床下地材にあたって「パタパタ」という音がしていたようです。
断熱材が外れてしまった原因は、断熱材を充填する時に断熱材下に取り付ける受け材を施工しなかったためでした。床の断熱材は、床組の根太間にはめ込む形で充填しますが、建物が風力や地震などで揺れると外れてしまうため、落ちないように断熱材下に受け材を施工します。
床下から断熱材を入れ直し、受け材を施工して、断熱材を正しい位置に施工し直しました。直した後、お施主様から床の冷たさがなくなったというお話がありました。床の断熱材を施工する時には、受け材が確実に施工されているか確認するようにするとトラブルを防ぐことができます。

断熱材の種類や特徴を知って施工しよう

断熱材は、素材や製法・施工方法によりメリット・デメリット・価格が違います。また、建物の用途や構造により適した断熱材も違います。断熱材の性能値や施工方法・価格の違いを詳しく知って、建物の用途や構造にあう断熱材を選択し、施工上の注意点に配慮して、スムーズに工事を進めましょう。
※熱伝導率:熱の伝わりやすさを示す値。数値が小さいほど熱が伝わりにくい(=断熱性能が高い)

 


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