築地市場は、施設の老朽化や、建物の一部が破損するなどして安全性に不安があるため、豊洲市場へと移転することになりました。
新しい豊洲市場は建築・設計的にどんな特徴があるのでしょうか。
建築・設計の観点から豊洲市場の特徴や、建設費、耐震強度など市場の仕組みをご紹介します。

豊洲市場の設計とは

豊洲市場は、5街区の青果棟、7街区の管理施設棟・水産卸売場棟、6街区の水産仲卸売場棟で構成されています。
荷物を整理するスペースなどが売り場の近くにあることによって、車や荷物がスムーズに流れるようになるのです。
各街区の建築物には「検査済証」が東京都建築主事から交付されました。
これは完成した建築物および敷地が、建築基準関係規定に適合したことを示しています。
また検査済証の交付を受けたということは、建築基準法の耐震基準も満たしているということです。
そのため耐震マークが豊洲市場施設に表示されています。
この「東京都耐震マーク表示制度」は平成24年4月から始まった制度で、耐震基準に適合する建築物に貼られています。
また土壌汚染対策・地下水汚染対策・液状化対策・地下水管理システムなどが行われました。
法令を上回る手厚い内容により、もし人が生涯住み続けても健康に影響は出ないとされています。

豊洲市場の建築費とは

豊洲市場の移転整備には約3,926億円の経費が見込まれています。
そのうち建設費が約990億円、土壌汚染対策費が約586億円、護岸の整備、基盤整備費が約370億円、用地費が約1,980億円です。
これらの経費は、市場の業者が東京都に収めている使用料などを収入とする中央卸売場会計で賄われました。
不足分は築地市場後の売却費用で補填されます。
豊洲が移転先として決められた訳は、敷地が狭く広い駐車場や荷さばきスペースとして約40ヘクタールの敷地が確保できること、都市部の周辺であり輸送時間やコストの面からアクセスしやすい位置にあることなどから決定されました。
これ以外にも候補地が5つありましたが、用地・交通・商圏のすべての条件を満たす土地が豊洲しかなかったとされています。

効率的な物流が確保された新市場

豊洲市場は食の安全や安心はもちろん、建築・設計的にも安全を考えて作られています。
これにより効率的な物流が実現され、顧客や消費者のニーズに対応できるようになりました。
また太陽光発電などの自然エネルギーを活用したり、屋上緑化によってヒートアイランド対策をしたりするなど省エネ対策も施されています。
新しくなった豊洲市場により、これからも首都圏の基幹市場としての役割が続いていくことが期待されます。

関連記事：
建築面積について詳しく解説｜土地選びで注目するポイントも紹介
建設業界はテレワークで働ける？実施状況や導入方法について
ジョイントベンチャーとは。会計方式やメリット・デメリットを解説