施工管理の求人・転職情報掲載。資格者・現場経験者は即採用【施工管理求人サーチ】

施工管理求人サーチロゴ
夢真の転職支援 施工管理求人サーチ電話番号
お気に入りリスト
まずは無料WEB登録
メルマガ登録

形や構造からみるダムの種類9選!利水や治水など目的による違いも解説

学ぶ
公開日時 2023.03.02 最終更新日時 2023.03.02

目的からみるダムの種類


ダムの目的は河川の堰き止めと、取水です。設置目的や取水した水の使用目的によって種類が異なり、治水と利水、多目的に分類します。

ダムは河川法第四十四条によって規定された堤防です。基礎地盤からダムの頂上部(堤頂)までの高さが15m以上を指し、15m未満の堤防は「堰(せき)」と呼び、区別します。設置には河川管理者の承認が必要です。

ダムは観測施設を設置して流量や水位、雨や雪の量の観測及び操作規定の策定が義務付けられています。

海外の場合、高さが15m以上はhigh dam(ハイダム)、15m未満はlow dam(ローダム)と呼びます。高さが5~15m、貯水容量300万立方メートル以上をlarge dam(ラージダム)、それ以下をsmall dam(スモールダム)と区別します。

出典:河川法|国土交通省

治水ダム

治水ダムとは、河川の流量を調整が目的のダムの種類です。

河川の流量の調整により、洪水の発生を予防します。また、流量が減少して水質や川の生物の生活環境が変化したり、船の航行ができなくなったりしないように環境を整える役割も担います。

河川の流量を調節する目的では「水門」もあります。水門は洪水の際、門を閉めて流量を減少させるなど、水門もダムの1種類として堤防の役割を果たしています。

大雨などでダムの水量が増え、調節が必要な際、蓄えた水の放出方法により種類分けします。ダム施設の洪水吐き(こうずいばき)から放出する種類は「越流型」、ダムの本体以外に接地した洪水吐きから放出する種類は「非越流型」です。

洪水や河川の氾濫を防止するための観測と操作状況の報告は、ダムの設置者の役目です。河川法で規定され、河川管理者や都道府県知事への通報が義務付けられています。

出典:河川法|国土交通省

利水ダム

利水ダムとは、取水した水を生活や産業などに有効利用するために設置する種類のダムです。農業などのかんがい用水、水道、工業用水、水力発電などに利用します。

かんがい用水とは、田や畑の耕作に利用する水です。稲の耕作用の「水田かんがい」、果物や野菜の耕作用の「畑地かんがい」の2種類があります。

また、利用者の違いで種類分けします。地域を限定した流量の設定や特定の利用者のために期間限定で行う場合は「特定かんがい」、不特定多数に対して行う場合は「不特定かんがい」です。

水道は浄水場などで処理した後、上水道として供給されます。工業用水も取水後、浄水処理します。濾過や塩素注入などをせず、着水井と薬品混和池、沈殿池で処理し、専用の工業用水道で供給します。

多目的ダム

多目的ダムとは、治水と利水など複数の目的のために設置する種類のダムです。

日本で設置されるダムの目的は治水が多く、付随して利水目的も担います。利水は、発電や水道だけの他、かんがいや工業用水など下流域の生活に合わせて使い分けます。

治水では、洪水を調整するためのゲートの有無による種類分けも行います。「ゲート付きダム」は、洪水吐きゲートの操作が必要なダムです。この操作は操作規定に基づく有人操作です。

もう1種類の「ゲートレスダム」は洪水を調整するために堤体に開けた穴などで自然に行います。管理者による有人操作は不要で、管理を簡素化したタイプです。

近年ダムの管理は人員不足によって簡素化が求められています。ゲートレスダムは、今後建設されるダムの主流です。

形や構造からみるダムの種類9選

形や構造からみるダムの種類9選


形や構造からダムを種類分けすることも可能です。

形による種類分けは、見た目の違いなどで判断し、構造と合わせて判断する場合もあります。

この他、使用する材料による種類分けもします。コンクリートで造成した「コンクリートダム」、岩や土砂を利用した「フィルダム」、現場周辺を掘削した際に発生した岩ズリや砂、周辺から集めた材料をセメントと水で固めた「台形CSGダム」などがあります。

土や粘土を盛り上げた台形状の「アースダム」は、古くから造成された形式です。別名、土堰堤(どえんてい)とも呼ばれます。

ダムは水の力をダムの重さで支える種類と水の重さや力を利用して支える種類、水の力を両側の岩盤によって支える種類にも分けます。

1:重力式コンクリートダム

重量式ダム(gravity dam)は、水の力をダムの重さで支える種類です。

コンクリートダムで、コンクリートの固まる性質を利用して堤体を一体化します。重量を支えるため、硬い地盤に造成されます。横から見ると台形で急傾斜です。貯水池側は垂直、下流側は傾斜がついています。

上から見た形状によって直線重量コンクリートダム(straight concrete gravity dam)、曲線重量式コンクリートダム(curved concrete gravity dam)、その他の重量式コンクリートダム(concrete gravity dam)に細分化します。

曲線重量式は、水を支える方法がアーチ式と異なります。

狭い川幅に造成できるため、日本で1番多く作られている種類です。構造が簡単で、地震に強い特徴もあります。

2:アーチ式コンクリートダム

アーチ式ダム(arch dam)は、水の力を両側の岩盤によって支える種類です。

支える岩盤に強度が必要ですが、アーチの力学的特性を活用したデザインです。重量式コンクリートダムと比較して堤体を薄くするため、コンクリートの使用量が少なく経済的です。重量式と異なり、貯水池側に傾斜面を配します。

アーチの形状によっていくつかの種類があります。円筒形の円筒アーチ式コンクリートダム(concrete cylindrical arch dam)は中型または小型が中心です。

ドーム(半球)アーチ式コンクリートダム(concrete dome arch dam)は、堤体が地面に対して垂直ではなく、球を切り取ったような形です。水の力が均一にかかり、大型ダムに多く採用されます。

一般にアーチ式ダムは左右対称の形状です。川や周囲の地形によって非対称系のアーチ式ダムも存在します。

3:ロックフィルダム

ロックフィルダム(rock fill dam)とは、土や砂礫、岩石(ロック)を材料に作られたフィルダムの中でも、岩石の占める割合が50%以上の種類を指します。

フィルダムの構造は、水を遮るコアに水を通しにくい粘土、外側の保護層に岩石を利用してダムの重量を確保し、中間層に半透過性の砂利を使用します。

ダム自体は遮水ゾーンと半遮水ゾーン、透水ゾーンの3つで構成する「ゾーン型」のため、別名「ソーン型ロックフィルダム」とも呼びます。

横から見た形は台形で、基礎面積が広く軟弱な地盤でも造成できますが、岩石などの材料が多く必要です。そのため、建設現場周辺に岩石が多く、近くで材料が調達可能な場所に適します。

コア部分で水を堰き止める構造上、堤体部に洪水吐きを造れません。

出典:土木いまむかし ダムの話その(1)|DOBOKU技師会東京 第32号

4:中空重力式ダム

中空重力式ダム(hollow gravity dam)とは、重量式コンクリートダムの中心部に空洞を造り、コンクリートの使用量を少なく建設費用を抑えたダムです。

重量式コンクリートダムよりもダム本体の重量が軽いため、上流側の傾斜を緩くして、底面部分の面積を広くとってどっしりとした形状に設計します。上流側にはダムに対する水の力を分散させる目的で、等間隔で盛り上げる通称「ダイヤモンドヘッド」と呼ばれるデザインを施します。

直線または直線と曲線の組合せを使った形状ですが、重量式のように直線式や曲線式の種類の区別はありません。

海外ではバットレスダムに区分され、中空重量式コンクリートダムは日本だけの呼称です。

5:バットレスダム

バットレスダム(buttress dam)は、水圧を利用して水の力を支える種類です。

バットレス(buttress)とは、建築用語で「控え壁」を指します。壁にかかる側圧に対して、倒れないようにするための補強用の壁です。ダムでは、水を堰き止めるために鉄筋コンクリート製の遮水板を鉄筋コンクリート製の擁壁(扶壁)で支える構造を指します。

そのため、「鉄筋コンクリートダム」または「扶壁(ふへき)ダム」と呼びます。

下流側に擁壁を設置し、上流側は緩やかな傾斜です。ダム自体の強度が高くないため、小規模なダムに適します。

鉄筋コンクリートの遮水板を使用するため、コンクリートの使用量を減らせますが、建設の手間がかかり、建設費用が高額です。コンクリートが少ない時代には施工されましたが、現在は建設されません。

6:均一型ダム

均一型ダムとは、同じ材料で作られたダムを指します。多くは細かい土砂を使用したアースダム(earth dam)です。

均一型アースダムは全て土砂で作り、「均一型フィルダム」とも呼ばれます。ロックフィルダムよりも小型で強度は期待できず、高さは30m以下がほとんどです。世界中のダムの約70%が均一型フィルダムです。

均一型アースダムは堤体のほとんどが土砂のため、遮水壁はありません。浸透してきた水を排水するためのドレーンを内部に設置します。農業用ため池に設置された古いタイプに多く見られる種類です。

出典:国土交通省|均一型ダム

7:コンバインダム

コンバインダムとは、重量式コンクリートダムとフィルダムの組合せによって作られるダムの種類です。英語のcombineは組み合わせる、結合する意味からきています。

ダムを建設する現場の地盤が、両岸で異なる場合に設置されます。硬い地盤の側に重量式コンクリートダム、緩い地盤の側にフィルダムを建設します。結合または隣接した状態で、離れて建設された場合は、コンバインダムにはなりません。

フィルダムは堤体の機能を保有し、重量式コンクリートダム部分に洪水吐きなど主要施設を取り付けます。

8:表面遮水型ダム

表面遮水型ダムは、フィルダムの表面をアスファルトやコンクリートで覆って、遮水機能を持たせた種類です。

フィルダムは岩石や土砂を材料にするため、遮水機能が高くありません。そこで、遮水機能が高い材質で覆って水が堤体内部に浸透するのを防ぎます。表面遮水型ロックフィルダム、表面遮水型アースフィルダムなど、構成する材料も合わせた呼び名です。

ロックフィルダムには、表面遮水型以外に傾斜遮水型もあります。傾斜遮水型ロックフィルダムの構造は、粘土を使用した遮水層を中心より上流側に配置した種類です。建設の際、雨天時もコア部分以外の施工が行え、短い工期で完成できます。

しかし、重心が偏るなど短所もあり、建設数は多くありません。

9:複合ダム

複合ダムとは、コンバインダムの別名です。

異なる素材で建設されたダムが結合したものを指します。どちらも堤高が15m以上の基準を満たさないと、複合ダムに認められません。複合ダムは、水の力を両方の川岸の岩盤によって支える種類です。

複合ダムではありませんが、2つのダムの作用を持たせた種類もあります。

重量アーチ式コンクリートダム(concrete gravity arch dam)は、水の力を川岸の岩盤の力を利用して支えるアーチ式ダムに、ダム本体の重さで支える重量式ダムの作用を持たせたタイプです。アーチ式ダムとしての作用が主な場合に呼ばれ、重量式ダムの作用が多い場合は、曲線重量式ダムに分類されます。

ダムの主な設備5つ

ダムの主な設備5つ

ダムには、川の水を堰き止めて貯水し、放流するために様々な設備があります。主な設備は取水塔、監査廊、減勢工、洪水吐き、副ダムなどです。

この他に、ダム全体を管理するダム管理室、洪水吐きなどのゲート操作室、及び予備ゲート、貯水施設の流木止めや曝気循環施設などです。

流木止めは、貯水池に上流から流木やゴミなどが流れ込まないようにする施設です。両岸から高さ2mくらいの網が水面にぶら下げられ、沈まないようにフロートを取り付けます。流木止めに溜まったゴミや流木は再利用と廃棄に分別して処分されます。

曝気循環施設は、貯水施設内で水質の汚濁を防ぐために行います。空気を送って水を循環させ、藻類が増えるのを抑えます。取水後に水道水として利用できる水質を保つ目的です。

1:取水塔

取水塔は、利水用に取水する施設の1つです。取水施設は、取水塔と取水用のゲート、ゲートを調整するバルブ、放水口で構成されます。

取水塔は、貯水池の水位が変化しても取水が継続できるように、多段式を導入しています。安定した利水が行えるための措置です。多段式取水設備には、直線多段式と円形多段式があります。直線式はローラーゲート、円形式は円筒形の扉体が開閉して、吞口から取水します。

ダムは、治水目的に放流する施設と利水用に取水した水の放水施設は、別々に設置します。利水用の放水施設を通って、浄水処理施設に運ぶためです。

2:監査廊

監査廊とは、ダムの堤体内部に設置された、点検や観測のための通路です。ダムの内部に大規模な通路があり、要所にゲートやポンプ、バルブ、計測機器や監視カメラなどが設置してあります。

また、堤体内部や基礎部分の排水も行います。堤頂へはエレベーターが設置され、堤体内に上下左右にくまなく張り巡らされています。

別名は通廊で、安全管理に利用します。ダムの特別公開時に、限定で監査廊を利用した見学や探検会が実施されることもあります。普段は一般に公開されない施設です。

3:減勢工

減勢工(げんせいこう)は、ダムから放流された水のエネルギーを弱めるための施設です。

高い位置から落下するダムの放水は高低差によって勢いがよく、川底をえぐり、ダム直下の水の流れを早くするなど影響を及ぼします。落下の勢いを削ぎ、下流への影響を抑えます。

減勢工は、障害物によって水を跳ねさせる「跳水式」、流れを空中に放出して構造物から遠くに落下させてプール内で跳水させる「スキージャンプ式」、アーチダムで行う水を落下させて水のクッションを利用して勢いを減少させる「自由落下式」の3種類です。

ダムの形状や下流の状況によって、設計します。

4:洪水吐き

洪水吐き(こうずいばき)とは、ダムの貯水量を調整するための放流施設です。常用洪水吐きと非常用洪水吐きの2種類があります。

常用洪水吐きはコンジットゲートとも言います。大量の雨や雪でダムの貯水量が増えすぎた場合に、調節する目的です。川に流しても安全な量を放流し、下流への影響を抑えます。

非常用洪水吐きはクレストゲートです。100年に1度と言われるような洪水でダムが満水になりそうな場合に常用洪水吐きと併用します。ダムの流入量以上は放流せず、下流に影響を与えない量を放出します。ゲート式のタイプとゲートを利用しない自然越流式(ゲートレス)のどちらかを採用します。

洪水吐きとは別に、堤体の真ん中あたりにオリフィスゲートもあります。少ない降雨の際、貯水量の調整に使用するゲートです。

5:副ダム

副(ふく)ダムは、減勢工の下流に設けるダムです。水の勢いを弱め、放出する水量を調整します。

複数のダムで貯水池を形成する場合、基本になる大きなダムを本ダム、その他のダムを副ダムと呼ぶこともあります。

副ダムの多くは堤高が15m程度ですが、本ダムが大きな時は、副ダムも比例して大きくなります。ダムによっては副ダムの堤高が30m以上あり、多目的ダムとして登録、活用されている例もあります。

ダムの種類について理解しよう


ダムには多くの種類があり、材料や造り方は1つ1つ違います。最近は重量式コンクリートダムの建設が多くなっていますが、補修工事ではほかの種類のダムにあたるかもしれません。いざというときのために、施工管理はダムの種類について理解しておきましょう。


当サイトの記事は基本的には信頼性に足る情報源(公共機関や企業サイト、または専門家によるもの等)をもとに執筆しており、情報の正確性・信頼性・安全性の担保に努めていますが、記事によっては最新の情報でない場合や情報の出典元表記や正確性が充分でない場合があります。予めご了承ください。

建設業界の人材採用・転職サービスを提供する株式会社夢真の編集部です。
建設技術者派遣事業歴は30年以上、当社運営のする求人サイト「施工管理求人サーチ」の求人数は約6,000件!
このコラムでは上記の実績と知見を活かし、建設業界で働く方の転職に役立つ情報を配信しています。

株式会社夢真 コーポレートサイト

Twitter LINE
RECOMMEND

おすすめ求人

PAGE TOP

まずは無料登録
お電話でのお問い合わせはこちら